長寿の秘訣、腸内にあり 鍵握る100兆個の細菌 京都府立医科大・吉川敏一学長、京丹後で講演
2016年10月26日 (水)配信毎日新聞社
府立医科大学長の吉川敏一さんは23日、「おなかの調(腸)子が健康のもと」をテーマに京丹後市で講演した。長寿者が多い丹後の地域性に触れながら「長寿の秘訣(ひけつ)は腸内細菌にある。丹後の住民は食生活をはじめ、これまでの生活様式を変えないでください」と呼びかけた。
市が主催した。市と同大は今年2月、長寿の秘訣を探る「長寿・地域疫学講座」の分室を市立弥栄病院に共同で設置し、研究をスタートしている。
吉川さんはまず、「日本人のおなかの環境の変化」を指摘した。日本は世界で最も大腸がんの死亡率が高い国で、慢性難治性炎症である潰瘍性大腸炎は直線的に増加しているというデータを示した。
そのうえで、慢性便秘やきれやすい子ども、うつ症状の増加など消化器内科を取り巻く環境の変化を指摘。人の腸内にすんでいるとされる100兆個の細菌が健康の鍵を握っているとし、「腸内細菌が5歳までにすみつくと、ほとんど一生その人の体の中ですみ続けるだろう。腸内細菌はお母さんから子どもに行っているだろう」と述べた。
さらに、「どんな腸内細菌がいるのかだんだん分かってきた」と説明した。「良い菌を選び出し、それを食べるために5年後にはそうしたチーズやヨーグルトが売り出されると思う」と述べた。
また、食生活が大きく変化している現実を取り上げた。食物繊維の摂取が糖尿病の発症を抑制し、野菜が生活慣習病や一部のがんに予防効果が示されている研究があると指摘。「腸内細菌が不安、記憶、学習に関連する遺伝子発現に影響する」とされる研究データを示した。
最後に、食物繊維や発酵食品を多く摂取し、適度な運動を続けるライフスタイルの大切さを訴えた。【塩田敏夫】
2016年10月26日 (水)配信毎日新聞社
府立医科大学長の吉川敏一さんは23日、「おなかの調(腸)子が健康のもと」をテーマに京丹後市で講演した。長寿者が多い丹後の地域性に触れながら「長寿の秘訣(ひけつ)は腸内細菌にある。丹後の住民は食生活をはじめ、これまでの生活様式を変えないでください」と呼びかけた。
市が主催した。市と同大は今年2月、長寿の秘訣を探る「長寿・地域疫学講座」の分室を市立弥栄病院に共同で設置し、研究をスタートしている。
吉川さんはまず、「日本人のおなかの環境の変化」を指摘した。日本は世界で最も大腸がんの死亡率が高い国で、慢性難治性炎症である潰瘍性大腸炎は直線的に増加しているというデータを示した。
そのうえで、慢性便秘やきれやすい子ども、うつ症状の増加など消化器内科を取り巻く環境の変化を指摘。人の腸内にすんでいるとされる100兆個の細菌が健康の鍵を握っているとし、「腸内細菌が5歳までにすみつくと、ほとんど一生その人の体の中ですみ続けるだろう。腸内細菌はお母さんから子どもに行っているだろう」と述べた。
さらに、「どんな腸内細菌がいるのかだんだん分かってきた」と説明した。「良い菌を選び出し、それを食べるために5年後にはそうしたチーズやヨーグルトが売り出されると思う」と述べた。
また、食生活が大きく変化している現実を取り上げた。食物繊維の摂取が糖尿病の発症を抑制し、野菜が生活慣習病や一部のがんに予防効果が示されている研究があると指摘。「腸内細菌が不安、記憶、学習に関連する遺伝子発現に影響する」とされる研究データを示した。
最後に、食物繊維や発酵食品を多く摂取し、適度な運動を続けるライフスタイルの大切さを訴えた。【塩田敏夫】