囲碁の世界, 中山典之, 岩波新書(黄版)343, 1986年
・うちの父は毎週日曜昼に囲碁の番組をボケーっと見るのが習慣でした。当時、子供心に「いったい何がそんなにおもしろいのか??」まったく理解不能でしたが、現在でもその状況は変わっていません。
・著者はプロ五段。囲碁の打ち方についてではなく、囲碁にまつわるエピソード集といった内容。私のように囲碁を知らなくても読めるし、知っている人でも楽しく読めるのではないでしょうか。
・少し前に漫画の影響で一時流行りましたが、今はどうなったんでしょうね。私が手を出すのはまだかなり先の話になりそうです。
・「余分な話になるが、有名な国文学者でも、碁の用語が分からぬために、『源氏物語』の解釈が間違っているケースも少なくないということである。」p.4
・「どうやら、古人も碁の歴史の古さにはおそれ入ったらしく、歴史が始まったときには、もう囲碁があったと認めたらしい。聖書ではないが、「はじめに囲碁ありき」である。」p.5
・「韓国や中国などでは、麻雀は賭博であるから御法度だが、碁は大いに奨励されている。」p.9
・「現在、碁が行われていないところは、アフリカ大陸と中近東などの、国際紛争のあるところや飢餓のあるところだけ、それと囲碁の大本山である日本国内の一部(皇居)だけだ。」p.27
・「碁でも同じことだか、教える者と教わる者の心が一つになったとき、そこにすばらしい上達の道が拓けるのだ。」p.37
・「プロ棋士として最も度々質問されることの一つに、「どうしたら碁が強くなれますか」というのがあるが、それに対する答えはいつも決っている。
一、よい師匠を見つけなさい。
一、よい書物を探しなさい
一、よい碁がたきを作りなさい。
の三個条だ。」p.37
・「碁盤なしで碁を最後まで完全に打てるのは、現在のプロ棋士の中には一人もいないと断言してもよい。」p.48
・「この時代になると置石が廃止されて、現代の碁とまったく同じ打ち方になっている。これは、四千年の囲碁史上、最大の革命というべきで、これによって隅の打ち方に色々と変化が生じ、布石(序盤戦の考え方)が進歩したわけである。」p.69
・「第四世本因坊の道策名人の場合は、珍しい例外だった。道策は、後世から「実力十三段」といわれたほどの怪物であり、他の家元三家がタバになってかかっても敵わなかった。」p.72
・「プロ棋士は、入門のときに一局、初段になったときに一局、合計二局が師匠から生涯に打って貰える指導碁のすべてであり、これは昭和の現代でもあまり変わっていない。中には、師匠に一局も教わらなかった弟子さえいるのである。」p.113
・「現在、囲碁のプロ棋士は、日本棋院に所属する者およそ三百人。関西棋院に属する人およそ百名。ザッと四百名である。このほか、韓国に五十名ほど、中国に二十名ほど、そして台湾に十名ほどいるようだから、全世界でも五百人以下。きわめて特殊な世界に住んでいる人種であり、その珍しさは、まあパンダ並みと申してもよさそうだ。」p.130
・「ヤブうぐいすを師匠にしたうぐいすのひなは、悪い癖がついてしまって一生涯直ることがない。言ってみれば、私の病気は至って軽症であるから、近所のバアさんのまじないで充分だというようなもの、命を大切にする人は、名医が手近にいればこれにかかるのにこしたことはない。」p.153
・「およそ国が百あれば百種類の将棋がある。いわば、将棋は人間が作ったものである。碁は、地上にただひとつ。これ、すなわち神の作りたもうたものであろう。」p.165
・「念の為に申し上げるが、イギリスでサイダーを飲みたくなったら、あなたは、必ず、レモネイドと言わねばならない。サイダーと言えば、口あたりのよいおいしいリンゴ酒が出てくるからである。」p.174
・「「中国のプロは、献身的で本当にすばらしい。それに比べると、日本や韓国のプロは、まるで観光旅行だ」 どうやら彼は、私も日本のプロであることを忘れていたらしい。」p.179
・「碁の別称に「手談(しゅだん)」というのがある。私の大好きな言葉である。」p.179
・「機械先生は人間を追い越すべく、夜も寝ないで長考を始めるであろう。但し、プロ棋士が機械に一手指南を仰ぐという奇怪な日が来るのは、私のカンによれば、まだ何百年も先のことのように思えてならない。」p.193
・「何でも、その道の人に教えて貰ったところでは、361!は、全宇宙を電子で埋めつくしたとして、その電子の数をはるかに超えるということである。」p.197
・「これはダメと呼ばれ、勝負には影響しない。「こりゃダメだ」などという形容は碁から生じたものらしい。」p.208
・「結局、碁のルールは、
一、地の多いほうが勝ちである。
二、周囲を取り囲まれた石は生存できない。
三、コウのルール
の三つしかない。実に簡単なもので、三歳の幼児でも覚えられることがおわかりいただけたと思う。」p.215
・「碁は人の心を豊かにする。碁にとりつかれた外国人は、何とかして碁の天国、日本へやって来ようとする。その申し分のない環境にすみながら、碁を知らぬ日本人がいるとは、何とまあお気の毒なことであろう、とは私の弟子の外人の口ぐせだけれど、なるほど、そんなことであるかも知れない。」p.227
?し【[漢字表示不可]】 数の単位。一億の一億倍。一説に一億の一万倍。
チェック本 千野栄一『外国語上達法』岩波新書
・うちの父は毎週日曜昼に囲碁の番組をボケーっと見るのが習慣でした。当時、子供心に「いったい何がそんなにおもしろいのか??」まったく理解不能でしたが、現在でもその状況は変わっていません。
・著者はプロ五段。囲碁の打ち方についてではなく、囲碁にまつわるエピソード集といった内容。私のように囲碁を知らなくても読めるし、知っている人でも楽しく読めるのではないでしょうか。
・少し前に漫画の影響で一時流行りましたが、今はどうなったんでしょうね。私が手を出すのはまだかなり先の話になりそうです。
・「余分な話になるが、有名な国文学者でも、碁の用語が分からぬために、『源氏物語』の解釈が間違っているケースも少なくないということである。」p.4
・「どうやら、古人も碁の歴史の古さにはおそれ入ったらしく、歴史が始まったときには、もう囲碁があったと認めたらしい。聖書ではないが、「はじめに囲碁ありき」である。」p.5
・「韓国や中国などでは、麻雀は賭博であるから御法度だが、碁は大いに奨励されている。」p.9
・「現在、碁が行われていないところは、アフリカ大陸と中近東などの、国際紛争のあるところや飢餓のあるところだけ、それと囲碁の大本山である日本国内の一部(皇居)だけだ。」p.27
・「碁でも同じことだか、教える者と教わる者の心が一つになったとき、そこにすばらしい上達の道が拓けるのだ。」p.37
・「プロ棋士として最も度々質問されることの一つに、「どうしたら碁が強くなれますか」というのがあるが、それに対する答えはいつも決っている。
一、よい師匠を見つけなさい。
一、よい書物を探しなさい
一、よい碁がたきを作りなさい。
の三個条だ。」p.37
・「碁盤なしで碁を最後まで完全に打てるのは、現在のプロ棋士の中には一人もいないと断言してもよい。」p.48
・「この時代になると置石が廃止されて、現代の碁とまったく同じ打ち方になっている。これは、四千年の囲碁史上、最大の革命というべきで、これによって隅の打ち方に色々と変化が生じ、布石(序盤戦の考え方)が進歩したわけである。」p.69
・「第四世本因坊の道策名人の場合は、珍しい例外だった。道策は、後世から「実力十三段」といわれたほどの怪物であり、他の家元三家がタバになってかかっても敵わなかった。」p.72
・「プロ棋士は、入門のときに一局、初段になったときに一局、合計二局が師匠から生涯に打って貰える指導碁のすべてであり、これは昭和の現代でもあまり変わっていない。中には、師匠に一局も教わらなかった弟子さえいるのである。」p.113
・「現在、囲碁のプロ棋士は、日本棋院に所属する者およそ三百人。関西棋院に属する人およそ百名。ザッと四百名である。このほか、韓国に五十名ほど、中国に二十名ほど、そして台湾に十名ほどいるようだから、全世界でも五百人以下。きわめて特殊な世界に住んでいる人種であり、その珍しさは、まあパンダ並みと申してもよさそうだ。」p.130
・「ヤブうぐいすを師匠にしたうぐいすのひなは、悪い癖がついてしまって一生涯直ることがない。言ってみれば、私の病気は至って軽症であるから、近所のバアさんのまじないで充分だというようなもの、命を大切にする人は、名医が手近にいればこれにかかるのにこしたことはない。」p.153
・「およそ国が百あれば百種類の将棋がある。いわば、将棋は人間が作ったものである。碁は、地上にただひとつ。これ、すなわち神の作りたもうたものであろう。」p.165
・「念の為に申し上げるが、イギリスでサイダーを飲みたくなったら、あなたは、必ず、レモネイドと言わねばならない。サイダーと言えば、口あたりのよいおいしいリンゴ酒が出てくるからである。」p.174
・「「中国のプロは、献身的で本当にすばらしい。それに比べると、日本や韓国のプロは、まるで観光旅行だ」 どうやら彼は、私も日本のプロであることを忘れていたらしい。」p.179
・「碁の別称に「手談(しゅだん)」というのがある。私の大好きな言葉である。」p.179
・「機械先生は人間を追い越すべく、夜も寝ないで長考を始めるであろう。但し、プロ棋士が機械に一手指南を仰ぐという奇怪な日が来るのは、私のカンによれば、まだ何百年も先のことのように思えてならない。」p.193
・「何でも、その道の人に教えて貰ったところでは、361!は、全宇宙を電子で埋めつくしたとして、その電子の数をはるかに超えるということである。」p.197
・「これはダメと呼ばれ、勝負には影響しない。「こりゃダメだ」などという形容は碁から生じたものらしい。」p.208
・「結局、碁のルールは、
一、地の多いほうが勝ちである。
二、周囲を取り囲まれた石は生存できない。
三、コウのルール
の三つしかない。実に簡単なもので、三歳の幼児でも覚えられることがおわかりいただけたと思う。」p.215
・「碁は人の心を豊かにする。碁にとりつかれた外国人は、何とかして碁の天国、日本へやって来ようとする。その申し分のない環境にすみながら、碁を知らぬ日本人がいるとは、何とまあお気の毒なことであろう、とは私の弟子の外人の口ぐせだけれど、なるほど、そんなことであるかも知れない。」p.227
?し【[漢字表示不可]】 数の単位。一億の一億倍。一説に一億の一万倍。
チェック本 千野栄一『外国語上達法』岩波新書
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