いまだに人気が高く入手の難しいのが蛸唐草の古伊万里の作品です。
古伊万里 窓丸染付蛸唐草文小壺 江戸中期
口径82*胴径130*高台径*高さ145
古伊万里ではお馴染みの蛸唐草文様ですが、ちょっとそのルーツを調べてみました。
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蛸唐草:唐草文様の一種。渦状に巻く蔓(つる)の外側に、葉を簡略化してつける。それがちょうど蛸の足の吸盤をおもわせるところから俗に蛸唐草文様とよばれる。中国宋時代の磁州窯の作品に古い例がみられる。
アメリカのカンサスシティにあるネルソン美術館所蔵の「白釉黒花龍文瓶」(11~12世紀)の高台周囲にこの蛸唐草文様が線彫りであらわされている。また同じ頃の磁州窯の「白釉印花唐草文枕」の縁どり文様にもみられる。
元時代の吉州窯には磁州窯の陶工が多く入ったといわれ、作風が似ているものがある。
吉州窯の「白地鉄絵唐草文双耳瓶」(14世紀)の胴には鉄絵で蛸唐草文が描かれている。
韓国全羅南道新安沖の沈没船から引き揚げられた中にもこの吉州窯の「白地鉄絵唐草文瓶」(14世紀)があり、同様の文様が鉄絵で描かれている。
このように宋から元にかけての文様として鎌倉時代の日本に紹介された。有田皿山では江戸時代中頃から、写真に示すような皿の縁どり文様として描かれ、壺の肩の部分、あるいは徳利や猪口の胴全面に描かれて以来、今日まで愛用されている文様である。古伊万里染付の唐草には花唐草、萩唐草、蛸唐草などの種類があります。
蛸唐草という名称は昭和20年代後半になって呼び習わされた名称であろうと思われます。終わりのない連続文様は、永遠、切れない、末広がりなどの縁起の良い絵柄。
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「終わりのない連続文様は、永遠、切れない、末広がりなどの縁起の良い絵柄。」・・・・・、なるほど。よってひびが入っているような作品は忌み嫌われるようです。
古伊万里においては蛸唐草文様は元禄時代の輪郭を丁寧に描いた作品を最上とし、その輪郭から呉須の顔料がはみ出していない丁寧な仕事をしている作品を高評価します。時代が下がるにつれて雑になり、輪郭から顔料が輪郭線からはみ出した作品や、江戸後期には最終的には輪郭のない蛸唐草の作品が量産されました。
この時代の差による仕事の丁寧さは蛸唐草の作品の評価に大きく影響しますが、古伊万里における輪郭のある上手の蛸唐草の作品数は非常に少ないようです。
本作品は窓に染付が描かれるなど丁寧な作品ではあるが、輪郭から多少呉須がはみ出していることから元禄期ではなく、少し時代が下がった作品であろうと思われます。
輪郭のない作品はお猪口、徳利、皿など多々ありますが、輪郭線のない作品は下手ですので普段使いでいいでしょう。
大きな徳利で丁寧な仕事をした作品などは数十万するもののあります。
上手の蛸唐草と初期伊万里は古伊万里ファンの垂涎の作品と言ってもいいでしょう。
上手の鍋島焼とも言えますが、あくまでも普段使い・・・。
この作品の見どころは窓に描かれた何とも言えない可愛らしい染付の絵柄にあります。
輪郭のない蛸唐草の下手の作品は市場に溢れています。当方で男の隠れ家の座敷に飾ってある下記の作品もそのひとつです。
他の所蔵作品解説
古伊万里 総蛸唐草壺 江戸後期
口径111*高台径102*高さ238
前の所蔵者の説明には「江戸中期(享保頃) 古伊万里 総蛸唐草壺、本物保証ですので、ご安心頂けるかと思います。鎹の直しは後世のものと思います。」とありますが、江戸後期と当方では推測しています。
「終わりのない連続文様は、永遠、切れない、末広がりなどの縁起の良い絵柄」ですので、きちんと補修したのでしょう。鎹を入れる補修は結構手間のかかるものです。
古伊万里 窓丸染付蛸唐草文小壺 江戸中期
口径82*胴径130*高台径*高さ145
古伊万里ではお馴染みの蛸唐草文様ですが、ちょっとそのルーツを調べてみました。
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蛸唐草:唐草文様の一種。渦状に巻く蔓(つる)の外側に、葉を簡略化してつける。それがちょうど蛸の足の吸盤をおもわせるところから俗に蛸唐草文様とよばれる。中国宋時代の磁州窯の作品に古い例がみられる。
アメリカのカンサスシティにあるネルソン美術館所蔵の「白釉黒花龍文瓶」(11~12世紀)の高台周囲にこの蛸唐草文様が線彫りであらわされている。また同じ頃の磁州窯の「白釉印花唐草文枕」の縁どり文様にもみられる。
元時代の吉州窯には磁州窯の陶工が多く入ったといわれ、作風が似ているものがある。
吉州窯の「白地鉄絵唐草文双耳瓶」(14世紀)の胴には鉄絵で蛸唐草文が描かれている。
韓国全羅南道新安沖の沈没船から引き揚げられた中にもこの吉州窯の「白地鉄絵唐草文瓶」(14世紀)があり、同様の文様が鉄絵で描かれている。
このように宋から元にかけての文様として鎌倉時代の日本に紹介された。有田皿山では江戸時代中頃から、写真に示すような皿の縁どり文様として描かれ、壺の肩の部分、あるいは徳利や猪口の胴全面に描かれて以来、今日まで愛用されている文様である。古伊万里染付の唐草には花唐草、萩唐草、蛸唐草などの種類があります。
蛸唐草という名称は昭和20年代後半になって呼び習わされた名称であろうと思われます。終わりのない連続文様は、永遠、切れない、末広がりなどの縁起の良い絵柄。
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「終わりのない連続文様は、永遠、切れない、末広がりなどの縁起の良い絵柄。」・・・・・、なるほど。よってひびが入っているような作品は忌み嫌われるようです。
古伊万里においては蛸唐草文様は元禄時代の輪郭を丁寧に描いた作品を最上とし、その輪郭から呉須の顔料がはみ出していない丁寧な仕事をしている作品を高評価します。時代が下がるにつれて雑になり、輪郭から顔料が輪郭線からはみ出した作品や、江戸後期には最終的には輪郭のない蛸唐草の作品が量産されました。
この時代の差による仕事の丁寧さは蛸唐草の作品の評価に大きく影響しますが、古伊万里における輪郭のある上手の蛸唐草の作品数は非常に少ないようです。
本作品は窓に染付が描かれるなど丁寧な作品ではあるが、輪郭から多少呉須がはみ出していることから元禄期ではなく、少し時代が下がった作品であろうと思われます。
輪郭のない作品はお猪口、徳利、皿など多々ありますが、輪郭線のない作品は下手ですので普段使いでいいでしょう。
大きな徳利で丁寧な仕事をした作品などは数十万するもののあります。
上手の蛸唐草と初期伊万里は古伊万里ファンの垂涎の作品と言ってもいいでしょう。
上手の鍋島焼とも言えますが、あくまでも普段使い・・・。
この作品の見どころは窓に描かれた何とも言えない可愛らしい染付の絵柄にあります。
輪郭のない蛸唐草の下手の作品は市場に溢れています。当方で男の隠れ家の座敷に飾ってある下記の作品もそのひとつです。
他の所蔵作品解説
古伊万里 総蛸唐草壺 江戸後期
口径111*高台径102*高さ238
前の所蔵者の説明には「江戸中期(享保頃) 古伊万里 総蛸唐草壺、本物保証ですので、ご安心頂けるかと思います。鎹の直しは後世のものと思います。」とありますが、江戸後期と当方では推測しています。
「終わりのない連続文様は、永遠、切れない、末広がりなどの縁起の良い絵柄」ですので、きちんと補修したのでしょう。鎹を入れる補修は結構手間のかかるものです。