■ 景気回復のグリーンシュート ■
日銀短観は景気は回復基調としています。
製造業も概ねプラス。
確認の為に国内の乗用車の販売台数を見てみましょう。
ここで注意が必要なのは、2011年12月から2012年9月までエコカー補助金制度が実施されていたこと。
3月は決算向けのキャンペーン期間なので、例年自動車が一番売れます。(値引き)
その次は9月の中間決算期にキャンペーンが行なわれているようです。
1) 昨年はエコカー前半はエコカー補助金と減税制度が需要を促進
2) エコカー減税は2013年4月から3年間延長中
3) エコカー減税で需要が喚起された昨年との比較は意味が無い
4) 今年の販売台数は4、5、6月と比較的順調
5) 昨年は軽自動車が売れていたが、最近は乗用車との差は無くなっている
自動車販売台数(商用車を除く)を見る限り、日銀短観同様に景気回復のグリーンシュートが見られるかもしれません。
円安効果は海外債権の円建ての価値が高まるので、リーマンショック後損失が拡大していた投資信託などの基準価格も持ち直しています。
株価も下がったとは言え、1万3千円台をキープしていますから、日経新聞を読んでいらっしゃる方達は、「日本の景気は上向き始めた」と感じているのでしょう。
私は、この事自体は悪く無いと思います。株価は悪乗りが過ぎたので調整されましたが、実体経済が回復するという期待は、やはり景気回復には欠かせません。
その点、アベノミクスはそれなりに成功したと言えます。
参議院選挙までは、株価も順調に上昇するでしょうから、景気回復気運はさらに高まるかもしれません。
■ 問題はアメリカ経済と中国、そして新興国 ■
問題は、やはりアメリカ経済と中国経済。
さらには新興国の暴動という新たな火種も生まれています。
ヨーロッパは景気が絶賛後退中で、こちらはプジョーがGMに身売りする状況。
新興国問題は、QE3の縮小を予測して、新興国から投資資金が逃げている事に原因があります。
アメリカ経済のQE3の動向によって大きく影響を受けますので、バーナンキの去就も含め、今後の動向が気になります。
■ 世界経済の影響を受ける輸出企業 ■
自動車を始めとする日本の輸出企業は世界経済の影響を大きく受けます。
中国向け輸出も、中国で製造された商品の輸出先はアメリカや欧州なので、欧州の景気減速が明確な中で、アメリカ経済の動向が一番重要とも言えます。
本来はアメリカの自動車販売台数の推移が、アメリカ経済の実体を反映するのですが、自動車ローンがサブプライムローンと似た状態になっているだけに、アメリカの自動車販売台数はあてになりません。
住宅販売もプチ不動産バブルが発生してりると、シスラー氏自身が警告しています。
■ 経営者は経営判断が難しい状況 ■
日本の景気回復を先取って、設備投資を増やすか、それとも参議院選挙後まで様子を見るか、経営者達は頭を痛めている事でしょう。
一方で、建築業界では、消費税アップを織り込んで、住宅の駆け込み需要の取り込みを始めています。いままで塩漬けにされていた土地にマンションが建ち始めたり、古いアパートや空家が取り壊されて、コジンマリした建売が建ったりしています。
立地などを考えると、少し供給がだぶ付き気味かなとも思えますが、如何なものでしょうか?
昨年に竣工したマンションですら、未だに空き室が目立つ状況です。
■ 円安の悪影響は確実に出ている ■
マンション建設で活況に思える建築業界ですが、実は問題があります。
1) 資材の値上がり
2) 人件費の値上がり
資材は円安によって輸入価格が上昇しています。鉄なども原料が値上がりしていますし、建材など中国からの輸入も多いので、こちらも値上がりし始めています。
人件費が上昇しているのは、東北の復興で、職人さん達がそちらに取られているからの様です。
建築業界は2つのコストアップに曝されていますが、受注は競争が激化しているので、各ゼネコンとも赤字覚悟で仕事を奪い合っている状況です。
■ グリーンシュートを大切にしたいが・・・ ■
何事にもメリットとデメリットがある訳で、アベノミクスの効果もプラスだけとは限りません。
何かのきっかけで、景気が腰折れすると、円安のデメリットが一気に噴出してきます。
あまり悲観的な事ばかり書くとお叱りを受けそうですが、やはり「景気の芽」は大事にしたいものです。
当座の注意は、やはり海外の新興国や資源国の状況。
外貨預金や新興国株に手を出されている方は注意が必要でしょう。
アメリカは・・・・どうにでも成れって感じですかね。
結構、皆さん強気ですが、お金ってリスクを取らなければ増えないですし、
儲ける人達は、逃げ足も速いですから・・・。