ペンギンのウィリー/ロバート・ブライト・作 こみや ゆう・訳/好学社/2024年
ペンギンのウィリーは、だれもが似た姿のペンギンたちと一緒にいると、じぶんがどこにいるのか みわけがつきません、そんなじぶんをかえようと、南極から街へでかけていきました。
街では、ひとめで どれがウィリーかわかります。レストラン、地下鉄、どこでも 目立ちました。しかし、ウィリーは目立ちたかったわけでありません。そこで、ウイリーはちょうネクタイ、かわぐつを買い、雨の日には傘もさしました。ある日の夕方、オペラをみるため、シルクハットを買い、帽子屋を出ると、同じような格好の人びとがいました。みんなはオペラを見に行くところでした。どの人も、ウィリーとそっくりで、ペンギンたちと一緒にいたころと同じです。そこで、ウィリーは、南極にかえることにしました。
傘を持ち、ちょうネクタイ姿のウィリーに、みんなはびっくり。そこへ つよい風が吹いてきて、ウィリーは傘から手をはなしました。それからシルクハットもちょうネクタイも 空高くとんでいきました。かわぐつも ぽいぽいっと、ぬぎすてると、ウィリーは どこにいるかわからなくなりました。
ところが、いまウィリーは とっても しあわせでした。ウィリーは もう、みんなと おなじとか ちがうとかなんて、どうでもよくなっていたのです。
ウィリーの自分探しの旅。経験してみないとわからないことがあります。一皮むけたウィリーの旅は、まだ続くでしょう。