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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

圧力容器の表面温度400℃・・・空焚きという選択肢

2011-03-21 21:52:00 | 福島原発事故



■ 1号機の圧力容器の表面温度400℃ !! ■

単純な間違えである事を祈りますが、又もや物理法則が揺らいでいます・・・。

<Bloomberg news より引用>

「東電:福島第一原発1、2号機の原子炉圧力容器外壁の温度低下傾向」
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920019&sid=atxMG22sJKLM

3月21日(ブルームバーグ):東京電力は21日午後の記者会見で、福島第一原子力発電所1、2号機の圧力容器の外壁の温度が低下傾向にあることを明らかにした。

  同社原子力設備管理部の黒田光課長は、1号機について20日午前3時の400度から21日午前3時の385度に低下したと述べた。2号機は21日午前3時に160度以下だった。黒田課長は「海水の注入を継続していることから、温度が下降傾向にある」と説明した。

<引用終わり>

「1号機の圧力容器の表面温度400度」っていったい??
もしこれが摂氏ならば、内部の蒸気圧は220気圧(22MPa)を越えています。

1号機の圧力容器の耐圧が90気圧(9MPa)ですから、密閉状態では完全に圧力容器が破損します。

昨日の圧力容器内の圧力は上の図からは2.95気圧(0.295MPa)ですから、400度の水蒸気圧の220気圧にとうてい及びません。

① 実は圧力容器の中に既に水は存在しない
② 水蒸気爆発を恐れて海水の注入が出来ない
③ 水が無い方が、再臨界を起こさないと判断して燃料棒を溶融するに任せている
④ 圧力容器は空焚きで、格納容器を用いて圧力容器を外側から冷却している
 
モワモワと妄想が膨らんでしまいますが、圧力容器に水な無ければ、燃料棒が溶融して散乱したペレットが再臨界を起こす事も、高温のジルコニウム合金が水素を発生する事もありません。

後は16cmの厚さを持つ圧力容器が、外からの冷却でどのくらい持つかですが、既に時間との戦いなのかもしれません。

圧力容器に注水できなかった事が幸いして、日本は救われた・・・なんて事は・・ある訳無いか。

<追記>

色々考えてみましたが以下の理由により、やはり圧力容器は空焚きで、格納容器にじゃんじゃん水を流して圧力容器を冷却して再臨界を防いでいるのではないでしょうか?

① 500リットル/分の水が圧力容器に注入されて水位が回復しなければ大量の水蒸気が発生。
② 圧力容器の外側温度が400度と高温
③ 圧力容器の内圧は3気圧と低圧で、水蒸気の存在が伺えない
④ 格納容器が負圧(1気圧以下)となっており、大量の海水で冷やされている可能性が高い

圧力容器内の水を抜けば再臨界が起こらない事は、東海村の臨界事故で最終的に水を抜いて臨界を止めた事とも共通します。

この方法の利点は・・・

① 圧力容器内の水蒸気爆発による燃料の拡散を防げる
② 圧力容器内の水素の発生を抑え、水素爆発を防げる
③ 圧力容器からの排気が少なく、格納容器の海水の放射能汚染を最小に止められる

但し、問題点は

① 圧力容器に再注水すると水蒸気爆発を起こす可能性が高い
② 圧力容器に再注水すると、再臨界を起こす可能性が否定できない
③ 圧力容器に注水しない場合は、圧力容器が熱に耐えられる期間、ひたすら外部から冷却
  を続け、燃料の除熱を待つ必要がある
④ 燃料を除熱しても、注水すると溶解してまとまった燃料の形状によっては再臨界の可能  性は否定出来ない。
⑤ 上記理由より長期間外部から冷却する必要がある
⑥ 何よりも圧力容器が内側の高温に耐える必要がある

さらに

① 地震によって圧力容器の配管が破損している場合、燃料の蒸発物(ヨウ素やセシウム)  が大気中に放出される。
② 現在、広範囲に観測されている放射性部室はこれが原因かも知れない
③ 燃料が冷えるまで、放射性物質の放出が続く可能性がある。

いずれにしても、暫くは予断を許さない状況が続きそうです。

デュラックの海に沈む!・・・・もはや物理法則の境界を逸脱した原子炉?

2011-03-21 03:26:00 | 福島原発事故


■ 現実が薄れていく・・・ ■

「参号機の圧力上昇。強制ヴェントも辞さない。」
「弐号機、電源ケーブル接続」
「壱号機への放水続行。」
「瓦礫の撤去に74式戦車2両をあたらせろ!!」

こんな報道が連日TVから聞こえて来たら、放射能以前にアニメで脳を毒された私には、もはやコイツの映像しか浮かんできません。

そもそも「暴走」はコイツの専売特許だったはずです・・。


■ 既に物理法則すら無視し始めた原子炉 ■




上の図は20日、14:00の2号機のデータです。
http://www.meti.go.jp/press/20110320002/20110320002-2.pdf

2号機は圧力調整プールもしくはその周辺配管の損傷が疑われている原子炉です。

① 燃料棒上部は1400mm水面から出ている
② 炉心への海水の注入は継続されている
③ 圧力容器の気圧が0.085MPと0.069MPである
④ 原子炉格納容器の気圧は125kPaでる。


下に気圧(atm)と単位系の表を載せます。



⑤ 1気圧(atm) = 0.1(Mp)
⑥、2号機の圧力容器内は0.85気圧と0.69気圧
⑦ 高温で炉心溶融が起こっている炉内圧力が大気圧以下!!

このデータを見て私は、事故を起こした原子炉は、暴走の果てにとうとう物理減速の境界の果てに落ちてしまったのでは無いかと思ってしまいました。

では本来高温高圧のはずの原子炉格納容器と圧力容器内が大気圧以下になる条件を考えてみましょう。

① 炉心によって冷却水が沸騰し(沸点は圧力によって変化)体積が増え圧力上昇
② 冷却海水を注入し、冷却水が沸点以下になる
③ 水蒸気が水に戻り、体積が減じて圧力が一時的に大気圧以下になる

さらには圧力容器もしくはそれに連なる配管に亀裂が生じ、圧力容器内の蒸気が格納容器に漏れ出している可能性が大です。

④ 圧力容器の水位が失われている
⑤ 格納容器の圧力が一時的に8気圧まで高まったという情報がある
⑥ 格納容器は圧力調整プールの水によって蒸気を冷却して内部圧力を下げる事が出来る
⑦ 本来高圧であるはずの圧力容器内が1気圧以下になる

多分事故原発では①~⑦の過程を繰り返されているので、気圧が1気圧以下になっているのでしょう。

しかし、一番可能性が高そうのなのは、データを作成された方のデータの読み間違え。

そうでなければ、原子炉は本当にデュラックの海にでも沈んでしまったのでは・・・。


■ 単位には気をつけましょう ■

ニュースを見る時に、「単位」には気をつけいものです。理系の方は、単位系には神経質ですし、グラフの縦軸にも気を使います。

しかし、文系の方は数字や良く分からない単位に翻弄されてしまいます。

現在の原発の報道で尤も気をつけるべきは、○○μSv/hや○○mSv/hという放射線の単位の「シーベルト」です。

ちなみに

1 (μSV/h) =  0.001(mSv/h) = 0.000001(Sv/h)
1000 (μSv/h) =  1.0 (mSv/h) = 0.001 (Sv/h)
1000000 (μSv/h) = 1000.0 (mSv/h) = 1.0 (Sv/h)

特に注意が必要なのは「/h」の部分です。

「/h」は「1時間当たり」という意味ですから、下記のような関係になります。

2時間で   2倍
1日で   24倍
1年で 8760倍

通常の年間被爆量の許容は1(mSv)です。

これを1時間当たりに換算すると、

0.001(Sv) ÷ 8670(h) = 0.000000114(Sv/h) = 0.114(μSv/h)

放射線は光と同様に考えれば良いので、0.114(μSv/h)の放射線源に一年間当たり続ければ基準値に達します。

しかし原発作業員の年間被爆基準値は50(mSv)ですから、1時間当たり5.7(μsV)の放射線に一年間曝されても、通常は健康被害は発生しないと考えられます。

20日3時の各地の放射線量を下に示します。



このデータによれば東京近辺は一般人の年間許容値よりも一桁低い数値ですので現状心配入いりません。

しかし、福島8.54(μSv/h)や館林12.4(μSv/h)は既に原発作業員の基準値を超えていますから、この様な数値が定常的に計測される様ならばリスクが高いと言えます。


風向きや天候に影響される数値ですので、1週間程様子を見て改善が見られなければ、福島県内では対策が必要かもしれません。

■ 内部被爆が最も怖い ■

原発事故で最も怖いのは内部被曝です。

放射線量は光と同じですから、放射線元との距離の二乗に反比例します。

1m離れたところにある1(Sv/h)の放射線元は、10cmでは10000(Sv/h)の放射線元となります。

体内に放射線元(放射性物質)が取り込まれると、借りに1mの距離の細胞は100万(Sv/h)の被爆をします。

実際には体内に取り込まれる様な微細ば放射性物質の発する放射線は弱いので、甲状腺や生殖細胞などにある程度の放射性物質が溜まると、ガンなどの障害が発生します。

昨日から食品の放射能汚染が問題になっていますが、この問題は真剣に考える必要があります。

■ 事故原発はもはや、全自動洗濯機状態? ■

原発は本来放射性物質を原子炉から排出しない設計になっています。
通常、圧力容器内の水は、濃縮圧縮して、ドラム缶に入れられて保管されています。

圧力容器内の水位が減少して、燃料棒が水面より露出していますが、圧力容器内の冷却水は、格納容器内の漏れ出していると考えて間違いないでしょう。
格納容器の圧力調整プール周辺に損傷の恐れがある2号機では、放射性物質に汚染された水が、格納容器外に漏れだしている可能性があります。

さらには、使用済み核燃料プールにザバザバ水を掛けています。
もし使用済燃料棒の表面のジルコニウム合金が溶けて燃料が露出していれば、冷却水の放射能汚染の可能性が高くなります。

言い方は悪いですが、既に福島第一原子力発電所は、放射性物質の全自動洗濯機と化しています。


新聞やニュースの報道は、大気中の放射線の測定結果しか流しませんが、本当に甚大なのは周辺地下水や海の放射能汚染です。

この問題は、今後クローズアップされ、現場近海の海産物は汚染によって販売が禁止されるでしょう。

■ 現代の使徒、「原発」 ■

結局、原子力発電所は、一度暴走したら止める事の出来ない「現代の使徒」だったのです。

原発報道にエヴァンゲリオンが重なってしまうのは、そんな潜在的恐怖からかも知れません。

■ 自分でデータを分析して身を守るしかない ■

本日の書き込みは、多少扇情的かもしれませんが、現在私達がしなければならない事は、政府やマスコミが発表する断片的情報をかき集めて、自分自身で電卓を弾いて、自分や家族の安全を守る事しか無いのです。