どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ぷうとぶう まる てんてん のまき

2024年03月03日 | 絵本(日本)

   ぷうとぶう まる てんてん のまき/織田道代・文 早川純子・絵/福音館書店/2024年「かがくのとも」660号

 
 ぷうとぶうは おとなりどうし。にているけれど ちょっと違う。朝、ぷうの目覚ましは ピピピ ピピピ・・・。ぶうの目覚ましは、ビビビ ビビビ・・・。
 ぷうは パシャ パシャ パシャッ 顔を洗い、歯を磨いたら プクプク ペー。ぶうは、バシャ バシャ バシャッ 顔を洗い 歯を磨いたらブクブクペー。
 
 同じシーンが 濁音と半濁音で 続いていきます。ひらがなをおぼえたら こんどはカタカナ。楽しみながら自然に、カタカナを覚えていけそうです。
 
 作者は、幼いころから仮名文字の右上に付いている点々や丸が気になっていて、髪留めやリボンでもつけているように、お洒落をしていると思っていたそうです。濁音は20音なのに、半濁音は5音だけ。とても苦労されたみたい。
 
 絵の右(ぷう)と左(ぶう)が独立していますが、音楽や遊びのシーンでは いっしょ。濁音と半濁音が、握手しているよう。
 
 
 こぶたが主人公ですが、ぷうとぶうとを プウとブウとしてみれば、おならの音?

木っこりじっこ・・秋田

2024年03月02日 | 昔話(北海道・東北)

     秋田のむかし話/秋田県国語教育研究会編/日本標準/1974年

 

 正直にして、まじめに働いていれば、いつでもいいごとあるもんだど。

 じっこ、山さ小屋たてて、木切にいったそうだ。いっしょうけんめい切っているうち暗くなると、なにか きたような音がした。

 ねこが三味線ひいていたそうだ。こんだ、むじな。いたち、きつねが いっしょうけんめい踊りだした。そして、おっかなくなって 小屋のすみっこにいる じっこに、おっかなくないから、戸を開けてくと言ったそうだ。そっと戸あけると、みんなにぎやかに踊りだした。じっこも面白くなって、一晩じゅう 踊った。夜が明けるとみんな踊りをやめて、また明日くるからといって帰っていった。

 みんないなくなったあとには、たくさんの木が切って積んであった。一生懸命働いているじっこをみて、みんな手伝ったのだろう。

 

 じつにシンプルな話だが、踊りの擬音語が何とも楽しい。

 ねこは、「ニャンニャンコロリの ニャンコロリ。ニャンニャンコロリの ニャンコロリ。」

 いたちは、「チャッチカ、チャッチャカ、チャッチャカ、チャ」

 むじなのひょうしは、「むじなの はらたいこ スッデゴデン。むじなの はらたいこ。スッデゴデン」

 おもわず マネしたくなります。 読むより聞いたほうが楽しそうなリズムです。


はつめい だいすき

2024年03月01日 | 絵本(外国)

   はつめい だいすき/ピップ・ジョーンズ・文 サラ・オギルヴィー・絵 福本友美子・訳/BL出版/2018年

 

 もじゃもじゃ頭でトンボメガネのイジーは発明が大好きな子。どこにいくにも道具袋をもち、肩からトンカチをぶらさげ、こわれそうなものがあると、すぐに修理するのがお手の物。
 ところが、「おちゃどうぞマシン」のバネがボヨーン、ジャバラがビロ-ンとこわれ、「スパゲッティぐるぐるまきマシンん」が、壁紙をばらばらまき、おじいちゃんのための「ひげそりマシン」がカチカチあばれだし、こまったことに。

 イジーはかんしゃくをおこして「やくたたず! もうやだ! やーめた!」「この おたんこなす」とマシンを蹴飛ばします。にんまりしたおじいちゃんは「へんてこマシンが ぶっこわれたぐらいで あきらめなさんな。なんども なんどもやってみるんだ。うまくいくまでな」と、被害をうけながらも やさしく いいます。


 そんなある日、カラスが空から落ちてきて、地面に墜落。獣医さんのところへ駆け込むと羽が折れているから飛べないといわれます。イジーがカラスを元気づけようとしますが、カラスは心がおれて、にぎやかに飛び回る 仲間を むなしく 見つめるばかり。

 意気消沈しているイジーは、おじいちゃんに、「ここで あきらめなさんな。やればできる。もっと 頭を使ってごらん!」といわれ あたらしい羽根をつくることにします。

 必要は発明の母。ここからイジーの奮闘がはじまります。でもこれがなかなか。あちこちから部品を調達し、カラスが 飛べるようになりますが その代償もおおきい。なんせ、強面のライダーのバイクから歯車二個と、油をためる部品、美容院のドライヤーからモーターを いただいてきましたから!

 イジーが シャワーのヘッドをはずしたり、洗濯機からモーターを取り出したり、あれこれ いきいき やっているのが 楽しそう。メカニックをつくりあげる道具や こまかな部品が いっぱい でてくるので、役割を想像しながら みることもできます。


 「なにごともやればできる」と助言する 素敵なおじいちゃんです。