人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

放射線は怖いのか・・・同じ物を見て異なる解釈しているだけでは?

2011-11-10 15:56:00 | 福島原発事故
 



■ 乙女にも老婆にも見える ■

上の絵は、あなたには何に見えますか?

乙女に見える人も居れば、
老婆に見える人も居るでしょう。

放射線は怖いと言う人も
放射線は健康に良いと言う人も、
実はこの「だまし絵」の様な関係にあるのです。

■ 低線被曝と癌に関する資料 ■

低線量率の放射線の影響に関する資料を探していて、
とても参考になる資料を見つけました。

一つは「低線量の放射線線でも癌になる」と主張する
ECRR報告書(欧州放射線リスク委員会2003年勧告)の
解説資料です。

http://www.csij.org/01/archives/radiation_001.pdf
第167回土曜講座「低線量放射線被曝のリスクを見直す」

そしてもう一つは、低線量被曝と癌について
非常にバランスの良い解説がされている資料です。

http://www.bio-function.co.jp/LD/LDBIOL.html
「低線量被ばくとがんの生物学」

どちらもボリュームがある資料なので、
時間がある時に丁寧に読んで頂けると幸いです。

■ 同じ事が書かれているのに結論は異なる ■

どちらの資料も実はほぼ同じ事が書かれています。

1) 放射線は直接あるいは活性酸素を介してDNAを破壊する
2) DNAの破壊は比較的短時間でほぼ完全に修複される
3) DNAの修復は極たまにエラーを起こす
4) エラーを起こした細胞はアポトーシスで死滅する
5) エラーが一つでは癌は発生しない
6) 複数のエラーが発生するには、確立的に長い年月を要する
7) 癌化した細胞は通常、免疫細胞に駆除される
8) 極たまに免疫をすり抜けた癌化細胞が発癌を引き起こす

ところが結論は全く異なります。

■ ECRRの仮説は、かなり強引では無いか? ■

「低線量被曝でも癌になる」という
クリス・バズビー博士を代表とするECRR派は、
下の様な図で、低線量域での癌の増加を警告します。



1)100(mSv)以上の領域では、それ程敏感で無い細胞の突然変異が起こる
2)10(mSv)以上では敏感な細胞の死滅が起こる
3)10(mSv)近傍で、敏感な細胞の突然変異が増加する

ECRR派は、放射線による免疫向上効果は認めますが
ホルミシス効果が発生しない様な低線量域において、
敏感な細胞が突然変異を起こすと主張します。

なかなか野心的な解釈です。
そもそも、それ程の低線量域での
癌の発生の優位差が確認されていないに係わらず
その領域でのグラフの値を持ち上げています。

大学でこんなレポートを提出したら
教授に怒られそうな気もします・・・。

■ 「低線量被ばくとがんの生物学」は現実的視点を持っている ■

「低線量被ばくとがんの生物学」では低線量域での
発癌メカニズムを次の様に分析します。

1) DNAの損傷は、活性酸素あるいは化学物質によって日常的に発生する
2) 放射線もそれらの要因の一つに過ぎない
3) 放射線の起こすDNAの損傷は、
   代謝によって発生する活性酸素による損傷の誤差程度に過ぎない
4) 細胞のDNA修複エラーが仮に15個たまると発癌するとすと、
   偶々、エラーが溜まっていた細胞のDNAが損傷する事で発癌する
5) エラーが溜まっていてもアポトーシスが発生すればエラーは無くなる
6) 放射線もそれらのエラー要因の一つに過ぎない
7) 放射線によてエラー修複機能はある程度活性化される

多分これが現状、私が一番納得出来る説明です。

■ p53異常は結果であって、原因では無い ■

東大の児玉先生は、「チェルノブイリ膀胱炎」の患者の膀胱の細胞に
癌抑制遺伝子のp53の変異が多く見られ(検査数は500)、
p53の変異を引き起こしたのが、Cs137だと推測されています。

中には癌の初期の細胞もあり、
それ故に、Cs137の低線量の内部被曝で膀胱がんが発生すると結論しています。

ところで癌抑制遺伝子の欠損は、原因でしょうか、結果でしょうか。
先程の「エラーの蓄積説」を用いるならば、

Cs137によるDNAの破壊によって、
Cs137のp53遺伝子を破壊された細胞が癌化したのであって、
Cs137ga選択的にp53遺伝子を攻撃する事は考えられません。

児玉先生は、トリム造影剤による肝臓細胞の癌化についても
アルファー線によって最初にp53の破壊が起こると言われていますが、
40μmの範囲内を強烈に電離するアルファー線は、
p53を選択的に破壊するといは考えられません。

児玉論では放射線はp53遺伝子は破壊するから癌を引き起こす事になりますが、
放射線に限らず、化学物質でも活性酸素でも、
DNAを破壊する物質は、ある確率においてp53遺伝子を破壊するのです。

だからあらゆる発癌性物質の発癌の過程において、
幾つかのケースではp53遺伝子が破壊されると表現すべきです。

「チェルノブイリ膀胱炎」の検査用の膀胱は、
前立腺癌の患者から摘出されています。
という事は、検査された膀胱は、
比較的高齢の方から摘出されたと推測されます。

はたして、チェルノブイリ以外の地域で、
同様な膀胱サンプルを用いた研究が存在するのか不明ですが、
膀胱は排せつの過程で、様々な化学物質と接触します。

はたして、チェルノブイリと同様の調査をした時に、
放射線の影響の少ない地域ではどういう結果が出るのか興味があります。

■ 単純な現象が複雑に解釈し過ぎていないだろうか? ■

最近の研究では発癌は単純にDNAの修復ミスだけに
起因しないという事も分かってきています。

しかし一方でDNAの損傷は癌の原因としては有力です。
そして、DNAの損傷は、活性酸素でも、タバコでも
酒でも、ストレスでも、放射線でも発生する日常的現象です。

児玉先生は、細胞分裂の際は二本鎖が解れて、
一本鎖になるから、損傷を受けやすいと言いますが、
損傷の原因は放射線だけではありません。
代謝の結果発生する大量の活性酸素でも切断は発生します。

多分ECRR派の人達は、放射線という悪者から市民を守るという使命に燃えた
ロマンティストなのかもしれません。

冒頭の絵を見せたら、ECRR派は老婆を見出し、
放射線ホルミシス派は乙女を見出すのでしょう。

先入観とは恐ろしいもので、一度老婆を見てしまうと、
もう老婆にしか見えなくなってきます。

ところが、本当の答えは「単なるインクで描いた白黒のパターン」だったりします。
そこに特別な意味は無く、壁の染みの様な存在なのかもしれません。

数多ある発癌性物質の一つで、
携帯の電波はコーヒーと同等の発癌性を持つもの
それが低線量の放射線です。

■ 子供の甲状腺癌の原因だけが分からない ■

チェルノブイリ原発では子供の甲状腺癌が多発しました。
内部被曝といういう特殊性を考えても、
あるは成長期の甲状腺という特殊性を考えても、
DNAの修復能力以上の破壊が発生している様には思えません。

何か、I131以外の複合的要因の存在が疑われます。

私はチェルノブイリ特有の健康被害の原因に「鉛」を疑っています。
チェルノブイリ事故では、露出した核燃料を冷却する為に、
核燃料の上空から2000tの「鉛」が投下されました。

「鉛」は比較的低温で気化します。

「鉛」はご存じの様に毒性の高い金属で、
嘔吐や腹痛の様な急性症状から、
発癌や免疫異常、神経障害や催奇性を有する事で有名です。

近年、チェルノブイリ周辺の母親の母乳から、
比較的高濃度の鉛が検出されています。

鉛は母乳や牛乳で濃縮され乳幼児や子供達い摂取されます。
WHOは妊婦が「メカジキ」を食べる事に警告を発しています。
「メカジキ」は鉛を多く含んでいるからです。

チェルノブイリの炉心にばら撒かれた2000tの鉛は、
ヨウ素131と同時に気化し、
汚染雲となって、ヨウ素131やセシウム134、137と同じ地域を汚染したでしょう。

もし鉛によって免疫に異常をきたした状態で、
甲状腺がヨウ素131に被曝したらどうなるでしょう。
特に、乳幼児の栄養源が主に母乳だとしたら、
子供達はどのくらいの鉛に汚染されていたのでしょうか?

チェルノブイリ周辺で子供の頃に被曝して、
成長して妊娠した時に癌が発病するケースが見られるをうです。
妊婦は胎児を保護する為に、免疫グロブリンが低下します。
鉛の影響の一つにも、免疫グロブリンの低下がある様です。

子供の甲状腺癌の原因がヨウ素131である事は疑い様がありませんが、
それが科学的予測の範疇を外れる放射線量で発生した場合、
科学的予測の修正が必要な場合と、
科学的予測から外れる、別の要因が存在する場合が考えられます。

少なくとも、不自然にグラフを曲げて良いという理由にはならないと思うのですが・・。


素人考えなので、それこそ学者の方が見たら便所の落書きの様な内容ですが・・・。