夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

忘れ去られた画家 赤い椅子のチャイナドレスの娘(仮称) 三木翆山筆 その8

2022-06-29 04:17:13 | 掛け軸
大津絵の仏画と思われる作品・・、おそろいのマットにて額装にしてみました。

*手前は五彩手の作品・・。



本来は当時のままの軸装がいいのでしょうが、あまりにも表具がぼろぼろだったので額装にしています。表具を見せての額装にしたら、ちょっと貧弱になったので青面金剛の作品のマットをやり替えました。



額装は神田の草土舎に依頼しています。



当方の蒐集にて手ごろなお値段で。かついい作品があれば、機会をみて購入している画家の作品のひとつに三木翠山の作品があります。美人画の作品で有名ですが、そのほとんどが和服の姿の美人画であり、本作品のようにチャイナドレスの女性を描いた作品は珍しいでしょう。



忘れ去られた画家 赤い椅子のチャイナドレスの娘(仮称) 三木翆山筆 その8
絹本着色 軸先骨 合箱
全体サイズ:縦1300*横620 画サイズ:縦450*横420

三木翠山の落款の字体は違う人の作品かとおもうほどかなりの変化がありますが、その時代による変遷を整理された資料は当方では未だに見たことがありません。

 

すでに本ブログでは三木翠山の作品は8作品目の紹介となりますが、ひさかたぶりの作品の投稿なので、あらためて記述すると三木翠山の画歴は下記のとおりです。

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三木翆山:竹内栖鳳の門人。本名三木斎一郎。明治20年7月15日に兵庫県社町(現加東市)で、服部寿七と母やすの4男として生まれる。

幼少より絵を好み、紺屋を営んでいた三木利兵衛(号南石)から画を習う。明治33年(1900年)前後に竹内栖鳳に師事し、竹杖会において日本画の研鑽を積む。なお、翠山の紹介で栖鳳に入門した森月城は従弟にあたる。明治35年(1902年)利兵衛の養嗣子だった又蔵の養子となり、同時に同家のじんと結婚する。

*下記写真は代表作の一つに挙げられる「嫁ぐ姉」という作品です。写真は絵葉書のものとなります。



大正2年(1913年)第七回文展に「朝顔」を出品して初入選。以降、文展や帝展といった官展で活躍しています。

翠山は美人画を得意としており、第7回文展に初入選以降、文展や帝展といった官展で活躍しており、昭和7年(1932年)には帝展無鑑査となっている。なお代表作には「嫁ぐ姉」、「元禄快挙」などが挙げられます。



大正14年(1925年)、京都の佐藤章太郎商店という版元から、京都風俗を取り上げた新版画「新選京都名所」シリーズを版行しています。同年には吉川観方と創作版画展を開催すています。なお、版元の佐藤章太郎は同年、渡辺庄三郎、松木喜八郎らとともに尚美社という浮世絵や古美術を取り扱う店を共同で創設しました。

昭和7年(1932年)第13回帝展からは無鑑査となります。昭和17年(1942年)に師の栖鳳が没した後は画壇を離れ、個展で作品を発表し始めます。

**下記の写真は「元禄快挙」という作品です。


一方、昭和27年(1952年)から1年余り渡米し、美人画の個展を開催、昭和28年(1953年)メトロポリタン美術館から終世名誉会員の称号を贈られました。

晩年は、京都河原町蛸薬師の繁華街に地上7階、地下2階、総床面積1400坪もの国際的な美術サロン、インターナショナル三木アートサロン設立を計画します。ところが、悪徳不動産の詐欺にかかり、2000坪の家屋敷アトリエも手放さざるを得なくなることとなり、老年の翠山にこの挫折は堪えたのか、2年後失意のうちに昭和32年3月25日急逝しました。享年73歳。

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三木翠山という画家についてご存じの方は少ないと思いますが、きちんとした絵を描く画家です。なお贋作はあまり見かけたことがありません。それほど人気がなかった??しかし当時から人気があったようですが・・・。

近年になって初めて個展としての展覧会が催されたようです。



やはり出身の地元で開催されていますね。



トロポリタン美術館から終世名誉会員の称号を贈られている画家ですが、インターネットオークションでは数万円で入手できる画家の作品です。もっともっと評価されてよい画家のひとりでしょう。

美人画には代表的画家に上村松園、伊東深水、鏑木清方らがいますが、その大家に続くのが、伊藤小坡、島成園、池田焦園らがいます。さらに木谷千種、大林千萬樹、岡本大更らがいて、さらには中村貞以、梶原緋沙子、北野恒富、広田多津と数多くの画家が列挙され、その中で画壇から距離を置いた三木翠山はいつしか忘れさられた画家となっているようですね。




もっともっと近代日本画の画力のある画家を評価していいように思いますね。



三木翠山の作品はインターネットオークションで数万円で入手できます。少しずつ蒐集している当方の作品も少しずつ整理されてファイリングされています。



作品は蒐集したら後世にきちんと伝えるべき資料を揃えておくのが肝要かと思います。なにしろ最初から調べるのは骨が折れますから・・・。



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