鳥見雑記帳

庭や近所の公園で観察した野鳥についての雑記帳

カモカモ、エブリバディ その③ 2022年春のまとめ

2022年05月14日 | カモ類

すでに冬ガモ(北から渡ってきて越冬するカモ)は、4月中に地元の池からはいなくなってしまったが、この冬のカモ事情を忘れないようにまとめておきたい。

この冬飛来したカモは、私が把握している範囲では、マガモ・ハシビロガモ・コガモ・ヨシガモ・オカヨシガモ・オナガガモ・ヒドリガモ・ホシハジロ・キンクロハジロの9種。ここ数年では最多だった。(過去に飛来したことがあって、この冬見られなかったのは、シマアジ・トモエガモ・オシドリ)

個体総数は、ピーク時で200羽を越えた。これもここ数年では最多だった。

冬ガモの増減の理由として考えられるのは、地元の餌環境と繁殖地での繁殖状況だろう。今年のカモたちの様子を観察すると、ほとんどが池の水草(沈水植物)を食べていることがわかる。

地元の池は、3区画に分かれていて、そのうちの1区画は水草を刈り取ってあったが、そこにはカモはほとんどいなかった。

▲いろいろな種類のカモたちが入り混じって、水草を食べている。

では、となりの公園ではどうだろうか。出かけついでに携帯で様子を写真に撮った。オナガガモとキンクロハジロが合わせて10羽ほどしかいない。

▲隣の公園の様子

このことから、冬ガモは全国的に多いというよりは、地元の池に集中的に集まってきている、その理由は餌環境(水草)が豊だからと言えそうだ。

地元の公園の餌環境は、近い例では、二つの大きな変化があった。2007年に始まった「餌やり自粛キャンペーン」と2014年から3回行われた「かいぼり」だ。

また、自然文化園は、1966年から池に生息する池のカモ数を調査してきている。その調査を参照しながら、個体数の変化が顕著なカモは何かを調べてみた。

●ヒドリガモ

 ヒドリガモは、過去の1966年~2012年にはほぼ記録がない種で、私はかいぼりが終了した2019年に初めて飛来を確認、昨年は二けたを数えたが、この冬の最多時は、三桁になり、全冬ガモの半数がヒドリガモという状態だった。池はヒドリガモの「ミュ~ミュ~」というような鳴き声が途切れなく響いていた。盛んに水草を食べる。特にオオバンが潜って採ってきた水草を横取りするような行為も頻繁に見られた。

▲オオバンにマンツーマン(鳥ツー鳥)ではりつくヒドリガモたち

●オカヨシガモ

 オカヨシガモも、過去の記録には載っていないカモで、私は地元で初めて確認したのは、やはりかいぼり終了後の2019年。その後毎飛来し、今年は多い日には二けたを数えた。

▲逆立ちして水草を採るオカヨシガモ

●ヨシガモ

 ヨシガモについては、前の記事に書いたので省略。

以上の3種が、かいぼり後に飛来するようになった冬ガモで、3種とも水草を盛んに食べていた。餌環境に惹かれて集まってきたカモたちなのだろう。

●オナガガモ

 オナガガモは、過去の記録を見ると、飛来数が一番多い種だったらしい。特に1991年~2003年までは、毎年ほぼ4桁を数えていたようだ。しかも、このカモは餌やりに一番よく反応するカモだった。

▲これは隣の公園の過去(2004年~2005年)の餌やり風景だが、オナガガモが多いことがわかる。

地元の公園で「餌やり自粛キャンペーン」が始まった2007年後、オナガガモは一気に減り、最近は飛来しても一桁代という状態だった。しかも、動物園に飼われている水鳥の餌をくすねることもあったくらいだ。しかし、今年は、しっかり水草を食べているのが確認でした。

▲みんな仲良く逆立ち

●マガモ、ハシビロガモ

 この2種は、あまり劇的な変化のない種だ。今年も数個体が一冬を通して見られ、どちらも水草を食べていた。

▲きれいな繁殖羽になったマガモの♂

▲ハシビロガモはだいたいこの4羽がまとまっていた。

▲きれいな繁殖羽になったハシビロガモの♂

●コガモ

 コガモは1960年~1970年代にかけて、池の優占種だったらしい。500羽ぐらい飛来した年もあったとか。しかし、オナガガモが優占種になったころ、どんどん数を減らし、池に寄りつかなくなった。今年驚いたことは、かなりの期間池に滞在したこと、時には、他種のカモたちと混じって一緒に採餌している姿も見られたことだ。それぐらい豊富な水草は、コガモにとっても魅力的だったのだろう。

▲他のカモに紛れていたコガモのメス

●キンクロハジロ

 キンクロハジロは、「餌やり自粛キャンペーン」の直前がピークで、毎年三桁の数飛来していたが、キャンペーン後少なくなった。以前は池には餌をもらうか、休んでいるかの姿しか見られなかったが、かいぼり後は池に頻繁に潜るようになった。一度橋の上からキンクロハジロの潜る様子を観察してみたことがある。水草を千切る様子はなく、何か水草についているものを採っているのではないかと思ったが、はっきりはわからなかった。

▲潜るキンクロハジロ

●ホシハジロ

 ホシハジロは1990年代から飛来するようになったカモだ。餌やり中は、キンクロハジロと混ざってよく餌を取り合っていたが、キャンペーン後減った。しかし、かいぼり後にまた増えてきて、時にはキンクロハジロを越えたこともある。

▲ボート池に集まるホシハジロ。

餌やりが行われていたころから池に飛来していたカモたちは、比較的人慣れしていて、ボートが行きかう池にも平気で泳ぎ回っていることが多く、新参のカモたちは、ボートが営業中はボート池を避けていたように思う。

休んでいるときはや、猛禽を警戒しているときは同じ種がまとまっていることが多いが、食事中は多種と入り混じる。その方が池が攪乱されて切れ藻などが採りやすいのかもしれない。

冬ガモが多いと、とばっちりをうけるのが留鳥たちで、特にカイツブリは被害を受けた。作り始めた巣に乗られたり、時には集めた巣材を食べられたりしたので、かなり神経質に威嚇していた。カルガモたちも、冬ガモとは行動を別にしていることが多かった。

カモたちが集まる要因になった水草は駆除対称の外来種、コカナダモだ。今後このコカナダモが首尾よく駆除された場合、池のカモ相はどうなるだろうか。今後の推移も興味ぶかい。

 

 

 

 

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