兵庫のむかし話/兵庫県小学校国語教育連盟編/日本標準/1978年
タイトルからすると”親捨て”の話を連想しましたが、同じシチュエーションがでてきますが、組み立てがことなります。
息子が畑で働いていると、通りかかった殿さまが、「朝からなん鍬打った?」と、むちゃぶり。息子が、「殿さまの馬はここまでくるのに何足あるきましたか?」と、返事。なんで怒ったかのか殿さまは、「三日の間に、灰で縄をなってまいれ」と命令し、できなかったら命はないという。
父親は病気でねており、息子は、なんとかあやまって、家に帰ったが飯もろくろくのどを通らんようになった。どこか体でも悪いと聞かれても、息子は首を振るばかり。「なにか心配事があったら、わしにはなしてみんかえ」といわれ、殿さまから言われたことを話すと、父親は、「かたくかたく藁をなって、塩水につけじゅうのうにのせかまどで焼け」という。そのとおりにする、みごとな灰の縄ができあがった。
すると、こんどは、「たたかい(たたかなくても)でも鳴る太鼓を作ってこい」という。
また父親の出番で、いらんようになったふるいに、丈夫な障子紙を貼り、カボチャの花にきているゴンゴロバチをあつめ、ふるいの穴へいれると、ゴンゴロバチがさわいで、ドンドンと、大きな音がでてきた。
感心した殿さまが、「これはおまえの知恵ではあるまい。正直に申せ」というので、家で寝ている父親に聞いたことを話すと、息子はぎょうさんのほうびをもらって、帰ったという。