2009年12月24日(木)、岩手県立花きセンター(胆沢郡金ケ崎町六原字頭無)の「花の館」温室内の”亜熱帯温室”に植えられている”オオタニワタリ”が放射状に葉を広げていました。
チャセンシダ科 Aspleniaceae:世界に広く分布しており、特に熱帯に多く10属約700種がある。そのうちほとんどがチャセンシダ属に含まれる。地上に生育するが、樹上や岩に着生するものもある。根茎は塊状で立ち上がったり、匍匐(ほふく)する。
チャセンシダ(アスプレニウム)属 Asplenium:熱帯を中心に世界に約700種がある。多くは常緑のシダで、日本にも約30種ある。根茎は匍匐するものから塊状で直立するものまであり、葉は単葉から数回羽状複葉に分裂したものまである。これらの中、葉の美しい種類が観葉植物として鉢物に利用される。
オオタニワタリ属:一般にチャセンシダ属(Asplenium)として分類されるが、そのうちで、単葉で葉脈が葉の周辺の連結脈で全てつながっているものをオオタニワタリ属(Neottopteris)という。日本および近接地域の2種がよく知られている。
オオタニワタリ Neottopteris antiquum:日本の暖地、済州島、台湾より南(東南アジア熱帯雨林気候区)に分布する常緑多年生シダで、主に山地の樹木や岩の上に着生して生育する。根茎は塊状で放射状に多数の単葉を出す。葉は革質で長さ40~100cmぐらいになる。ソーラス(胞子嚢群)は葉の下面の葉脈につき、主脈から葉縁へ3分の2より外側までのびる。また、主脈は基部の3分の1が黒紫色で、上部は緑色となる。耐寒性もあるが、高温多湿半陰であれば良く生育する。室内でも充分生育するが、カイガラムシ、ナメクジに注意する。他にシマオオタニワタリ(N.nidus:ニドゥス)がある。
シマオオタニワタリ(ニドゥス)Neottopteris nidus:アジアから太平洋諸島にかけて分布し、草姿はオオタニワタリに似るが、ソーラスは主脈から葉縁の2分の1までとなる。また、主脈の2分の1まで黒紫色となる。変種のプリカツムvar.plicatumは、葉は線状披針形で硬質となり、全面が大きく波打っている。あまり数多くは見られない。1970年代にハワイから導入された。
園芸品種のアビス cv.'Avis'は観葉植物として多く利用されている。葉は立ち性で葉幅は中部以上が幅広くなり株元に近い部分は極端に狭い。全体に光沢のある緑色で、柔らかい感じがする。ソーラスは下面の上部につく。変異が多く、また、基本種と同種という説もある。
[以上、誠文堂新光社発行、日本インドア・グリーン協会編「熱帯花木と観葉植物図鑑」&山と渓谷社発行「山渓カラー名鑑・観葉植物」より]