カイマンのクロ/マリア・エウヘニア・マンリケ・文 ラモン・パリス・絵 とどろきしずか・訳/福音館書店/2022年
ワニと人間がともに暮らせる? ベネズエラで実際にあった話といいます。
ワニの仲間、カイマンの赤ちゃんを引き取った宝石店の若旦那ファオロ。
ワニの赤ちゃんは、ワニの皮を目的にやってきた人の手から うんよく免れたでした。
ファラオは、かただのいろがくろっぽかったカイマンのあかちゃんにクロとなずけました。はじめは掌の上にのるほどの大きさ。
ファラオが、カイマンをつれてきたというわさがまたたくまに広がり、クロに触りたいという人々が、近くの村や町からも やってくるようになり、クロはいつもファラオのあとをついてまわるようになりました。
カイマンは、庭にプールをつくりました。プールを掃除していると、ファラオはたまごに気はつきました。クロはメスでした。
クロが2メートルほどになったころ、ファラオは、クロをうけいれてくれたアンヘラと結婚。クロは子どもたちの遊び相手になって、おだやかな しあわせな暮らしがつづいていきました。
ところが、ある日、ファラオが病気で倒れると、クロはファラオのそばをはなれようとしませんでした。アンヘラの歌声も聞こえなくなりました。そしてファラオがなくなると、クロはがらくた部屋の奥に姿を消し、何か月ものあいだ、部屋からでてきません。
しかし、クロは、その後もアンヘラと子どもたちに囲まれ、20年間も生き続けました。
あとがきによると、ファラオもクロも心筋梗塞でなくなりました。うーん 奇妙な一致で、同じ原因なんですね。
育ての親といいますが、ワニも同じです。
ワニ=獰猛とイメージがありますが、再認識させられました。ただそれが幸せなことかは知る由もありません。
べネズエラらの絵本ですが、まだまだ知らない外国の絵本も多そうです。