人力でGO

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破綻企業が支えるアメリカの住宅市場

2011-03-01 07:19:00 | 時事/金融危機


■ 金融危機の原因 ■

このブログを読まれている方は、「アメリカの景気拡大」や「日本の12月期の景気回復」という報道を信じている方は いらっしゃらないと思いますが、新聞や経済雑誌の紙面には上記の様なタイトルが掲げられています。

今般のリセッションの原因は、今も変わらずアメリカの住宅市場の崩壊ですが、その中心は事実上破綻しているフレディーマックとファニーメイです。

GSEの機能は住宅市場に資金を提供する事です。

① 銀行が個人に住宅ローンを融資する
② GSE(フレディーマックとファニーメイ)が銀行の債権を買い上げる
③ 住宅債権を細切れにして合成し、MBSを組成して投資家に販売する

④ 低所得者にサブプライムローンを貸し付ける
⑤ 住宅価格の上昇が止まり、サブプライムローンの返済が滞る
⑥ サブプライム危機が発生する

⑦ サブプライムローンを含む住宅債権が暴落する
⑧ 住宅の価格下落と失業率の上昇で、高所得層の住宅ローンの返済も滞り始める
⑨ MBSが暴落し、住宅金融が崩壊する

⑩ フレディーマックとファニーメイの所有する債権が劣化あるいはデフォルトする
⑪ フレでーマックとファニーメイは時価評価すれば債務超過に陥る
⑫ 政府がフレディーマックとファニーメイを国有化して救済する

この様にボロボロの状態のアメリカの住宅金融市場ですが、一時の1/5程度になったとは言え、新規住宅の着工は細々と続いています。

現在、新規住宅の融資の9割はフレッディーマックとファニーメイが貸し付けています。アメリカの住宅市場はゾンビ会社が支える市場です。

■ フレディーマックとファニーメイの縮小案は実現不能 ■

<WSJから引用>

http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Finance/node_189414
「米政府、ファニーとフレディの段階的縮小に着手へ」 WSJ 3月1日

【ワシントン】オバマ米政権は政府管理下にある連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の段階的縮小を目指しており、両機関の手数料と資本基準、頭金要求額の緩やかにしても即座の引き上げを計画している。米財務次官が28日、明らかにした。


 ジェフリー・ゴールドスティーン米財務次官(国内金融担当)は、「この2つの機関を段階的に縮小するために米政権が使用できる政策手段が複数ある」と言及。「このプロセスを直ちに開始することを目指し、われわれは米連邦住宅金融局(FHFA)と協力していく」と表明した。


 FHFAは2008年に政府の管理下に置かれた米政府系住宅金融機関(GSE)である両機関の規制当局。


 オバマ政権は今月上旬、国内の低迷する住宅ローン市場に対する政府の広範な支援を縮小し始める計画の概要を示した。米当局者らはこうしたプロセスには数年かかる可能性があり、またこれには両機関の段階的縮小が含まれる見通しだと明らかにしている。


 同財務次官は、両機関が投資家に売却する住宅ローンの保証費引き上げ、潜在的な損失補填のための資本額の増強、また、住宅購入者に対する頭金要求額の引き上げといった項目を強調した。

 過去1年間に実施された米新規住宅ローン組成の10件のうち9件をファニーメイとフレディマックをはじめとする連邦機関が占めた。

<引用終わり>


上の記事によると米政府はフレディーマックとファニーメイの段階的な縮小に着手する様です。しかし、住宅融資の9割をこの2社が引き受ける現状で、頭金や保障費用の引き上げは、住宅市場をさらに冷え込ませます。

① 住宅ローンのハードルが上がる事から、住宅市場が供給過剰になる
② 住宅価格が下落する
③ ローン破綻が増加する
④ デフォルトによって中古住宅が供給過剰になり、中古住宅価格がさらに下落する
⑤ 住宅市場は永遠に負のスパイラルに陥る・・・。

アメリカの内需における住宅市場の比率は大きく、アメリカ人の消費は住宅価格の上昇に後押しされていました。住宅市場というエンジンが停止した状態では、FRBが潤沢にドルという燃料を投入してもアメリカ経済は上昇する事はありません。

そろそろアメリカ経済は「滑空」を終えて「急降下」そして「墜落」という運命を歩むでしょう。