■ 米財務省、保有MBSを売却 ■
日本では原発が大変な事になっていますが、アメリカでもかなりヤバイ事になってきました。
<ロイターより引用>
「米財務省、保有MBS1420億ドルの売却を開始」
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20155320110321
米財務省は21日、金融危機への対応として2008─09年に買い入れた、政府系住宅金融機関(GSE)の保証付きモーゲージ担保証券(MBS)1420億ドルの売却を開始すると発表した。
買い入れ当時と比較して、経済状況やMBS市場が改善していることが理由とし、法定債務上限とは無関係と説明した。
3月から毎月約100億ドルのMBSを売却する予定で、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)(FNMA.OB: 株価, 企業情報, レポート)もしくは連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)(FMCC.OB: 株価, 企業情報, レポート)保証の30年固定MBSが中心になる。
ミラー財務次官補(金融市場担当)は「われわれは、市場安定回復への一助として08─09年に実施した緊急プログラムの解除を継続しており、当該証券の売却はそうした動きに沿った取り組みだ」と述べた。
財務省筋によると、売却によって見込まれる利益は、市場状況に左右されるが、150─200億ドル程度で、計画通り売却が進めば、ポートフォリオは約1年で清算される可能性がある。
<引用終わり>
■ 以前低調な米住宅市場 ■
「リーマン・ショッック死」の時の市場と比べれば「改善」と言えるのかもしれませんが、依然、アメリカの住宅市場は低調です。
<Bloombergより>
「2月米中古住宅販売:9.6%減の年率488万戸、価格は5.2%低下(1)」
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=atVoqAVUoaEQ
3月21日(ブルームバーグ):2月の中古住宅販売は、予想以上に落ち込んだ。中古住宅価格の中央値は2002年4月以来の低水準だった。
全米不動産業者協会(NAR)が発表した2月の中古住宅販売件数(季節調整済み、年換算以下同じ)は、前月比9.6%減の488万戸となった。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査の予想中央値は513万戸だった。前月は540万戸(速報値536万戸)に修正された。
中古住宅価格(中央値)は前年比で5.2%低下して15万6100ドル。中古販売物件に占める差し押さえに加え、ローンが焦げ付いた住宅の割合は39%だった。
ワコビアのエコノミスト、アニカ・カーン氏は、「住宅市場は依然として低迷している」と述べ、「差し押さえ物件や住宅ローンの焦げ付き物件の取引は今後も増えるだろう。この部分が増加している限りは住宅市場全体の弱さは変わらないとみている」と指摘した。
地域別では全米4地域すべてで販売が減少した。特に中西部では12%減、南部でも10%減少した。
2月の中古住宅在庫は前月比3.5%増加して349万戸。これにより、販売に対する在庫比率は8.6カ月と前月の7.5カ月から拡大した。NARによると、在庫比率が8-9カ月であれば安定した住宅価格が維持される。
<引用終わり>
良質な中古物件が大量にストックされているのですから、新築物件の低調も押して知るべしです。
そんな中でMBSを売却しても、ロクな買い手は付かないのではないかと思いますが、多分ゴールドマンをはじめ大手銀行が買い支えるのでしょう。
アメリカはどうにかしてMBSなど債権市場を復活させて「影の銀行システム」をフル回転させたい。FRBは米国債の買い入れで手一杯なので、MBSの市場は銀行に支えさせるつもりです。
その証拠に、昨年まで国債に比重を置いていたゴールドマンの運用の一部が、ファニーメイなどのMBSにシフトしています。大手銀行は昨年末からMBSを買い支えて、財務省がMBSを売却する為の地ならしをしていたと思われます。
■ ゴールドマンがMBSを買う時は要注意 ■
尤もゴールドマンがMBSを買う時は要注意。ウラでCDSを仕掛けているかもしれません。
リーマンショックと同じ手に市場が再び引っかかるとは思えませんが・・・。
ところで、財務省が売却するMBSが市場でだぶつけば、30年物などの超長期債の金利は上昇するでしょう。
FRBのQE2(米国債買取プログラム)も短期国債の購入が中心ですし、米国には既に「10年後」は訪れないのでしょう。
■ FRBが取引内容を公開 ■
<bloombergより引用>
FRBは昨年12月、金融規制改革法(ドッド・フランク法)に基づき、6つの支援プログラムの詳細を公表した。今回新たに公開される情報も、金融危機に対するFRBの前例のない規模の取り組みの実態を納税者の前に明らかにすることになる。FRBは裁判所命令に基づき、08年4、5月に融資を受けた金融機関と融資額に関する231ページに及ぶ記録を開示しなければならない
<引用終わり>
米国の大手商業銀行で構成するクリアリング・ハウス・アソシエーションが反対していたFRBの情報開示を連邦最高裁が指示しました。
FRBと米銀行の牙城も崩れつつあります。
はたして有害放射能の如く撒き散らされるドルの運命や如何に?
リビアの有事、日本の危機的状況の中でドルがこれだけ売られるのは不気味です。
「有事のドル買い」から「有事のドル売り」に既にパラダイム・シフトしているのかもしれません。