■ 「化ける」という視覚効果 『有頂天家族』 ■
今期アニメも一通りスタートしました。
実は、今期はこの作品くらいしか面白と感じた作品が無い。
『四畳半神話体系』と同じ
森見登美彦原作の
『有頂天家族』。
「京都は古来より、人と天狗とタヌキの三つ巴の関係で成り立っていた」という奇想天外なお話。
Wikipediaではこれをマジックリアリズム的手法と書かれていますが、
むしろ、ストレートにファンタジーと呼ぶべき作品かと・・・。
下賀茂一家の4匹のタヌキの兄弟が人に化けて織り成す日常ドラマですが、
ここに天狗の「赤玉先生」やら、先生の弟子の人間の「弁天」やらが絡みます。
まだ始まったばかりで、世界観も良く分かりませんが、
とにかくタヌキが「化ける」シーンは映像の題材として非常に興味深い。
ジェンダーや年齢などお構いなしにタヌキがポンポン「化ける」事だけで既に面白い。
特に、うら若き女子高生に化けても、その声は男の子のままだったりして
この意外性に一瞬で日常が四散し、ファンタジーの世界に引きこまれてしまいます。
同じ原作者の『四畳半神話体系』のアニメはは芝居がかっていて
あまり好きな作品ではありませんでしたが、
『有頂天家族』はテンポも良く、世界観も広がりがあって好印象です。
まさにアニメには最適な素材なのかも知れません。
■ 「喪女(もじょ)」という新ジャンル・・・『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い』 ■
「喪女(もじょ)」というのをご存知でしょうか?
どうも、モテナイ女子の事を指すらしい。
『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い』はオタクでモテナイ女子高生の日常の話。
本屋で試し読みの冊子を読んだ時からアニメ化を期待していましたが、
なんと『ココロコネクト』の
大沼心が監督で期待が膨らみます。
オタクで暗い性格から周囲に馴染めない主人公は、
高校に入ってから、ほとんど誰とも会話すらしない完全に空気な存在。
そんな彼女ですが、妄想力だけは人一倍。
楽しい高校ライフを色々想像しては、目立たない努力を続けますが、
その努力がどれも痛々しい・・・。
しまいには、弟に会話の練習の相手を依頼する始末。
リアルの存在として普通にどこにでも居そうな女子ですが、
マンガやアニメでデフォルメすると、これがスコブル面白い。
自虐ネタとしては『俺の恋愛ラブコメ・・・』に通じるものがありますが、
『私がモテないのは・・』は完全に笑いに特化していて、一般ウケは良さそう。
主人公の方向性の違う努力が
いじましくて、
だんだんと主人公が可愛く見えて来るから不思議。
■ 大山のぶ代、健在なり・・・『ダンガンロンパ』 ■
ゲーム原作のこの作品。
「超高校級」の生徒が集められた全寮制の高校で、殺し合いが強要される。
誰かが殺された時、学級裁判が開かれ犯人が推理されます。
裁判の結果、間違った犯人を特定したら、犯人以外は皆処刑。
犯人が断定されれば、犯人が処刑されるというキ○ガイな内容。
ただ、殺人の描写などがカラッとしているので、以外にも不快感が無い。
それよりも、生徒達に殺人ゲームを強要する「ものくま」と自称する
変なヌイグルミの様な学長の声が「大山のぶ代」なのにビックリ。
この人って、癌から復活したのですね。
あの声でどんなキャラクターをやっても、最早ドラえもんにしか聞こえないのですが、
「ものくま」はシュールでブラックなドラえもんって感じでしょうか?
ドラえもんがダークサイドに落ちたみたいで、大山のぶ代の起用は大正解です。
各キャラクターの声優さん達は、ゲームから変更が無いとのことですが、
結構、豪華な声優さん達が揃っています。
演出はリアルの対極に位置しますが、アニメの特性を最大に発揮して、
強引に異常な世界観に視聴者を引きこみます。
内容は別として、演出手法としては、嫌いでは無い作品かも知れません。
■ 期待のアニメ化・・・だけど・・・『銀の匙』 ■
原作が素晴しいだけにアニメ化の期待も大きかった。
しかし、若干リアルに振った分、ギャグが世界観から浮いてしまいます。
もっとギャグ寄りにするか、あるいは完全にリアルに振った方が良かったのでは?
何れにしても、農業系の高校や大学の人気が急上昇する事間違い無し。(もやしもん効果)
・・・娘の進路を考えると、この時期のアニメ化は・・・。
ところで先日、農業系の大学の偏差値を調べていてビックリ!
私立の農学部でも軒並み偏差値50を超えています。
昔は「名前さえ書けば入れる」なんて言われた所でも同様です。
政府が「これからは農業の時代です」なんて言う以前より、
子供達は現実的に時代を見ているのかも知れません。
■ あれ、2話目で大化けしたじゃない・・・『ローゼンメイデン』 ■
1話目があまりの「ひどさ」に酷評してしまいましたが、
2話目は「大化け」していてビックリ!!
かなりリアルな方向に演出されていて、ちょっと暗さが新海誠みたい。
この雰囲気を維持すれば、前作のイメージを払拭する意味においてもgood。
『銀の匙』が振り幅が小さくて失敗気味なのと対象的に、
原作との違いがどのくらい出るのか、少し楽しみでもあります。
原作は冒頭をブックオフで立ち読みしただけなので、良く分かりませんが・・・。
今期アニメを一通りさわりだけ見てみましたが、
インパクトのある作品は『有頂天家族』くらいでしょうか?
少し、アニメを減らしたいと思っていたので、
丁度良いかも知れません。