■ キセノンの発生元は「自発核分裂」? ■
東電は今回の放射性キセノン検出の原因は
「自発核分裂」によるものだと発表しました。
私はこの発表は「信じて良い」と考えます。
「自発核分裂」とは、原子炉の核反応で作り出された元素のうち、
原子量の大きな元素が、自然に核分裂を起こす現象です。
トリウムよりも原子量の大きな物質で発生します。
核分裂によって元素番号92のウランよりも陽子の数が多い元素が発生します。
93-ネプツニウム(Np)
94-プルトニウム(Pu)
95-アメリシウム(Am)
96-キュリウム(Cm)
97-バークリウム(Bk)
98-カリホルニウム(Cf)
99-アインスタイニウム(Es)
100-フェルミウム(Fm)
101-メンデレビウム(Md)
102-ノーベリウム(No)
103-ローレンシウム(Lr)
104-ラザホージウム(Rf)
105-ドブニウム(Db)
106-シーボーギウム(Sg)
107-ボーリウム(Bh)
108-ハッシウム(Hs)
109-マイトネリウム(Mt)
これらの物質は自然界には存在しません。
(プルトニウムはウラン鉱床の中の天然の原子炉の痕跡として見つかっている)
今回東電はキュリウム242と244がキセノン133と135の発生元だと発表しました。
臨界反応が発生した場合よりも、中性子量も発生熱量も小さかったとの事です。
キュリウム242の半減期は163日、キュリウム244は18.1年なので、
事故後半年以上経った現在、
キュリウムが「自発核分裂」を起すことは不思議ではありあませ。
■ 東電は「隠蔽体質」? ■
皆さんは「東電は隠蔽体質」とお考えかもしれませんが、
事故直後から発表されるデータは、
比較的「ナマ」のデータだったと私は考えています。
ですから、保安院の発表や東電の技術者達が記者会見で話す内容と、
データが示す数値に矛盾が存在するので、
専門家達は「原子炉はいったいどうなっているのだろうか?」と
想像を膨らめていたはずです。
これが現場の良心によるものなのか、
単に東電の情報管理がズサンな為なのかは判断しかねますが、
専門家達は、事故後比較的早期にメルトダウンには気付いているはずです。
原子力ムラの中の人達では、
それを発表する事ははばかられますが、
大前研一氏(もんじゅの設計者の一人)や、小出教授は
事故直後から、メルトダウンを指摘しています。
・・・・現在彼らは、
「核燃料は格納容器もメルトスルーしているのではないか?」
と考えているようです。