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水道水は飲めるのか?・・・心配するより先ず計算

2011-03-28 10:49:00 | 時事/金融危機
■ 水は飲んでも平気? ■

私はこんな日記は書いていますから、放射線恐怖症とお思いかもしれませんがが、我が家の飲み水は水道水。洗濯物は外に干し、布団もしっかり干してます。

だって、0.05(μSv/h)なんて、ほとんど平常値ですから。

でも、ちょっと水は不安がよぎります。
この水を飲んで、内部被爆はどのくらいなのでしょうか?

■ 計算してみました ■

ある資料によれば、幼児の実効線量に関わる線量係数は、
7.5×10-8(10のマイナス8乗です)(Sv/Bq)

100(Bq)が検出された水1(ℓ)で、甲状腺の実効線量は

100(Bq/ℓ) * 7.5×10-8(Sv/Bq) = 0.0000075(Sv) = 7.5(μSv/ℓ)

一日子供が1リットルの水を飲んだとして一年間で

7.5(μSv/ℓ) * 365 = 2737.5(μSv) = 2.735(mSv)

子供の一年間の許容量が 10(mSv)だから、一日3.65ℓの水を飲まなければ健康には影響は無いようです。

ちなみに大人は100(mSv)だから、100(Bq/ℓ)の場合で36.5(ℓ)も水が飲めます。

大人の基準値300(Ba/ℓ)でも12(ℓ)も飲めちゃいます。

甲状腺の実効放射線量に換算していますから、当然内部被爆を考慮しています。


これで安心して水が飲めます!!

<訂正>

「本当に安全なの?」というご指摘で調べてみたら、WHOの基準値はヨウ素131が10(Bq/ℓ)
セシウム137が10(Bq/ℓ)でした。

日本の水道水は従来、放射性物質の基準が無く、WHO基準を適用してきましたが、原発事故の直後の3/17に厚生労働省が通達を発し、幼児100(Bq/ℓ)、大人300(Bq/ℓ)が決まりました。

・・・これって、ヤバイですね・・・。


内部被爆・・・ようやくデータが公開されました

2011-03-28 08:52:00 | 福島原発事故


■ 内部被爆シミュレーション ■

内閣府にある原子力保安委員会が緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)のデータを公開しています。

首相官邸のホームページkらアクセスできます。
http://www.nsc.go.jp/info/110323_top_siryo.pdf

「原子力安全委員会では、3月16日より、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による試算のために、試算に必要となる放出源情報の推定に向けた検討をしてまいりました。3月20日から陸向きの風向となったため、大気中の放射性核種の濃度が測定でき、限定的ながら放出源情報を推定できたことから、本システムの試算を行うことが可能となりました。これをもとに試算した結果は、別紙のとおりです。」

上記の説明ともいい訳とも取れる「経緯」と共にデータが載っています。
このデータは内部被爆量を想定する上で重要になります。

■ 外部被爆 ■

健康な大人の1年間の被爆許容放射線量は1000(μSv)=1(mSv)です。
これは主に外部被爆を想定した数値です。

放射線は光だと思えば理解しやすいと思います。
放射線元が体外にある場合は、体から離れた場所にあるランプの光を浴びていると考えられます。

① 放射線元が多ければ、被爆量は大きくなる
② 放射線元が近ければ、被爆量は大きくなる
③ 放射線に当たる時間が長ければ、被爆量は大きくなる

放射線は空気流を漂う放射性原子などから放射されています。コンクリートなどで遮蔽すれ放射線は遮断できますから、室内では当然外部より低い値になります。

又、衣服や体表に付いた放射線元は、はたいたり、体を洗えば除去できます。

■ 内部被爆 ■

最近TV等でよく聞かれる内部被爆は、放射線元が体内にある場合の被爆です。

光などの放射の強度(明るさ)は、放射線元(光源)からの距離の二乗に反比例します。
1mで1(Sv)の放射線元から、2m離れれば0.25(Sv)になります。

逆に距離が近づく場合はどうでしょうか?
1mで1(Sv)の放射線元から、0.5mに近寄った場合は4(Sv)の放射線を受ける事になります。(放射線の当たっている範囲において)

それでは体内に取り込まれた放射線元(放射性物質)はどうでしょう。
仮に1mで1(Sv)の放射線元が、1mmの場所にあれば1,000,000(Sv)の放射線を細胞は受ける事になります。

分子レベルの放射線量は非常に少なくても、体内の細胞の直ぐ近くで発せられる放射線は、近くの細胞にダメージを与えます。

■ 細胞のDNAは自己修復する ■
放射線が何故人体に悪影響を及ぼすかと言えば、放射線がDNAを損傷するからです。

① 放射性物質から発した放射線(エネルギーの強い光)がDNAの結合は破壊する
② 普通はDNAの自己修復能力により放射線の影響はキャンセルされる

③ DNAの自己修復能力以上の放射線を照射されると、DNAのダメージが残る
④ DNAのダメージが蓄積すると、細胞が死ぬ場合がある
⑤ 一部の細胞はDNAの異常により、ガン細胞化する。

⑥ 通常、自己免疫によってガン細胞は駆逐される
⑦ 免疫の弱い人や、免疫を上回るガン化によって癌が発症する。

胎児や子供など、細胞の分化の活発な時期は、放射線の影響を受けやすく注意が必要です。

■ 癌の放射線治療 ■

癌の放射線治療は放射線によるDNAの破壊を利用した治療です。

皆さんはビックリされるかも知れませんが、乳癌の放射線治療では1回2(Sv)を25回、合計50(Sv)の放射線を照射します。

大人の一年間の被爆許容量が1(mSv)ですから、実にその50,000倍に相当します。

「そんなに放射線を当てたら癌になってしまう」と心配されるでしょうが、実はその通りで、放射線治療はDNAを破壊するので癌のリスクを伴います。

しかし、適切な線量と適切なインターバルを置けば、正常な細胞のDNAは破壊されても修復し、DNAの修復機能に異常をきたしているガン細胞だけがドンドンDNA破壊を繰り返します。ガン細胞は最後は生命活動を維持する事が出来ないまでDNAが破壊され死滅します。

放射線治療が有効なのは、放射線による発ガンリスクよりも、ガン細胞を死滅させるメリットが大きいからなのです。

■ 体内被爆には注意が必要 ■

体内被曝は、ミクロの放射線治療だと考えれば分かり易いです。

通常、放射性物質が体内に入っても、その数が少なければ、DNAの自己修復と免疫の効果で細胞がガン化する事はありません。

しかし、大量の放射性物質が体内に存在すると、DNAの自己修復と免疫では追いつかなくなり癌が発症します。

■ 等価被爆量 ■

冒頭に紹介したSPEEDIのシミュレーションは、放射性ヨウ素を体内に取り込んだ時、甲状腺に与える影響を、外部被爆の等価量で表したものです。

ちょっと難しいですが、細胞お直近から照射される放射線強度を、体の外の放射で同等の強度を得るにはどのくらいの放射線強度が必要かを表しています。

大人に許容される一年間の人工的な放射線の許容量が1000(μSv)=1(mSv)ですから、冒頭の図の一番外側の線でも、1日にして100(mSv)の外部被爆に相当する放射線を被爆した事になります。これは、大人の1年間の許容放射線量の100倍に相当します。

細胞や組織レベルで見た場合、内部被爆の影響は外部被爆の比では無いのです。

さらには、放射性ヨウ素の半減期は8日ですから、体内に取り込まれた放射性ヨウ素はしばらくの間、近くの細胞にダメージを与え続けます。

さらには、原発の近くでは絶えずこの放射性ヨウ素が供給され続けます。


■ ジョウジ・ベントの白い煙 ■

「ジョージ・ベントの白い煙」と言っても、ソウル・シンガーのヒット曲ではありません。

25日頃から、1号~4号の原子炉からは、常時白い煙が立ち上っています。

燃料プールからの水蒸気で無ければ、格納容器、圧力容器からの水蒸気という事になり、それは原子炉が既に「常時、ベントされている」という事に他なりません。

揮発性の放射性ヨウ素やセシウムは、今もドンドン排出され続けているのかもしれません。

圧力容器の圧力の低さが気になります・・。