貧乏神は外国の昔話にはみられないキャラクターです。そのまま居座るものや、福をもたらしてくれるものと二通りがあります。
・貧乏神・・香川(子どもに語る日本の昔話②/稲田和子・筒井悦子/こぐま社/1995年初版)
よめさんが片付けや掃除が大嫌いで、これにほれ込んだ赤毛のやせこけた小さい年よりの貧乏神。
貧乏神からいわれて、よめさんを追い出してしまった男。
貧乏神から酒を買ってこいと言われ、銭がないというと、貧乏神はふところから銭をだしたので、二人は酒をくみかわします。
大歳の晩、殿さまの行列になぐりこめば、金持ちになると知恵をつけられた男は、殿さまの行列になぐりかかりますが、さきぶれの男が倒れます。先ぶれの男は銅貨でできていました。
貧乏神は、殿さまをなぐるように、もう一度やってみろといいます。
うまく成功すると、かごがこわれ、中から大判小判がザックザックとでてきます。
この行列は、大歳と元旦の晩だけにとおる金神さまの行列でした。
・貧乏の神・・山形(新しい日本の語り9 渡部豊子の語り/日本民話の会/悠書館/2014年初版)
貧乏な爺さまが、正月用の買い物のため、草履や織物用の糸を売りに町に出かけますが、さっぱりうれません。
途中であったのは、炭を売りに来た爺さま。
二人は、品物を取り替えて家にもどります。
炭を持ち帰った爺さまと、ばさまは、せめて暖かくして年越しをしようと、囲炉裏にザーと炭をあけ、火をおこします。
すると薄黒い子どもような、へんなものが2,3人でてきます。
子どもは貧乏神で、こんなに火を焚かれては、暑くてこごの家にいられねえや。家うつりだといいます。
この貧乏神、長く世話になったと、餅や銭をのこして、いなくなります。
・びんぼうがみ(わらしべ長者 日本民話選/木下順二・作 赤羽末吉・絵/岩波少年文庫/2000年初版)
びんぼうがみが、めでたく、うちから出て行ったはなし。
平作というお百姓がいたが、いくら働いても、くらしが楽にならない。
あるとき、押入れをあけてみると、ちいさなやせたじいさまがねむっておった。
おまえのうちが好きなもんで、やっかいになっているという、びんぼうがみ。
かみさんと相談して、びんぼうがみにわからんように、そっとひっこしをすることに。
相談していると、押し入れでがさがさ、ごそごそ音がするので、のぞいてみると、びんぼうがみが、わらぐつをつくっていました。
びんぼうがみは、平作の引っ越し先に一緒にいこうと準備していたのです。
このようすでは、どこへいっても同じだと、平作はもうひとふんばりすることにします。
人が変わったように働き始めると、貧乏神のじいさまが、どんどんやせ細って、いつの間にかいなくなります。
よめさんが食いのこしを捨てたり、掃除をしないのが貧乏の原因としてあげられているのですが、男の方にだって、それなりの原因があるのでは。
最新の画像[もっと見る]
- ピンクだいすき! 1日前
- だるまちゃんしんぶん 3日前
- ザガズー 2週間前
- おらは うーたん 2週間前
- ハシビロコウがいく 3週間前
- ラブリー オールド ライオン 3週間前
- 糸をつむいで 世界をつないで 3週間前
- ゆきの よあけ 3週間前
- 星の子ども 4週間前
- えほんよんで どこへいきたい? 1ヶ月前