「カフェ.マトカ」は、確かに判りにくい場
所にある。この辺に明るくないと辿り着くの
は難しそう。初めて入る店と言うのはどこで
もそうだが、若干の緊張感を強いられる。そ
れがたとえカフェであっても。特に小さいと
ころほど、中の様子が分からないのでそうい
う傾向がある(恐れるのは常連ばかりの閉じ
た空間)。ここも何かこじんまりとした雰囲
気だけは外からでも分かる。
扉を開けた中は、席数の割には広々とした空
間であった。かなり余裕を持った造りで、ナ
チュラル素材で作り上げたロハス的空間と言
えば分かりやすいのではないか(余計分から
ないか)。ほっこりした雰囲気である。かも
め食堂のカフェ版か。靴は脱いで板の間に上
がりこむ。食事はカレーなどがいくつかあり、
その中の野菜カレーとマトカブレンドコーヒ
ーを頼む。味のほうはというと、ナチュラル
系のそういう味と言えば、分かる人には分か
るそういう味だ(これも分かり難いか)。し
かし、ここはゆっくり本でも読んでという過
ごし方がぴったりの店だ。落ち着いた雰囲気
でもあるし居心地は良さそうである。ただ、
ゲロゲロ少年Yにとっては好みでは無さそう。
正統派フレンチカフェのようにオープンでは
ないし、ビールをぐびぐび飲み最後にカルヴァ
ドスという過ごし方は不可能であるし、こじ
んまりしている分雑踏の中の孤独も味わえな
い。とてもコクトーを気取るような所ではな
い。
店を後にして、お城の裏側に周る。平日にも
関わらず結構観光客が多い。団体も来ている。
今頃来ているのはどういう団体かと思ったら
(見たところ二十代三十代)、いやに喋りが
けたたましい。中国語だった。他にも見かけ
たが、今は中国人の観光客が本当に多いのだ
なと実感した。
裏側には、大きなケヤキがの並木があるのだ
が、ある観光客が(日本人の老夫婦)それを
背景に写真を撮ろうとしていた。すると信号
待ちをしている私に撮ってくれと声をかけて
きた。断る理由はないので渡された携帯で撮
った(使ったことないのでカメラよりやり難
かった)。すると、「プロの方に申し訳ない
ですが」などと言う。いつしかプロになって
しまったようだ。一眼を持ってるだけでプロ
に見られるというのは、喜ぶべきことか?一
眼と言ってもコンデジと変わらない値で買っ
たもの。まあ、そう思ってるんだったらプロ
にしておこう。向こうもプロに撮って貰った
と喜んでるかもしれないから。夢は壊さない
ように。