映画『たゆたえども沈まず』感想評価と内容解説。テレビ岩手が追った311東日本大震災10年間の“声”の記録
揺れ続ける思いを抱きながらも、懸命に生きる。 「いわての復興」10年間の記録。 東日本大震災から10年。テレビ岩手は、これまで取材し続けた映像をもとにドキュメンタリー映画『たゆたえども沈まず』を制作しました。 東日本大震災で多大な被害をうけた岩手県沿岸地域の、これまで撮り続けた1850時間に及ぶ映像からひとつひとつの「声」を丁寧に紡ぎ、岩手が歩んできた10年間の復興の記録を刻みます。 震災当時避難所にいた「安否ビデオメッセージ」のあの人はいま。ほぼ壊滅状態のなか、「地域の足であり続けたい」と震災後5日目に走り出した三陸鉄道。 被災地で暮らす人々の10年間の生きざまを切り取った真実の記録が、そこにはありました。 映画『たゆたえども沈まず』の作品情報 (C)2021テレビ岩手 【日本公開】 2021年(日本映画) 【監督】 遠藤隆 【ナレーター】 湯浅真由美 【構成・編集】 佐藤幸一 【作品概要】 テレビ岩手が東日本大震災から10年間に渡り取材し続けた「いわての復興」を刻むドキュメンタリー映画。 遠藤隆監督は、現在もテレビ岩手シニア報道主幹兼コンテンツ戦略室長としてドキュメントの取材や編集、番組制作を続けるベテランテレビマン。 かつて手がけた、岩手の山あいで酪農を営む大家族の25年間を追ったドキュメンタリー『山懐に抱かれて』(2019)は、地元だけにとどまらず上海国際映画祭にも招待されるなど、多くの地域で上映され続けています。 今作は、被災地の放送局として「震災の記録と人々の想いを後世につないでいく」という監督の想いが込められています。 映画『たゆたえども沈まず』のあらすじ (C)2021テレビ岩手 「テレビ岩手のニュースです」「今日、三陸沖を震源とする強い地震がありました」「これにより岩手県沿岸に津波注意報が出ています」。 2011年3月9日。その後、津波注意報は解除されたものの、大船渡市をはじめ沿岸各地域で津波が観測されていました。 それから2日後の3月11日、午後2時46分。大きく長い揺れがやってきます。 地震時のテレビ岩手フロアの映像には、机の資料が床に散乱し、崩れそうな機材を抑えるスタッフ、そして地震速報を大声で伝えるアナウンサーの姿が映っていました。