夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

遊び心 鉄釉茶碗 伝バーナード・リーチ作 茶碗 その2

2018-02-03 00:01:00 | 陶磁器
骨董蒐集の基本に「自分のお金で買い、売り、そして休みなさい。」というのがあると聞いたことがあります。

「買う、売る、」はよく解ります。「買う」一方で「売る」ことをしないと資金が不足するということと、一番大切なことですが、「売る」ことで市場で自分の蒐集した作品はどういう評価を受けているということを肝に銘じておく必要があるからです。

「なんでも鑑定団」に出品しての評価は全くあてになりません。真作でもおそらく売れるのはその評価の10分の1です。それほど市場の買取価格は厳しいのです。世の蒐集家は集める一方で売ることをしている人は非常に数が少ない。おそらく一割もいないのでしょう。

次に「休みなさい」というのは、イコール「勉強する時間」と「クールアウトしなさい」という意味らしいです。熱くなると目先しか見えない、高い買い物をする、お金を使いすぎる、よって休んで勉強する時間を作りなさいということのようです。学ぶ余裕を作りなさい、学ぶことが大切という意味のようです。勉強するのに本や博物館、美術館で作品を見るのはほとんど無意味です。骨董商や蒐集家にじかに触れる作品を見て話を聴く必要があります。

さて共箱のない陶磁器は無下に扱われるのが作家ものの陶磁器・掛け軸などの作品に対する骨董業界の定め。ただ好きものはこれ幸いとこれを買い込みひとりでほくそえんで愉しんでいるもの。本日はそんな作品の紹介です。

本日もそんな一人よがり的な評価をしている作品の紹介です。

鉄釉茶碗 伝バーナード・リーチ作 茶碗 その2
合箱
口径140*高台径*高さ75



何気ない鉄釉のお茶碗。一度鉄釉を掛けてその上にさらに黒釉とでもいうような濃い鉄釉を掛けています。この釉薬の垂れが作者の狙いでしょう。



この作品はできそうでできない作行となっています。これが解るのは作陶において実際に釉薬を掛けてみたことのある人のみ。茶人は「実際の陶芸をやってみていないと作品が見れない。」という例のひとつと言えるでしょう。



ただ作為はこの点、これだけ。全体にオーソドックスな作りであり実に品がよい作行となっており、お濃茶にも使えそうです。



この作品がバーナードリーチの作品かどうかは正直なところ気になるところですが、なによりもこういう作行の作品を作れるのは天性のものと評価しています。



陶芸というものは個性の出る作品ですが、天性はなんともしようがありません。



あなたの周囲に品格のある作品が備え付けらえていますか? それが見抜けるかどうかが目利きの差異らしいのですが、本作品が贋作なら小生の鑑識眼はたいしたことがないということでしょう。いずれにしろ審美眼を試す遊び心、真贋にこだわる方には縁もゆかりもない記事・・。

好きものは氏素性の解らぬ作品を買い込みひとりでほくそえんで愉しんでいるもの、私もそうですが、本来骨董というものはそんなものと思います。休んでよく勉強した者にしか見えないものがある、それは真贋というよりは遊び心と称したほうがいいものかもしれません。

氏素性のはっきりしたものを集めるのは金持ちの道楽か、よほど品格のしっかりした方のすることですが、愉しみは意外に少ないものです。そういう蒐集は勉強す余地が少ない。ばくち的な掘り出し物の愉しみとはちと意味合いが違う次元、小生はそれを「遊び心」と称しています。人生は大半は「遊び心」、授業料が結果的に意外に高くつく代物かもしれません。


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