しごとをとりかえたおやじさん/山越一夫・再話 山崎英介・画/福音館書店/2011年(1974年初出)
ねんがらねんじゅう、おかみさんのやりかたが きにいらないといっては、がなりたてていたおやじさん。おかみさんが 仕事をとりかえることをもうしでると、おやじさんは 大喜び。
翌朝、おかみさんが 大きな鎌をもって、牧草地の草刈りにいくと、おやじさんは まずバターをつくることに。バター桶をかき混ぜていると、ビールが飲みたくなり地下室でビール樽の栓を抜いたとたん、台所でブタの鳴き声。おやじさんがビール樽の栓を持ったまま、台所にいくと、ブタがバター桶をひっくりかえして、床にこぼれたクリームを ぴちゃぴちゃ なめていました。かんかんにおこったおやじさんが、ブタをちからいっぱい、けりつけるとブタは死んでしまいます。ビール樽の栓を もったままなのに きがついた おやじさんが 地下室へ行ってみると、ビール樽は すっかりからっぽ。
まだ少し残っていたクリームでバターをつくりはじめますが、ウシに えさを あげていないことを おもいだします。手抜きしたおやじさんは、屋根の上の草を食べさせようと、ウシを 屋根の上にあげ、ウシに水を飲ませてやろうと、バケツに 水を汲もうと からだを かがめたとたん、背中にしょった バター桶のクリームが 流れ出してしまいます。
ご飯の時間なので、おかゆでも作ろうと、鍋に水を入れて暖炉のなかにぶらさげますが、屋根の上のウシが、おっこちて首の骨を おったら どうしようかと きになり ロープを牛のからだに ゆわえつけ、もういっぽうを自分のからだへ むすびつけ、おかゆをつくりだします。ところが 屋根にいたウシが 滑って落ちた瞬間、おやじさんは 牛に引っ張られて 煙突の中へ吊り上げられ、ちゅうぶらりんに なってしまいました。
一方、おかみさんは、いくらまっても、ごはんの用意ができたと よびにこないので、家へ戻りました。するとウシが へんなかっこうで ぶらさがっていたので もっていた鎌で、ロープを切ると、ウシは地面に落ちてしまいます。おやじさんも 煙突のなかから まっさかさま。
おかみさんが 台所に入ると、そこには 鍋のなかへ どっぷり つかった おやじさんがいました。
教訓的なことは何一つでてきませんが、おやじさんは、家事がいかに大変なのかを認識し、少しは ガミガミが 減ったでしょう。
女性の方には、いろいろ言いたいことがありそうですよ。今度旦那が文句言ってきたら、「読んで」とこの本を薦めたいといいますが、はたして効果がありますかどうか。今、家事が楽だと思っている夫はいないと思いますし、すすんで 家事をする男性も増えつつあるのでは?。
同じ内容の「家事をすることになっただんなさん」(太陽の東 月の西/アスビヨルセン編 佐藤俊彦・訳/岩波少年文庫/1958年)では、「おかゆ」が「オートミールのおかゆ」とあります。