水戸黄門の「かーっかっかっ」で分かること【時流◆笑い処方のススメ】
福島医大・大平哲也氏の「笑い」に関する真面目な話-Vol. 1
時流2017年7月25日 (火)配信 一般内科疾患循環器疾患内分泌・代謝疾患
怒りや抑うつなどが心血管疾患や代謝異常、腰痛などさまざまな疾患に関連することが多く報告されている。しかし、怒りなどのネガティブな感情を軽減し、疾患につながる異常を改善するような、有効な介入方法の開発は難しいと考えられている。そんな中、一部の医師や研究者から熱い注目を浴びつつあるのが「笑い」の効果。医学・健康増進における「笑い」の効果や位置付けとはどのようなものか。福島県立医科大学疫学講座教授の大平哲也氏への取材と周辺情報を紹介する。「笑い」の正体についてはさまざまな報告があると大平氏。時間当たりの「笑い」の回数や間隔で実年齢を見破れる知見も集積しているそうだ。
笑いは「発声を伴う身体動作」
「笑い」の定義とは何か。「“笑い”はたいてい“面白い”時に起こるが、“面白い”と思った時点では“笑い”ではない」と大平氏。「面白いと思って、“ははははは”と声が出て“笑い”と認識される。つまり、“笑い”とは感情ではなく、腕や足、体幹など全身のさまざまな箇所の筋肉が使われる“身体動作”と“発声”の2つで構成される行動」と説明する。
「うちのイヌ、ネコは笑うんです」はウソ?!
ちなみに「笑う」ことができる動物はヒトとゴリラ、オランウータン、チンパンジーなどごく一部のサルのみと考えられている。しかし、「そんなことはない。うちのイヌやネコは笑う」と大平氏の元には多くの写真が送られてくるそうだ。
「われわれは普段、何気なく“はははは”と笑っているが、“は”と“は”の音節を区切りながらの発声は他の動物には難しいとされている」と大平氏。「はははは」という発声を伴わない「笑い顔」の動物は「笑っていない」と言えるそうだ。中には「ウマはヒヒヒヒーンと鳴くだろう」「最近、Science誌にラットのおなかをくすぐると“キュキュキュっと笑う”という論文が報告された」といったツッコミもあるそうだが、大平氏によると、あくまで「笑う」のはサル以上の動物というのが現在の定説という。
笑いの音声で最も運動量が多い2つの音
「笑い」の正体を解明しようと、いろいろな研究が行われているようだ。「例えば、米国人対象の研究では、1日に笑う回数は平均17回という報告もある。これは被験者を起床時からずっとビデオで収録し、評価者が全ての映像を再生して被験者が笑った回数を数えたという、かなり地道な研究」(大平氏)
そんなことまで調べているのか! と驚くデータもある。「ヒトが笑う時に“は”を言っている回数は、1秒間に平均4回と報告されている。ただし、年齢が若いほど“は”と“は”の間隔が短く、加齢とともに間隔が長くなることも分かっている。典型的なのは水戸黄門」と大平氏。笑いの発声の早さは「見た目年齢が若い人の実年齢を探るのにも使える」と話す。さらには「基本的に笑いは、は行。あ行とくっついて“あはははは”“いひひひひ”となるが、あ行とは行は必ず一方通行で“あはあはあは”“いひいひいひ”とは笑えないということを証明した研究も存在する」そうだ。
また、笑いの音を構成するは行のうち、最も運動量が多い音は「は」と「ほ」と大平氏。「特に“ははははは”と豪快に笑うと一番運動量が多いと考えられている」と話す。ちなみに「へ」は笑顔を一番魅力的に見せる音で、客室乗務員など接客のプロフェッショナルは「へ」を意識した表情作りを心がけているのだそうだ。
福島医大・大平哲也氏の「笑い」に関する真面目な話-Vol. 1
時流2017年7月25日 (火)配信 一般内科疾患循環器疾患内分泌・代謝疾患
怒りや抑うつなどが心血管疾患や代謝異常、腰痛などさまざまな疾患に関連することが多く報告されている。しかし、怒りなどのネガティブな感情を軽減し、疾患につながる異常を改善するような、有効な介入方法の開発は難しいと考えられている。そんな中、一部の医師や研究者から熱い注目を浴びつつあるのが「笑い」の効果。医学・健康増進における「笑い」の効果や位置付けとはどのようなものか。福島県立医科大学疫学講座教授の大平哲也氏への取材と周辺情報を紹介する。「笑い」の正体についてはさまざまな報告があると大平氏。時間当たりの「笑い」の回数や間隔で実年齢を見破れる知見も集積しているそうだ。
笑いは「発声を伴う身体動作」
「笑い」の定義とは何か。「“笑い”はたいてい“面白い”時に起こるが、“面白い”と思った時点では“笑い”ではない」と大平氏。「面白いと思って、“ははははは”と声が出て“笑い”と認識される。つまり、“笑い”とは感情ではなく、腕や足、体幹など全身のさまざまな箇所の筋肉が使われる“身体動作”と“発声”の2つで構成される行動」と説明する。
「うちのイヌ、ネコは笑うんです」はウソ?!
ちなみに「笑う」ことができる動物はヒトとゴリラ、オランウータン、チンパンジーなどごく一部のサルのみと考えられている。しかし、「そんなことはない。うちのイヌやネコは笑う」と大平氏の元には多くの写真が送られてくるそうだ。
「われわれは普段、何気なく“はははは”と笑っているが、“は”と“は”の音節を区切りながらの発声は他の動物には難しいとされている」と大平氏。「はははは」という発声を伴わない「笑い顔」の動物は「笑っていない」と言えるそうだ。中には「ウマはヒヒヒヒーンと鳴くだろう」「最近、Science誌にラットのおなかをくすぐると“キュキュキュっと笑う”という論文が報告された」といったツッコミもあるそうだが、大平氏によると、あくまで「笑う」のはサル以上の動物というのが現在の定説という。
笑いの音声で最も運動量が多い2つの音
「笑い」の正体を解明しようと、いろいろな研究が行われているようだ。「例えば、米国人対象の研究では、1日に笑う回数は平均17回という報告もある。これは被験者を起床時からずっとビデオで収録し、評価者が全ての映像を再生して被験者が笑った回数を数えたという、かなり地道な研究」(大平氏)
そんなことまで調べているのか! と驚くデータもある。「ヒトが笑う時に“は”を言っている回数は、1秒間に平均4回と報告されている。ただし、年齢が若いほど“は”と“は”の間隔が短く、加齢とともに間隔が長くなることも分かっている。典型的なのは水戸黄門」と大平氏。笑いの発声の早さは「見た目年齢が若い人の実年齢を探るのにも使える」と話す。さらには「基本的に笑いは、は行。あ行とくっついて“あはははは”“いひひひひ”となるが、あ行とは行は必ず一方通行で“あはあはあは”“いひいひいひ”とは笑えないということを証明した研究も存在する」そうだ。
また、笑いの音を構成するは行のうち、最も運動量が多い音は「は」と「ほ」と大平氏。「特に“ははははは”と豪快に笑うと一番運動量が多いと考えられている」と話す。ちなみに「へ」は笑顔を一番魅力的に見せる音で、客室乗務員など接客のプロフェッショナルは「へ」を意識した表情作りを心がけているのだそうだ。