ゲロゲロ少年Yから借りた、ブレッソンの「田舎司祭の
日記」を観る。
過去二度ほど観ているのだが、内容は見事に忘れてい
た。
しかし、唯一、田舎司祭が孤独を湛え自転車に乗って
る姿、それだは覚えていたのだが、その姿だけでもこ
れぞブレッソンと言えるのではないかと、今回観て改
めて感じたので、強ちまちがいではないというか、い
い線いってたのではないかと思った。
それにしても、暗い極地の映画である。
悪意ある人間ばかりというのも、ブレッソンであれば
納得であるが、救いなどというものを一切用意しない
こういう映画を観て何が楽しいのか、と聞かれたら、楽
しくないと言うしかないが、楽しくはないが良いので
ある。
「田舎司祭の日記」は他のブレッソン映画に比べると、
陰影が特に効果的で、白黒映画の魅力とはこの陰影そ
のものであると認識を新たにする、かも。
主人公の田舎司祭を見てYは、デビッド.リンチの「イ
レイザーヘッド」の主人公を思い出したらしいが、確
かに陰影の中の世界というのと、髪型がちょっと似て
いるという点で似てなくも無い。
しかし、「田舎司祭の日記」で「イレイザーヘッド」
を思い出すか。
流石「牽強付会」が得意技のYである。
そのYと、映画館で観た今年最初の映画は何だったか
という話になり聞くと、「おくりびと」だという。
となれば感想は?という話に当然なる。
Yの答えは、泣けました。
但し、この泣けたという意味は、感動して泣けたとい
う意味ではない。
周りの観客は、確かに殆ど泣いていたらしいが、Yは、
何で今年一番にこんな映画を見なければならないのか
という、その状況に泣けたということらしい。
一言、ひどい映画です、だった。
日本映画は、こんなんで良いんですか、とも言ってい
た。
多分、多くの人は、こういう意見には納得いかないだ
ろう。
アカデミー賞というお墨付きもあるし、実際泣かせる
映画でもあるようだし(泣ける=感動=良い映画とい
う単純な図式がある)、一般的には良い映画というこ
とになるのだろうが、ここはYに一票である。
アカデミー賞(外国映画賞)を取ろうが、それは関係
ない。
が、その前に一応見ないと話にならないか。
見てもいないのに一票というのも、随分な話かもしれ
ない。
しかし、世の中かなりの確立で想像通りというのはあ
るしね。