ぷうとぶう まる てんてん のまき/織田道代・文 早川純子・絵/福音館書店/2024年「かがくのとも」660号
秋田のむかし話/秋田県国語教育研究会編/日本標準/1974年
正直にして、まじめに働いていれば、いつでもいいごとあるもんだど。
じっこ、山さ小屋たてて、木切にいったそうだ。いっしょうけんめい切っているうち暗くなると、なにか きたような音がした。
ねこが三味線ひいていたそうだ。こんだ、むじな。いたち、きつねが いっしょうけんめい踊りだした。そして、おっかなくなって 小屋のすみっこにいる じっこに、おっかなくないから、戸を開けてくと言ったそうだ。そっと戸あけると、みんなにぎやかに踊りだした。じっこも面白くなって、一晩じゅう 踊った。夜が明けるとみんな踊りをやめて、また明日くるからといって帰っていった。
みんないなくなったあとには、たくさんの木が切って積んであった。一生懸命働いているじっこをみて、みんな手伝ったのだろう。
じつにシンプルな話だが、踊りの擬音語が何とも楽しい。
ねこは、「ニャンニャンコロリの ニャンコロリ。ニャンニャンコロリの ニャンコロリ。」
いたちは、「チャッチカ、チャッチャカ、チャッチャカ、チャ」
むじなのひょうしは、「むじなの はらたいこ スッデゴデン。むじなの はらたいこ。スッデゴデン」
おもわず マネしたくなります。 読むより聞いたほうが楽しそうなリズムです。
はつめい だいすき/ピップ・ジョーンズ・文 サラ・オギルヴィー・絵 福本友美子・訳/BL出版/2018年
もじゃもじゃ頭でトンボメガネのイジーは発明が大好きな子。どこにいくにも道具袋をもち、肩からトンカチをぶらさげ、こわれそうなものがあると、すぐに修理するのがお手の物。
ところが、「おちゃどうぞマシン」のバネがボヨーン、ジャバラがビロ-ンとこわれ、「スパゲッティぐるぐるまきマシンん」が、壁紙をばらばらまき、おじいちゃんのための「ひげそりマシン」がカチカチあばれだし、こまったことに。
イジーはかんしゃくをおこして「やくたたず! もうやだ! やーめた!」「この おたんこなす」とマシンを蹴飛ばします。にんまりしたおじいちゃんは「へんてこマシンが ぶっこわれたぐらいで あきらめなさんな。なんども なんどもやってみるんだ。うまくいくまでな」と、被害をうけながらも やさしく いいます。
そんなある日、カラスが空から落ちてきて、地面に墜落。獣医さんのところへ駆け込むと羽が折れているから飛べないといわれます。イジーがカラスを元気づけようとしますが、カラスは心がおれて、にぎやかに飛び回る 仲間を むなしく 見つめるばかり。
意気消沈しているイジーは、おじいちゃんに、「ここで あきらめなさんな。やればできる。もっと 頭を使ってごらん!」といわれ あたらしい羽根をつくることにします。
必要は発明の母。ここからイジーの奮闘がはじまります。でもこれがなかなか。あちこちから部品を調達し、カラスが 飛べるようになりますが その代償もおおきい。なんせ、強面のライダーのバイクから歯車二個と、油をためる部品、美容院のドライヤーからモーターを いただいてきましたから!
イジーが シャワーのヘッドをはずしたり、洗濯機からモーターを取り出したり、あれこれ いきいき やっているのが 楽しそう。メカニックをつくりあげる道具や こまかな部品が いっぱい でてくるので、役割を想像しながら みることもできます。
「なにごともやればできる」と助言する 素敵なおじいちゃんです。