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リビア内乱・・・カダフィの汎アラブ主義

2011-03-05 03:33:00 | 時事/金融危機


■ リビア内乱の深層 ■

今回は記事の紹介です。

<引用>

ソース→http://www.infowars.com/world-cheers-as-the-cia-plunges-libya-into-chaos/

【CIAの働き→リビア混迷化で世界は狂喜する】
by David Rothscum

カダフィが支配するリビアは国民を抑圧していたのか?もう一度ここに事実を呼び起こしてみよう。

混迷化以前、リビアで投獄された人間の数はチェコ共和国のそれより少なかった。アフリカ諸国の中でリビアは一番乳児死亡率が低かった。リビアの寿命はアフリカ諸国の中で最も長かった。栄養失調にかかっていたものは国民人口の5%以下。高騰する世界の食糧価格に対してリビア政府は早くから手を打っていた。「食品税」をすべて撤廃したのだ。

リビアの人々は豊かに暮らしていた。

一人当たりの購買力で見ると、リビアはアフリカで一番GDPが大きい。政府は国民全員にシェアがいきわたるよう富の分配に努力してきた。リビアはアフリカ大陸で最もHDI(人間開発指数)が高い。富は平等に分配されてきた。リビアでは貧困ライン以下の暮らしをしている人の割合はオランダよりも低い。

何故リビアはここまで豊かになったのか。

その答えはもちろん「原油」だ。実質「シェル石油」に支配されているナイジェリアのようなアフリカの国々と違って、原油埋蔵量が豊富なリビアは外国企業に自国の原油を盗ませて国民を飢餓に追いやったりしなかった。
国民を犠牲にしてパイの自分の取り分だけ多くしようとする腐敗した官僚がいるのは他の国々と同じだ。これに対処するため、カダフィは原油からの収入を直接国民に還元することを主張してきた。カダフィの見解では、「政府とは国民を欺く」ものだからだ。欧米の新聞記事は間違って書いているが、カダフィはりビアの大統領ではない。実際政府の中に彼の公職はない。これが大きな誤解だ。メディアはカダフィがリビアを支配している、と報じているが、実際は違うのだ。彼の地位は儀式的なものだ。それ以上でも以下でもない。言ってみれば「建国の父」のようなものだ。

リビアの真の指導者は国民から間接的な選ばれた「首相」である。現在の首相はバグダッディ・マハムーディである。カダフィをリビアの指導者と呼ぶのは、(日本の)明仁天皇を日本の指導者と呼ぶようなものだ。

欧米のメディア報道とは違い、リビア国内の意見は分かれている。カダフィを支持してマハムーディを追い出したいと思っている人もいるし、カダフィもマハムーディもいらないと主張する人もいる。もともと平和な暮らしをしていたいと思う人のほうがはるかに多いのだ。しかしリビアの指導者とみなされているカダフィに抵抗する反乱・革命だと描いて報道したほうが観客は飛びつくのだ。カダフィは汎アラブ主義と社会主義を適度にミックスさせて現在の政治制度、イスラム政府を作っただけなのだ。

先ほどまで流されていカダフィを支持する民衆の運動がたユーチューブから消えている。「カダフィ支持反マハムーディの人々のデモ」のテープと「ロンドンのリビア大使館前のカダフィ支持のデモ」テープが。切れ切れになった死体よりもっとショッキングなのは、優勢な体制側につかず、カダフィを追い出すために市中のデモ二トンかする人々の姿だ。

リビアの反体制派はエジプトやチュニジアの反体制派と同質なのだろうか。

全く違う。政府の対応はもっと暴力的だ。明らかに過激な暴力が国民に対して使われている。しかしデモ隊の行動に注目してみよう。怒った民衆は一般民衆の議会の建物、即ちリビアの国会議事堂に火を放った。これはデモ隊が米国会議事堂に火を点けるのと同じだ。アメリカ政府だったら、デモ隊が国会議事堂に火を放つのを黙ってみていると思うか。

現在起こっている暴動は、変化を求める非週休的な若者、によるものではない。エジプトやチュニジアで私たちが見てきたものとは異質のものだ。

「バルカのイスラム首長国連邦」と名乗る武装勢力が多くの人質を取り、警官2名を殺害した。バルカとはリビア北西部の以前の名前だ。2月18日(金)、少し前のことだが、この武装勢力はある港湾都市を襲撃し、4名の兵士を殺し、7千万台の車を盗んだ。軍のある中佐がグループに関与していて、以前からあろうことか大量の武器を彼らに与えていたのだ。武装蜂起はベンガジの東部の町から始まった。イタリアの外相が「ベンガジのイスラム首長国が独立を宣言するのではないか」と不安をあらわにした。

ここで、一体どこからこの突然の武装蜂起はもたらされたのか、という疑問が起こる。

この武装勢力に何十年も前から資金を提供していたのがアメリカだ。リビアを征服しようと機会をうかがっていた彼らが、チャンスとばかりに行動を開始したのだ。最近リビアで数多くの略奪や破壊工作をしてきた一派が逮捕された。外国籍のものが何十人も含まれていたことがわかった。リビア政府は「イスラエルとの関連を排除できない」と語った。

英国もリビアのアルカイダの分派に資金を提供していた。カダフィ暗殺を狙って。リビアの最大反政府勢力は「リビア救国国家最前線」(リビア救国フロント)である。この反政府勢力に資金を出しているのは、サウジアラビア・CIA・フランス諜報局である。この一派は他の反政府勢力と合体して「リビア野党国家会議」を結成した。2月17日「怒りの日」と叫んでリビアを混迷に陥れたのはこの組織であった。

彼らはこの武装蜂起を長年カダフィ支配に反対してきた保守的な都市ベンガジで起こした。注目すべきことは、「リビア救国国家最前線」(リビア救国フロント)は十分に武装されている、ということだ。1996年この一派はリビア東部で革命を起こそうとたくらんだ。NFSL(リビア救国国家最前線)の武装部隊、即ちリビア国軍を利用して蜂起を計画したが失敗した。

何故アメリカはこれほどまでに反カダフィなのか。

アメリカがアフリカの覇権を掌握する際にカダフィは大きな脅威となるからである。なぜならカダフィは反米を合言葉にアフリカ大陸を統一しようといているからだ。そのコンセプトは「アフリカ合衆国」である。実際カダフィはアメリカの利害に反するあらゆる構想を胸に暖めている。

カダフィはアメリカを非難する。「アフリカ大陸にHIVを繁殖させたのはアメリカだ」と。彼はいう。「マーティン・ルーサー・キングとジョン・F・ケネディの暗殺を陰で操ったのはイスラエルだ」と。「9.11のハイジャッカーたちはアメリカで訓練を受けた」と。また彼は9.11の後リビア国民にアメリカ国民のために献血せよと勧めた。

カダフィはまた「穏健汎アラブ社会主義革命家」の時代の最後の現役指導者だ。ナセルやフセインが排除された今となっては。そしてシリアがイランの同盟国となった今では。

一方アメリカとイスラエルはアフリカが強くなることなど一向に望んでいない。それどころか計画の根本にあるのは、リビアを混乱させ無政府状態にしてアメリカとイスラエルに跪かせることだ。

2010年後半、英国はリビア政府に武器を売りながら(武器商人で稼ぎ)そのてこ入れに余念がなかった。

リビアを破壊するのに内戦以上に確かな方法はあるだろうか。そういうちょっとした戦争を起こすには、リビアの部族制度を利用すればいいのだ。リビアはもともとさまざまな部族に分かれていたのだから。

これがリビア政府が外国人傭兵を雇い入れた理由でもある。ベンガジでは部族への忠誠が政府への忠誠に優先する。そういうわけで中央政府は国の東部を統制することはもはや不可能だ。傭兵を使わなければ部族間の闘争が始まるだけだ。

カダフィは41年かけて国を同質化しようとしてきた。しかし反政府勢力は外国政権から資金援助を受け国を19世紀の状態に逆戻りさせようとしている。がそれにはもう少し時間がかかりそうだ。

過激な暴力がリビア中に吹き荒れている。しかし誰もが状況はエジプトやチュニジアとは全く異なるのだということを忘れている。部族の絆が強いほど闘争は長く激しくなる。したがってより多くの血を奪うことになる。

いも繰り広げられているリビアの激しい内戦をチュニジアやエジプトの革命と同一視してはいけない。後者の革命は食糧不足と貧困から起こった平和なデモである。腐敗した政府への抵抗である。リビアの混迷は部族間の闘争を含んでいる。原油の争奪戦が絡んでいる。ベンガジ周辺のリビア東部が彼らの本命なのだ。過激なイスラム反政府勢力。遠く外国で西側諸国からの支援を受け政権転覆を狙っている亡命者組織。彼らが一般民衆にまぎれて暴動を過激化している本体なのだ。

カダフィは41年前病気の君主から無血クーデターにより政権を勝ち取った。「統一」のイデオロギーに基づき、エジプト・シリアと平和的統合を目指そうとしていた矢先に「民主主義デモ」感染を仕掛けられたのだ。

リビアの激動が収まってリビアに民主主義政府が樹立するなどということは奇跡が起こらなければあり得ない。パキスタンの二倍以上もある国土には広大な砂漠が広がり、都市間の行き来は想像以上に困難だ。過酷な地理的条件が民主主義で国土全体を統制することをさらに困難にしている。

<引用終わり>


■ 国民国家という概念が希薄な国々 ■

部族社会が色濃く残るアフリカや、イスラム教の宗派間の対立や民族対立がある中東諸国で、フセインやカダフィの様な独裁者が排除された後には、内乱と国の荒廃、そして欧米による収奪が待っています。

日本は第二次世界大戦後、アメリカに従順な国家と国民に変貌しましたが、それは日本が既に強力な中央集権国家であった事と、国民国家思想が当たり前の近代国家として成熟していたから出来た事です。

国家よりも部族や宗教への帰属意識の強いアフリカや中東の国家は、強権でしか統一を維持出来ません。

アフリカや中東の国境が直線的なのは、宗主国の手抜きでは無く、部族間対立や民族間対立の火種を永続させる為の策謀で、イギリスの常套手段とも言えます。

■ エジプトとは異質なリビア内乱 ■

エジプトの民主化運動は、「暇な若者のエネルギー」によって引き起こされました。これは日本における「安保闘争」と同じ構図を持っています。
エジプトではその運動に貧しい人々が賛同し、軍が見逃した為にムバラク政権が崩壊しました。
日本の「安保闘争」では、打算的な大人は若者を支持せず、警察によってその運動は鎮圧されました。

中国の「天安門事件」では、軍が戦車で若者達の運動をひき潰しました。

国家は軍や警察という「暴力装置」を運用しています。反体制運動に対して「暴力装置」が機能すれば、「革命」は成就しません。

リビアでは反体制派に対して「暴力装置」が機能しています。しかい一方で反体制派は「暴力装置」に浸透しています。素晴らしい手際で軍事拠点と石油施設を制圧しています。これはプロ(軍)の仕事です。

リビアで起きている事は、カダフィ独裁への反抗であると同時に、石油利権を巡る部族間闘争です。

カダフィを「砂漠の狂犬」と書きたてる日本や欧米のメディアからは、真実は伝わりません。