新型コロナ:菅内閣、コロナ追加策視野
政府は新型コロナウイルス対策を引き続き最優先課題に据える。菅義偉首相は16日、麻生太郎財務相に対し、中小企業の雇用維持や事業継続のため、必要な資金繰りを支援するよう指示。麻生氏も財政支出による景気の下支えに理解を示しており、政府は追加経済対策の策定を視野に入れる。
菅氏は16日の記者会見で「依然として厳しい経済状況の中で雇用を守り、事業を継続させることが極めて大事だ」と述べ、持続化給付金や雇用調整助成金、実質無利子・無担保融資、消費喚起策「Go Toキャンペーン」などを通じた支援を継続する意向を強調した。
持続化給付金は2020年度に編成した2回の補正予算で、計約4・2兆円を計上。8月に予備費から9150億円を追加した。9月7日までに約4・3兆円(約329万件)を支給したが「引き続き申請が続いている」(西村康稔経済再生担当相)。雇用調整助成金の特例措置も適用期限を9月末から12月末に延長した分、支出が膨らむ見通しだ。
コロナ対策に使える予備費として計上した計11・5兆円のうち、残りは約7・8兆円。菅氏は当面の追加対策は予備費で対応する方針だが、足りなければ「徹底して次の手を打っていく」と明言している。財務省には「持続化給付金の2回目の支給など追加支援を求める声が強い」(幹部)などと、新たな補正予算の策定に備える向きもある。
麻生氏もこれまで「景気の『気』の部分を上げていく政策をやる必要がある」と、コロナ禍で冷え込んだ個人消費や設備投資をてこ入れする必要性に繰り返し言及してきた。組閣後の会見では、菅氏から「民間投資を喚起するため財政投融資を積極的に活用する」との指示を受けたと明かし、財政による景気回復に努める考えを示した。【和田憲二】