三本の金の髪の毛/松岡享子・訳 隆矢なな・絵/のら書店/2013年
タイトルが楽しそうです。
むかし、小さな村のじいさんはオンドリ一羽、ばあさんはメンドリを一羽かっていました。ばあさんのメンドリは毎日たまごをうみました。じいさんは、ばあさんにたまごをくれといいますが、ばあさんは、オンドリにうんでもらえとつめたい応対。じいさんはオンドリにたまごをもってこないと殺してしまうと 無理な注文。
オンドリは、「ひとつ皇帝の玉座の上で歌うことにでもするか?」と、皇帝のところへでかけます。
途中、キツネ、オオカミと、いっしょになりますが、二匹はすぐに疲れ、ねを上げたので、オンドリは、つばさの下にかかえて、いきます。一時間ほどすると水がつまった皮ぶくろが、ついていくといいますが、皮ぶくろもすぐに疲れて、オンドリのつばさとつばさのあいだにのって、すすんでいきます。さきには、たくさんのハチがいて、羽があるのでつかれるわけがないと、みんなといきますが、やはりくたびれて、オンドリの羽の下にはいります。
やがて、オンドリが皇帝の宮殿までいくと、「コケコッコー、皇帝陛下! お気に召すやら召さぬやら、そいつはしかとはわからぬが、このオンドリめが玉座にのぼり、歌をひとふしおきかせもうそう!」と、大声で歌います。
オンドリが、けんかっぱやい七面鳥の群れになげこまれると、キツネの出番。アラブウマの群れにほうりこまれると、オオカミの出番。火の中にほうりこまれると皮ぶくろ。
皇帝がお尻でオンドリをおしつぶそうとするとハチがとびだし、皇帝のお尻をところかまわずさしました。皇帝は、いまいましい虫けらどもをどこかへやってくれたら、金貨をやるといって、オンドリのからだの羽という羽にのこらず、金貨をのこらずつるさせました。
オンドリは、意気揚々と、家へかえると、じいさんに、外とうをひろげさせ、羽の金貨をふるいおとしました。ばあさんが、金貨を二、三枚くれというと、じさんは、「とんでもない。おれがたのんだとき、たまごをくれなかったろうが。おまえのメンドリに、わしのオンドリがしたように、金貨を持ってこいといえばいいだろう。」
ばあさんが、メンドリをつかまえようとすると、メンドリは悪い予感がして。小屋の隅にかくれました。そして、小屋で見つけた大きな鉄の包丁をもって、ひさしにあがりました。そして、小屋に入ってきたばあさんに、「ばあさん、ばあさん、外とうをひろげなよ。金貨をふらしてやるからね。」と叫びました。よくのふかいばあさんが、外套をひろげ、うえをみると、おちてきたのは重い包丁で、あっというまに死んでしまいました。