ワクチンへの信頼度、日本は世界最低レベル 英医学誌
ワクチンに対する人々の信頼度は、世界の中で日本は最も低いレベルにある――。こんな結果を英ロンドン大学の研究プロジェクトがまとめ、英医学誌ランセットに発表した。
2015~19年に149の国・地域で約28万人を調査したデータを使用。ワクチンについて(1)安全だと思うか(2)有効だと思うか(3)子どもに重要だと思うかの3問への回答を分析した。回答は「強くそう思う」「強くそう思わない」「どちらでもない」の三つに分類した。国・地域によって調査の時期や頻度などが異なるため、統計学的な処理を加えて適正に比較できるようにした。
15年末時点で(1)の質問に「強くそう思う」と回答した人の割合は8・92%、(2)の質問に「強くそう思う」と回答した人の割合は14・71%で、いずれもワースト3位。(1)は同2位フランス(8・85%)、最下位モンゴル(8・05%)で、(2)は同2位モンゴル(13・04%)、最下位モロッコ(10・28%)だった。(3)の質問に「強くそう思う」と答えた人の割合は日本では41・76%でワースト12位だった。3問ともに「どちらでもない」と答える人の割合が他国に比べて多かった。アルゼンチンが3問すべてでトップ3位以内で、ワクチンへの信頼度が高い傾向がみられた。
また、(2)の質問について15年と19年を比べたときに、「強くそう思わない」と答えた人の割合が、日本では統計学的に意味のあるレベルで増えていた。
研究プロジェクトは、日本について「ワクチンへの信頼が世界で最も低い国のひとつ」と指摘。子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)のワクチンで接種後に長期的な痛みなどを訴える人が出たため、国が積極的な勧奨を中止していることなどを要因としてあげている。風疹の流行とあわせ、日本の保健当局が「解決すべき課題」としている。