夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

下絵との比較 伝美人読書図下絵 寺崎廣業筆 明治26年(1893年)頃

2021-02-15 00:01:00 | 掛け軸
祭日には義母と家内と息子の三人で畑へ・・。



桑の木の枝の選定らしい・・。息子が鋸にて切断。だいぶ道具の使い方を覚えてきたようです。



さて本日は、当方の蒐集対象としている画家の一人である郷里出身の画家「寺崎廣業」の下絵と思われる作品が入手したので考察してみました。「河鍋暁斎展」の下絵に触発されたかも??



伝美人読書図下絵 寺崎廣業筆 明治26年(1893年)頃
紙本水墨淡彩紙軸装 軸先塗木 誂箱 
全体サイズ:横738*縦1422 画サイズ:横630*縦741



寺崎廣業の作品における修業時代の粉本や下絵はほとんどが1892年(明治25年)における自宅の火災で焼失されてるようですが、当方で所蔵している粉本のように一部の粉本・下絵は残存しているようです。



ただ残存している作品数は非常に少なく、貴重な資料として遺されていくべきでしょう。本作品は「粉本」として売りに出されていましたが、その可能性もありますがおそらく下絵でしょう。



人物の周囲に置かれるものを十分に吟味していたことが推測できますね。



*なお下記の印章は確認できていません。初期の頃の印章は資料でも漏れがあるようです。



本作品は図集に掲載されている下記の作品の下絵の可能性が高いと推察しています。新たな画風を求める時期と古典的な作風の間で模索していた時期の作品です。1892年(明治25年)における自宅の火災の後の下絵であろうかと思われます。



最終的に女性は一人だけ描かれていますが、他は明らかに本作品と合致しているように思います。真贋も含めて下絵である信憑性は高いと思われますが、最終的な判断は慎重に行います。

 

下絵がある場合には下絵を参照にして絵を鑑賞するのも一興でしょう。寺崎廣業については下記の下絵が図集に掲載されていました。



同図の作品では、下写真左が当方で所蔵している作品です。

月光燈影図 伝寺崎廣業筆 明治32年(1899年)頃
水墨着色絹本軸装 軸先象牙 合箱 
全体サイズ:横696*縦2180 画サイズ:横493*縦1270

下写真右が美術館で所蔵している作品です。

「月光燈影」           
明治34年            
絹本彩色 軸装 174.0×85.6cm

 

日本画は忠実に下絵をなぞって描くことが多くあり、同図の作品が複数存在することも珍しくないですが、それはそれで真贋の判断を難しくしていますね。







最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。