「少数国がワクチン独占、起きうる」 共同購入呼びかけ
ワクチン普及に取り組む国際機関「Gaviワクチンアライアンス」(本部・ジュネーブ)のセス・バークレー事務局長が朝日新聞のオンライン取材に応じた。新型コロナウイルスのワクチンを国際的に共同購入するGavi主導の枠組みについて「これが成功しなければ少数の国がワクチンを独占し、他の国は全く手に入らない事態が起こりうる」と話し、日本の参加への関心を歓迎した。
共同購入の枠組みは「COVAXファシリティー」と呼ばれ、世界保健機関(WHO)も参加を呼びかけている。開発中の複数のワクチン候補に投資し、実用化されたら参加国の間で公平に分配する。高所得国は開発資金を前払いして人口の20%を上限にワクチンを確保できる。低中所得国のワクチンは、先進国政府からの開発援助などを原資にGaviが確保する。
新型コロナのワクチンをめぐっては、資金力のある先進国が自国向けの獲得競争を繰り広げる「ワクチン・ナショナリズム」への懸念が広がっている。バークレー氏は2009年の新型インフルエンザの流行時を振り返り、「少数の国がすべての供給分を買い占め、残りの国は全く手に入らなかった。もし深刻な流行になっていたら多くの人が亡くなっただろう。今回の共同購入が成功しなければ、また同じことが起こりうる」と危機感を示した。