中国や高麗の青磁も面白いのですが、意外に日本の鍋島、三田、伊万里おいても青磁にっ見るべき作品があるものです。ただ、歴史的には中国や高麗の青磁に比して短いのでそれほど多くの選択肢はないかもしれませんね。
本日は伊万里で焼成されたとされる青磁の作品を紹介します。なお初期伊万里として売られていましたが、むろんその点は定かではありませんね。
初期伊万里? 青磁陰刻花文七寸皿
鎹補修跡有 誂箱
口径223*高さ60*高台径
初期伊万里は、朝鮮や中国の陶工たちが始めた窯ですので、試行錯誤はあったにせよ、最初から彼の地のいろんな技法を試しています。その中ではなかなか再現が難しかったのではないかと思われるのは青磁です。
中央の見込みに釉薬が掛かっていないのは重ねて焼成したためでしょうか? 鉋跡もそのままに、量産の可能性を見ることができます。
日本の初期の青磁には「壽」や「福」の文字を入れたり、陰刻あるいは外側には全面鉄釉を掛けて見込みに染付で菊花文を入れたりと、いくつかバリエーションがありますが、全面に青磁釉、高台の内側まで総釉掛けという作品は少ないように思います。
幾つかの作品を見た限りでは、窯のなかで温度が上がりきれなかったのか初期と思われる青磁の作品は全体的に甘めな焼成で、青磁の発色も理想通りにはいかなかったようです。
しかしこれはこれで柔らかく土もの的なニュアンスとして感じられ、約400年前の磁器創出の黎明期の所産のひとつとして珍重されています。
高麗の青磁とはまた違った日本人の感覚にあった素朴さが気に入っておられる方も多いのではないかと思いますが、如何せん残存する作品数が少ないようです。
今となってはこのような作行きの作品が希少価値があるのかもしれませんね。割れた跡に非常に難しいとされる鎹の補修跡が見られ、前の所有者の苦心がうかがわれます。
蒐集家にとってはジャンク品のような作品かもしれませんが、ガラクタ集めの当方にしてみれば特段の苦にはなりません。