どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

貧乏神

2016年11月29日 | 昔話(日本)

 貧乏神は外国の昔話にはみられないキャラクターです。そのまま居座るものや、福をもたらしてくれるものと二通りがあります。

・貧乏神・・香川(子どもに語る日本の昔話②/稲田和子・筒井悦子/こぐま社/1995年初版)
 よめさんが片付けや掃除が大嫌いで、これにほれ込んだ赤毛のやせこけた小さい年よりの貧乏神。
 貧乏神からいわれて、よめさんを追い出してしまった男。

 貧乏神から酒を買ってこいと言われ、銭がないというと、貧乏神はふところから銭をだしたので、二人は酒をくみかわします。
 大歳の晩、殿さまの行列になぐりこめば、金持ちになると知恵をつけられた男は、殿さまの行列になぐりかかりますが、さきぶれの男が倒れます。先ぶれの男は銅貨でできていました。
 貧乏神は、殿さまをなぐるように、もう一度やってみろといいます。
 うまく成功すると、かごがこわれ、中から大判小判がザックザックとでてきます。

 この行列は、大歳と元旦の晩だけにとおる金神さまの行列でした。


・貧乏の神・・山形(新しい日本の語り9 渡部豊子の語り/日本民話の会/悠書館/2014年初版)
 貧乏な爺さまが、正月用の買い物のため、草履や織物用の糸を売りに町に出かけますが、さっぱりうれません。
 途中であったのは、炭を売りに来た爺さま。
 二人は、品物を取り替えて家にもどります。

 炭を持ち帰った爺さまと、ばさまは、せめて暖かくして年越しをしようと、囲炉裏にザーと炭をあけ、火をおこします。
 すると薄黒い子どもような、へんなものが2,3人でてきます。
 子どもは貧乏神で、こんなに火を焚かれては、暑くてこごの家にいられねえや。家うつりだといいます。

 この貧乏神、長く世話になったと、餅や銭をのこして、いなくなります。


・びんぼうがみ(わらしべ長者 日本民話選/木下順二・作 赤羽末吉・絵/岩波少年文庫/2000年初版)
 びんぼうがみが、めでたく、うちから出て行ったはなし。

 平作というお百姓がいたが、いくら働いても、くらしが楽にならない。
 あるとき、押入れをあけてみると、ちいさなやせたじいさまがねむっておった。
 おまえのうちが好きなもんで、やっかいになっているという、びんぼうがみ。

 かみさんと相談して、びんぼうがみにわからんように、そっとひっこしをすることに。
 相談していると、押し入れでがさがさ、ごそごそ音がするので、のぞいてみると、びんぼうがみが、わらぐつをつくっていました。
 びんぼうがみは、平作の引っ越し先に一緒にいこうと準備していたのです。

 このようすでは、どこへいっても同じだと、平作はもうひとふんばりすることにします。
 人が変わったように働き始めると、貧乏神のじいさまが、どんどんやせ細って、いつの間にかいなくなります。

 よめさんが食いのこしを捨てたり、掃除をしないのが貧乏の原因としてあげられているのですが、男の方にだって、それなりの原因があるのでは。


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