骨董を扱うということは金銭以外にいかに体力、神経を使うかをご存知ない方が多いようです。例えばひとつの作品は扱う際に、箱から取り出して飾るまでの時間は思いのほかかかりますし、ひとつ飾るとひとつ収納しなくてはなりません。この扱いが雑ですと、保存用の紙がぼろぼろになったりして保存に支障をきたします。収納の仕方も常に工夫が必要です。
上記の写真は箱のない作品を収納するために箱を作ってもらい、別途に注文した真田紐をあつらえ(真田紐には子だ割が必要)、中の梱包紙(紙は湿気防止にたっぷり使う)、黄布(防虫効果がある)などで作品を保護して、収納する段取りをあらたにしているところです。現代は収納する合理的な道具がたくさんあります。古臭い綿や布を後生大事に箱にしまっておく必要は一切ない。捨てるものと遺すものをわきまえておきましょう。
*箱を作ったり、表具を直したり、真田紐なども道具類など、廉価で調達できる腕の良い職人を事前に見つけ出しておく必要があります。
中には説明書をつけ、外側からは何が収納されているか一目で解るようにしておきます。箱から取り出さないと中身が解らないという収納ではいけません。作品の出し入れが一番、リスクが高い。
蒐集する人は集めると集めっぱなし、ひとめにつくところに作品は放り出しておくという無作法は言語道断です。蒐集する資格がありません。仕事場や玄関、書斎、応接室に所狭しと置かれている時点で蒐集家失格です。
収納に手間をかけたことにない人は乱暴に作品を箱から取り出して、雑にまた仕舞いこみという無作法をします。きちんと収納するスペースも工夫する必要があります。下記は当方の掛け軸の収納用の棚です。
掛け軸もそうですが、取り出し方、収納の仕方には基本的なルールがあります。これを知らない人はすでの骨董蒐集の資格から失格です。この扱いは腕、腰、手の握力など意外に体力を使います。
額は作品を裸で収納することはまずありません。黄袋にタトウが基本です。手間をかける価値にない作品と判断したものは処分したほうがいい。無駄なスペースを使いますし、ひとつでも駄作があると蒐集品全体を汚します。
骨董蒐集は労力の半分が収納です。これをわきまえていないと繰り返しますが蒐集する資格はありません。
額、掛け軸は大きさ別に収納する工夫も必要です。
一般的な掛け軸の大きさの作品は桐箪笥に収納できます。大きい掛け軸や額はそれ専用の棚が必要です。掛け軸、刀剣は必ず別の棚にします。湿度の違い、防虫剤が刀剣に悪さする恐れがあるためなどです。陶磁器は基本的に腰より低いところに収納します。高いところは禁物です。小生は陶磁器は屋根裏部屋にしています。決して高くは積めないように・・・。
こういう工夫は何度か繰り返さないと身に付きません。小生は男の隠れ家で何度も工夫してきました、次にはもっといいものが作れそう・・・
掛け軸、陶磁器、漆器、刀などの基本的なルール、小生は「たしなみ」と称していますが、これをわきまえない人とは作品を取り出して話もしたくありませんし、作品を見せる気にもなりません。真贋、審美眼を気にするよりもまずはこの「たしなみ」を身に着けるべき御仁が多いようです。
さて、本日は金城次郎の作品の紹介です。本作品は掻銘など共箱を含めて一切の金城次郎の作品を証明するものはありませんが、小生は金城次郎の作と断定しており、また金城次郎の数多い茶碗も中でも傑作のひとつと思っています。
基本的に共箱のある金城次郎の作品は小生の蒐集対象外です。ろくな共箱や作品がないからですが、箱のない作品をきちんと収納する手配をするのも蒐集する者の愉しみのひとつです。
白刷目魚紋茶碗 金城次郎作(無銘) 茶碗 その4
合箱
口径142*高さ80*高台径
魚文の作品において釉薬を流れるのを極力防ぐために、釘彫りの線を深くしたりしたそうです。本作品にもその傾向がみてとれます。
魚部分は鉄釉にて渋くまとめあげ、外側は一気に刷毛で白泥をかけています。作為のないのびのびとした作行となっています。
釘彫の彫が深いので茶を点てる際は茶筅を強く扱わないように注意しなくてはいけませんが、見込みの魚文がお茶をいただくときに意外性をもたらしてくれます。
息子がお薄を飲みながら「貝!」と言ったのは魚以外の文様のことのようです。
共箱のある頃の読谷村の窯の初期以外、人間国宝になってからの作行にここまで出来の良い作品はない。なお贋作ではこのような一気呵成の刷毛目はできない。
民芸作品としては銘のないほうが良いとも言えます。浜田庄司、河井寛次郎の作品には銘がありません。世の陶芸家、そして蒐集家とはそういう高い見識にてものごとを判断する素養が身についてなくてはならないのだろう。
息子よ、茶を愉しめ、ものを愉しめ、そして人生を愉しめ。その素養は家内と小生が教えよう。ついでにこの世の「たしなみ」についても・・。
上記の写真は箱のない作品を収納するために箱を作ってもらい、別途に注文した真田紐をあつらえ(真田紐には子だ割が必要)、中の梱包紙(紙は湿気防止にたっぷり使う)、黄布(防虫効果がある)などで作品を保護して、収納する段取りをあらたにしているところです。現代は収納する合理的な道具がたくさんあります。古臭い綿や布を後生大事に箱にしまっておく必要は一切ない。捨てるものと遺すものをわきまえておきましょう。
*箱を作ったり、表具を直したり、真田紐なども道具類など、廉価で調達できる腕の良い職人を事前に見つけ出しておく必要があります。
中には説明書をつけ、外側からは何が収納されているか一目で解るようにしておきます。箱から取り出さないと中身が解らないという収納ではいけません。作品の出し入れが一番、リスクが高い。
蒐集する人は集めると集めっぱなし、ひとめにつくところに作品は放り出しておくという無作法は言語道断です。蒐集する資格がありません。仕事場や玄関、書斎、応接室に所狭しと置かれている時点で蒐集家失格です。
収納に手間をかけたことにない人は乱暴に作品を箱から取り出して、雑にまた仕舞いこみという無作法をします。きちんと収納するスペースも工夫する必要があります。下記は当方の掛け軸の収納用の棚です。
掛け軸もそうですが、取り出し方、収納の仕方には基本的なルールがあります。これを知らない人はすでの骨董蒐集の資格から失格です。この扱いは腕、腰、手の握力など意外に体力を使います。
額は作品を裸で収納することはまずありません。黄袋にタトウが基本です。手間をかける価値にない作品と判断したものは処分したほうがいい。無駄なスペースを使いますし、ひとつでも駄作があると蒐集品全体を汚します。
骨董蒐集は労力の半分が収納です。これをわきまえていないと繰り返しますが蒐集する資格はありません。
額、掛け軸は大きさ別に収納する工夫も必要です。
一般的な掛け軸の大きさの作品は桐箪笥に収納できます。大きい掛け軸や額はそれ専用の棚が必要です。掛け軸、刀剣は必ず別の棚にします。湿度の違い、防虫剤が刀剣に悪さする恐れがあるためなどです。陶磁器は基本的に腰より低いところに収納します。高いところは禁物です。小生は陶磁器は屋根裏部屋にしています。決して高くは積めないように・・・。
こういう工夫は何度か繰り返さないと身に付きません。小生は男の隠れ家で何度も工夫してきました、次にはもっといいものが作れそう・・・
掛け軸、陶磁器、漆器、刀などの基本的なルール、小生は「たしなみ」と称していますが、これをわきまえない人とは作品を取り出して話もしたくありませんし、作品を見せる気にもなりません。真贋、審美眼を気にするよりもまずはこの「たしなみ」を身に着けるべき御仁が多いようです。
さて、本日は金城次郎の作品の紹介です。本作品は掻銘など共箱を含めて一切の金城次郎の作品を証明するものはありませんが、小生は金城次郎の作と断定しており、また金城次郎の数多い茶碗も中でも傑作のひとつと思っています。
基本的に共箱のある金城次郎の作品は小生の蒐集対象外です。ろくな共箱や作品がないからですが、箱のない作品をきちんと収納する手配をするのも蒐集する者の愉しみのひとつです。
白刷目魚紋茶碗 金城次郎作(無銘) 茶碗 その4
合箱
口径142*高さ80*高台径
魚文の作品において釉薬を流れるのを極力防ぐために、釘彫りの線を深くしたりしたそうです。本作品にもその傾向がみてとれます。
魚部分は鉄釉にて渋くまとめあげ、外側は一気に刷毛で白泥をかけています。作為のないのびのびとした作行となっています。
釘彫の彫が深いので茶を点てる際は茶筅を強く扱わないように注意しなくてはいけませんが、見込みの魚文がお茶をいただくときに意外性をもたらしてくれます。
息子がお薄を飲みながら「貝!」と言ったのは魚以外の文様のことのようです。
共箱のある頃の読谷村の窯の初期以外、人間国宝になってからの作行にここまで出来の良い作品はない。なお贋作ではこのような一気呵成の刷毛目はできない。
民芸作品としては銘のないほうが良いとも言えます。浜田庄司、河井寛次郎の作品には銘がありません。世の陶芸家、そして蒐集家とはそういう高い見識にてものごとを判断する素養が身についてなくてはならないのだろう。
息子よ、茶を愉しめ、ものを愉しめ、そして人生を愉しめ。その素養は家内と小生が教えよう。ついでにこの世の「たしなみ」についても・・。