「ばあちゃんのほうがつらい」(介護 あのとき、あの言葉)
2017年2月23日18時00分
看られるばあちゃんのほうが、よっぽどつらい
■「看られるばあちゃんのほうが、よっぽどつらい」
(寝たきりの祖母を長く介護していた母の言葉)
母は、リウマチで長く寝たきりの祖母をずっと家で介護していました。
リウマチで指は変形して、足はひざが曲がったままだった祖母。ベッドの上で寝たり起きたりするのが精いっぱいでした。オマルに排泄(はいせつ)して、私たちもそれをトイレに捨てに行ってました。田舎なので水洗トイレなんてありません。
体は動かなくても頭はしっかりしていました。私たちには優しい祖母でしたが、嫁である母にはけっこう厳しいことも言ってました。
中学生の頃、一度、母に「お母さん、ばあちゃんのこと絞め殺してやろうかって思うことないん?」と聞いたことがあります。
そのとき母は言いました。「看(み)られるばあちゃんのほうが、よっぽどひどい(きつい、つらいという意味の方言です)。看るほうがよっぽど楽だ」。そして「それでも自分が死んだら楽になるかなぁと思ったことはあるよ」とも。
祖母は、最後は施設に入りました。家では風呂に入ることが難しくなり、実の娘(母にとっては小じゅうと)の「施設に行けば風呂に入れる」という言葉に応じました。母は「私が言っても入らんやったやろうね」と言ってました。施設では、周りに嫁と言っても信じてもらえなかったそうです。毎日のように自転車で通ってきていたから。
亡くなった父の介護をしたのも母でした。
もし母が介護を必要とするようになったら、なんとか私が介護しようと思っています。母はきっと看られたくはないんでしょうけど。
◆福岡県 公務員 50代女性
◇
あなたにとっての介護の記憶を、ぜひお聞かせください。ご投稿いただく際は、お名前とご連絡先(住所・電話番号・メールアドレス)をご明記のうえ、メールでお送りください。文字数の制限や締め切りはありません。匿名をご希望の方は、その旨をお書き添えください。掲載にあたり、ご投稿について記者がお話をお聞きする場合があります。
朝日新聞文化くらし報道部「介護 あのとき、あの言葉」係
2017年2月23日18時00分
看られるばあちゃんのほうが、よっぽどつらい
■「看られるばあちゃんのほうが、よっぽどつらい」
(寝たきりの祖母を長く介護していた母の言葉)
母は、リウマチで長く寝たきりの祖母をずっと家で介護していました。
リウマチで指は変形して、足はひざが曲がったままだった祖母。ベッドの上で寝たり起きたりするのが精いっぱいでした。オマルに排泄(はいせつ)して、私たちもそれをトイレに捨てに行ってました。田舎なので水洗トイレなんてありません。
体は動かなくても頭はしっかりしていました。私たちには優しい祖母でしたが、嫁である母にはけっこう厳しいことも言ってました。
中学生の頃、一度、母に「お母さん、ばあちゃんのこと絞め殺してやろうかって思うことないん?」と聞いたことがあります。
そのとき母は言いました。「看(み)られるばあちゃんのほうが、よっぽどひどい(きつい、つらいという意味の方言です)。看るほうがよっぽど楽だ」。そして「それでも自分が死んだら楽になるかなぁと思ったことはあるよ」とも。
祖母は、最後は施設に入りました。家では風呂に入ることが難しくなり、実の娘(母にとっては小じゅうと)の「施設に行けば風呂に入れる」という言葉に応じました。母は「私が言っても入らんやったやろうね」と言ってました。施設では、周りに嫁と言っても信じてもらえなかったそうです。毎日のように自転車で通ってきていたから。
亡くなった父の介護をしたのも母でした。
もし母が介護を必要とするようになったら、なんとか私が介護しようと思っています。母はきっと看られたくはないんでしょうけど。
◆福岡県 公務員 50代女性
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朝日新聞文化くらし報道部「介護 あのとき、あの言葉」係