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<再掲載>食料輸出大国アメリカの戦略・・・TPPとは何か?

2011-11-23 03:25:00 | 分類なし
 

今年1月に書いた記事ですが、早すぎた感があるので、リサイクルします。

<再掲載 ・食料輸出大国アメリカの戦略・・・TPPとは何か? 2011.01.17> 




■ アグリビジネス ■

カーギル、モンサント、デュポンと聞いてピンと来る方は、国際情勢に興味をお持ちの方でしょう。この3社はアメリカの食料戦略に深く関わっています。

アメリカでは農業関連産業の事をアグリビジネスと呼びます。食物売買や加工はもちろんの事、種苗、農薬、肥料、備蓄など多くの産業を含んでいます。

■ 農業輸出大国 ■



上の表はアメリカの輸出の内訳です。

① 食品の輸出            8.9%
② 自動車の輸出           7.7%
③ コンピューター・周辺機器・半導体合計  7.1%
④ 航空機              3.3%

武器輸出がどこに含まれるのか不明ですが、アメリカの輸出において食品が占める割合が大きい事が良く分かります・

■ 戦略的食料輸出・・・兵器としての食料 ■  

キシンジャーはかつてこう語っています。

「石油をコントロールせよ。そうすれば諸国の政治経済を自在にコントロールできる。食料をコントロールせよ。そうすれば人口をコントロールできる」

アメリカの食料戦略が明確になったのは1954年に制定されたPL480「平和の為の食料」からです。


PL480法案(正式名称:農業貿易促進援助法)

1.アメリカ農産物をドルではなく、その国の通貨で購入でき、
 しかも代金は後払い(長期借款)でよい。

2.その国の政府がアメリカから代金後払いで受け入れた農産物を
 その国で民間に売却した代金(見返り資金)の一部は、
 事前にアメリカの協議のうえ経済復興に使える。

3.見返り資金の一部は、アメリカがその国での現地調達などの
 目的のほか、アメリカ農産物の宣伝、市場開拓費として
 自由に使える。

4.アメリカ農産物の貧困層への援助、災害救済援助及び
 学校給食への無償贈与も可能である。

というのがPL480の概略です。途上国は自国通貨で食料を調達でき、さらには後払いで良い事から、アメリカからの食料輸入に飛びつきます。

一方、アメリカは3、と4の項目で学校給食への無償供与などを行い、その国の伝統的な食事を変革していきます。

■ 食料と言う戦略物資 ■

アメリカからの食料支援や輸入によって途上国では自国の農業が衰退していきます。一方で途上国では自給型農業から輸出型農業へのシフトが起こり、外貨が獲得できるコーヒーなどへの転作進んでいきます。

さらに、肉食文化が浸透する事で、飼料穀物の輸入が増えていきます。

一方、アメリカでは穀物の国家備蓄を止め、カーギルなどの巨大穀物会社の在庫が備蓄を担うようになります。彼らは穀物の供給料を自在にコントロールする事で、穀物価格を支配していきます。

カーギルは自前の人工衛星で各国の穀倉地帯の出来高を調べるなど、農業をビジネス化してゆきます。

■ 種子を支配する ■



上のグラフは世界の種苗メーカーのシェアを示しています。

断トツでトップのモンサントは元々は化学メーカーです。ベトナムで使用された枯葉剤のメーカーと言えば分かり易いかもしれません。

モンサントは自社の除草剤の販売を促進する為に、除草剤耐性の遺伝子組み換え大豆を開発し、大成功を収めます。さらに種々の遺伝子組み換え作物を開発して、かつての化学メーカーから、一大アグリビジネスの会社へと変身します。

遺伝子組み換え作物の安全性には、いろいろな疑問点があり、ヨーロッパや日本では遺伝子組み換え作物に対する不安が強いのも事実です。

■ 日本の玉ネギの90%が遺伝子組み換え ■

私達は豆腐を買うにも「国産大豆、遺伝子組み換えで無い」という文字を確かめて買います。

しかし、私達が日頃食べている玉ネギの90%が遺伝子組み換え品種である事をご存知でしょうか。

■ 日本の種苗メーカーを支配するアメリカ ■

農家に種や苗を販売する会社を種苗会社と言います。

園芸が好きな方は「サカタのタネ」や「タイキ種苗」などは草花の種の会社としてご存知でしょう。ところが、これらの日本の種苗メーカーのほぼ全社にアメリカの種苗メーカーの資本が入っています。

私達の知らない所で、日本の農業は着々とアメリカの戦略の支配下に置かれているのです。

■ F1シード ■

「F1シード」という言葉をご存知でしょうか?

植物を交配して出来た第一世代を「F1」と言います。世代を重ねる毎に「F2、F3・・」となっていきます。

品種改良には2通りの方法があります。

① 突然変異によって発生する優れた特質を有する品種を固定化する方法
② 優れた特質を持つ親品種同士を交配して種子を取る方法

F1種子は②の方法に当たり、日本では江戸時代から用いられてきた手法です。優れた特性を持つ親品種2種を同じ畑に植え、自家受粉しない為に手作業で片方の雄しべを全て取り去ります。そうして交配して出来た種子(F1)は両方の親から優れた特質を引き継いでいます。こういった手作業の交配は、他の花粉で受粉しないように、離島などで行われています。

こうして作られたF1が実を結んでF2の種子が取れても、F2はF1の特質を全て持ってはいません。優れたものと劣ったものが現れてしまします。ですからF1シードは毎年メーカーから買う必要があります。

■ 遺伝子組み換え ■

一方、遺伝子組み換え作物は②の突然変異を固定化する方法によった生み出されます。

極小の金で出来た弾丸の中に、目的の遺伝子の断片をつめ、作物の遺伝子に打ち込んで遺伝子を組みかえる方法と、作物の遺伝子の目的の場所に、目的遺伝子を組み込む方法があるようです。

組み込まれる遺伝子は、バクテリアの遺伝子など、本来植物が有していた遺伝子で無い事も多く、そういった意味では不自然な遺伝子を持った作物が誕生します。

組み込まれた遺伝子が特定の除草剤の毒性を分解する遺伝子であれば、特定の除草剤に耐性を持つ作物が誕生します。

除草剤や農薬メーカーであったモンサントは自社の除草剤に耐性を持つ遺伝子組み換え作物を開発し、農薬と種苗の両方で大きな利益を上げます。

■ 遺伝子組み換えの安全性 ■

「遺伝子組み換え作物が危険である」という発想は、この技術の「不自然さ」に由来する点も多くあります。

しかし、イギリスで遺伝子組み換えジャガイモの安全性を検証したローワット研究所のアーパット・プースタイ博士とそのグループは、遺伝子組み換えジャガイモを与えたラットで癌が発生する結果を得ます。彼はTVで遺伝子組み換え作物の安全性をインタビューされ、「選択できるものならば、我々が遺伝子組み換えポテトについて行っている研究結果に匹敵するような化学的証拠を目にするまでは、私は食べようとは思わない」とコメントしてしまいます。

それ以降、彼は研究所の職を追われ、彼のチームも解散してしまします。研究所に圧力を掛けたのは当時のブッシュ大統領から圧力を受けたブレア首相でした。

遺伝子組み換え作物の安全性を疑う根拠は、非常に「気分」的なものがありますが、遺伝子組み換え作物お安全性に疑問を呈する実験結果が抹殺されている可能性も否定出来ません。

■ 種子という兵器 ■

アグリビジネスは種子を戦略物資と考えています。

F1シードはその国に昔から伝わる在来品種を駆逐しています。
在来品種は繰り返し種が取れる事から、自給方農業には欠かせません。
反面、F1シードは毎年種を購入する必要があります。

遺伝子組み換え作物は、農薬や除草剤とセットになる事で、二重に農業を支配します。

■ 在来品種の保護 ■

有事が発生し、種子やセットとなる薬剤の供給をアメリカがストップすれば、その国の農業は大きなダメージを受けます。

アメリカの食料戦略に対して、各国とも無防備ではありません。


インドは組織的に在来小麦や在来作物の種子を保存・保護する動きに出ています。
日本でも在来野菜が見直される動きが現れました。

■ TPPという罠 ■

アメリカの戦略の根幹は「石油と食料」です。

TPPはそのうちの食料戦略に深く関わっています。

工業製品の輸出を確保する為に農業を犠牲にすると、後々大きなしっぺ返しを受けます。

アメリカが崩壊すれば、アメリカへの工業製品の輸出は激減します。
その時、TPPによって、日本の国内農業がダメージを受けていれば、日本は海外から食料を高いコストで調達する必要に迫られます。

農業は長い時間をかけて、土から育てる産業です。
一度衰退してしまえば、生産が回復するまでには時間が掛かります。

■ 小沢一郎の警告 ■

小沢一郎がフジテレビに出演して、「TPPというアメリカの戦略に振り回されるな」と警告したそうです。(私は見ておりませんが・・)

自民党は良くも悪くも、農家を保護してきました。

小沢無き民主党は、国内の農家の改革もしないまま、TPPに突き進んでいます。
TPPに対しては多くの国民が、内容を良く知らないまま「自由貿易」に賛成しています。

マスコミは伝えるべき事を伝えず、またしても「TPP賛成」というコンセンサスを作っています。

皆さんはTPPに賛成されますか?

PS

この記事にコメントを頂きました。ありがとうございます。
そのコメントでTPPの問題点を明確に説明しているYoutubeをご紹介いただきました。
大変分かり易いので、URLを貼り付けさせていただきます。

http://www.youtube.com/watch?v=nRmNJpUj5sI

具体的な数字を挙げられると、唖然としてしまう内容ですね。
菅内閣でいきなり降って沸いたTPP参加問題ですが、菅内閣の性格が良く現れているようです。