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名優…♪

2020-08-04 11:25:27 | Weblog
先週金曜日のNHK-Eテレ『日本の芸能』は故六世中村歌右衛門の特集でした。
言わずと知れた名女形。
番組では残されている映像とともに、元NHKアナウンサー山川静夫氏の解説有り。
演目は娘道成寺の白拍子花子、助六の揚巻、伽羅仙台萩の政岡、籠釣瓶花街酔醒の花魁八ツ橋、壇之浦兜軍記の阿古屋というラインナップ
籠釣瓶花街酔醒の花魁八ツ橋だけは、歌右衛門丈の晩年に差し掛かった頃だけど、旧歌舞伎座で実際に観たことがあります。
花魁道中の八ツ橋が次郎左衛門と出会う“見染め”の場から、花道に差し掛かったところでフッと微笑む。
なんとも言えない華がありました
傾城の飾り立てた衣装やバケツのような履物のせいばかりではない、大きさを感じました
この仄かな笑みについて、歌右衛門丈が山川氏にお話しされたことがあるんですって。
だってね、アナタ、花魁道中で出てきて花道を引っ込むだけじゃ私は何にもすることがないじゃありませんか、せめて笑うくらいはしないとねぇ
だそうです。
山川氏はこのときの笑みを“ニッと笑う”と表現してましたが、たった一度の
ニッ
が、芝居の空気に大きな色を添えることになるんですから、凄いですよね
そして、壇之浦兜軍記の阿古屋が箏・三味線・胡弓の三つの楽器を演奏するシーン。
尋問役の畠山重忠は、演奏に乱れがあれば阿古屋が嘘をついている証拠だという。
芝居の山場であり役者にとっては見せ場。
歌右衛門丈は
どう演奏しようか、次の手順は何だったかなどと考えて弾いているうちは芝居にはならない。手順など考えなくとも自然に曲を奏でられるようでなければ、阿古屋の心のうちは表現できない。
というようなことを仰ってました。
凄いよね、どの楽器の演奏も吹き替えじゃないんんだもの。
阿古屋は、以前に坂東玉三郎丈が演じられたのをやはり映像で観たことがあります。
歌右衛門丈と玉三郎丈、なんだかね、このレヴェルまでくると優劣など比べても意味ないわね。
どちらがより好きか、それだけだと思う
コメント
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