ゲロゲロ少年Yより借りているフィリップ.ガレルの「恋人たちの失われた革命」をやっと見出す。舞台はフランスの五月革命の頃。当時の、社会変革に燃えた、反体制的若者たちの姿を描いているのだが、どうも似た様な時代の映画があったとように思ったら、思い出した、ベルトルッチの「ドリーマーズ」だ。あちらは映画作り、こちらは革命に燃えている若者たち、共通するのはどちらも鬱屈したモラトリアムな若者たち、というと如何にもステレオタイプ的なものになりそうだが、辛うじてそうはなっていないところはガレルとベルトルッチの手腕に拠るところであろう。それともう一つ、主人公のイメージが何か似ているような気がして確認すると、どちらも主演はルイ.ガレルであった。同じ人間だから似ているような気がするではなく、そのまんまであったのだ。しかも、ルイ.ガレルは監督のフィリップ.ガレルの息子だという。五月革命顔とでもいうのだろうか。
「恋人たちの…」は2005年、「ドリーマーズ」は2003年、期せずして、それぞれの監督たちは自分の体験を基に映画を作りたくなった、と考えるのが自然な一致であるが、ある一定の年になると描きたいものは限定されてくるとしたら、それはやはり年をとったせいと言ったほうが良いのかも知れない。それとも、遺言替わりか。実際「ドリーマーズ」はそれ程良いとは思えなかった。「恋人たちの...」の方が映画としては良い、と言いたいところだが、実はまだすべてを見ていないのだ。この映画、何と3時間を越す映画であったのだ。白黒映画で(実際昔に作ったものかと思っていた)、ちょっとブレッソンを思わすような無表情な登場人物ばかりの映画が3時間続くとなると、なかなか見ようとする人も多くはなさそうだ。一時間ほどしたところで睡魔に襲われ保留の状態である。しかし、ここで止めてしまうには惜しい、ちょっと魅力のある映画ではあると思う。