ルンペルシュティルツヘン/絵・ボールガルトン 訳・乾佑美子/童話館/1994年
だいぶ前に、覚えてみようと思った話ですが、「ルンペルシュティルツヘン」のほか、でてくる名前が、舌を噛むようであきらめてしまった話です。
むかし、貧乏な粉屋が、「わたしにはむすめがひとりおりますが、このむすめは、わらをつむいで金にいたしますんで」と、自分を偉くみせようと、つい王さまに いいました。「たいしたわざだな」「わしがためしてやろう」と、王さまはむすめを城につれてくるようにいいます。
王さまは、むすめが城にくると、わらでいっぱいになった部屋へむすめをつれていき、糸車と糸巻きをわたして、あすの朝まで、わらを紡いで、金にするよういいます。
わらを金にする どうして?
これは誰にも できそうにありません。しかし、昔話では、できないことはありません。こびとがやってきて、首飾りとひきかえに、わらを 金の糸にしてしまいます。
すると、もっと金が欲しくなった王さまは、前より大きな部屋のわらを金に紡ぐように命じます。今度も、こびとが、むすめの指輪と引き換えに金に紡ぎます。三回目には、「おきさきになってから、一番はじめにうむ子どもを おれにくれるか?」と聞かれ、約束してしまいます。
やがてお妃になったむすめに、あかちゃんがうまれると、あの こびとがやってきて、子どもを連れて行こうとします。こびととの約束を、すっかりわすれていたお妃が、あまりにもひどく泣くので、こびとは、「三日間だけ、時間をやろう。そのあいだに、おれの名前をあてられたら、子どもはわたさなくていい」と、いいました。
一日目、二日目がすぎ、三日目に 使いの者がかえってきて・・・。
名前をあてられたこびとは、よほど悔しかったのでしょう。われとわが身を、まっぷたつに ひきさいてしまいます。
ポール・ガルトンが描く人物は、高学年向きでしょうか。娘は、好みがわかれるところ。こびとは、おばあさん風でもあり、小鬼風にも見えます。
「名前をあてる」という話はほかにもありますが、この「ルンペルシュティルツヘン」が「がたがたの竹馬こぞう」と訳されることもあるというのは、今回知ることができました。