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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

ネガティブな材料をポジティブに報道する・・・大本営発表は危険信号

2013-07-18 10:08:00 | 時事/金融危機
 

■ アメリカの6月の住宅着工件数が大幅に落ち込んだ ■

5月中旬頃から世界のマネーの動きに変化が現れています。
米国債の金利上昇の影響を受けて、債権市場の金利が上昇(価格は下落)しています。

長期金利の上昇の影響を受けやすいのは住宅市場です。
6月のアメリカの住宅着工件数が大幅に落ち込んでいます。


「UPDATE 1-米6月住宅着工件数、10カ月ぶり低水準 許可件数も予想外の減少」2013.07.17 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0FN2YJ20130717

<全文引用>

- 米商務省が17日発表した6月の住宅着工件
数は昨年8月以来の低水準に低下し、将来の建設につながる住宅着工許可件数も予想外の
減少となり、第2・四半期の経済活動の急激な鈍化を示す形となった。
 住宅着工件数は前月比9.9%減の年率83万6000戸となり、予想の95万9
000戸を大きく下回った。住宅着工許可件数は7.5%減の91万1000件。予想の
100万件を下回った。
着工、許可件数とも予想を下回る結果となったものの、6月の減少は変動が大きい集
合住宅が大幅に減少したことを反映したもので、住宅市場の回復が失速したことを示唆す
る内容ではなかった。
1戸建て住宅の着工は0.8%減の59万1000戸となり、2012年11月以来
の低水準となった。集合住宅の着工は26.2%減。
集合住宅の着工許可件数は21.4%減だったが、1戸建て住宅の着工許可件数は0
.6%増の62万4000件となり、2008年5月以来の高水準となった。
PNCフィナンシャル・サービシズのシニアマクロエコノミスト、ガス・ファウチャ
ー氏は、「1戸建て住宅の建設は2014年にかけて増加が見込める。これは住宅市場、
雇用、経済成長にとってポジティブだ」と述べた。
全米住宅建設業者協会(NAHB)が前日発表した7月のNAHB/ウエルズ・ファ
ーゴ住宅建設業者指数は57と7年半ぶりの高水準となり、住宅市場の業況は改善してい
る。多くの住宅建設業者は労働力と資材の不足を訴えており、これが着工の減少につなが
った可能性もある。
米連邦準備理事会(FRB)の資産買い入れによって金利が低く抑えられていること
から、エコノミストは、足元の住宅ローン金利の上昇が住宅市場の回復を頓挫させること
はないと予想している。

<引用終わり>


■ 労働力と資材が不足? ■

多くの住宅建設業者は労働力と資材の不足を訴えており、これが着工の減少につながった可能性もある

ものは言い様です。

失業率が高止まりしている状況で、労働力が不足するでしょうか?
まして、流動性の高い建築分野の労働力です。

問題は投機資金が流れ込んで、供給が過剰気味だった集合住宅が、
調整段階に入った影響の方が大きいのでは無いでしょうか。

住宅投資では短期の資金を借りて、借り換えによって資金を繋いで行きます。
将来的な金利上昇が視野に入れば、当然、投資にも影響が出てきます。

住宅の需要が増え続けるのであれば、投資は続くかも知れませんが、
多分、アメリカの集合住宅は、投資バブル状態になっていると思われます。

■ 弱い指標からも、強い結果を導き出す市場は崩壊寸前 ■


アメリカの経済指標の多くは、実体経済の自律回復では無く緩和資金の依存を示しています。
バーナンキやFRBの発言に翻弄される不安定な経済状況が続いていますが、
最近目に付くのは、ネガティブな指標をポジティブ材料にする異常さ。

景気の先行きが曇れば、緩和継続としてポジティブ材料にします。

既に、実体経済などは、ポラティリティーの為の材料に過ぎず、
金融や株式や資産市場が勝手に盛り上がったり、盛下がったりしています。

はっきり言って異常な状況ですが、人々はその異常さにも慣れてしまっています。

そうして、市場が崩壊するその時まで、危機は巧妙に隠蔽され続けます。
賢い人達が、いち早く市場から撤退している事でしょう。

アベノミクスに淡い期待を寄せ、現実から目を背ける人達は、
確実に逃げ遅れることになります。

粛々と進む自衛隊の再編・・・本土防衛から離島防衛へ

2013-07-18 08:18:00 | 時事/金融危機
 



■ 「日陰者」だった自衛隊 ■

日本は平和憲法の元、戦争を恒久的に放棄しています。
しかし、その一方で、世界有数の軍隊である自衛隊を保有しています。

これは明らかに相反する事象で、普通の国家ならば憲法を改正するか、自衛隊を放棄します。

村山首相が自衛隊を容認するまで、日本の左翼は憲法を堅持して自衛隊を廃止せよと主張します。
この時代まで、自衛隊は「日陰者」の存在で、命懸けで日本を守る使命を帯びながら、
なぜか、同じ日本人から存在を否定されるという、信じられない立場でした。

この流れが変化し始めたのは「阪神大震災」からでは無いでしょうか。
震災で廃墟と化した神戸の街で奮闘し、炊き出しや入浴サービスを提供した自衛隊に対して
多くの日本人が、それまで持っていた偏見を廃し、彼の真の姿を見た事は確かです。

社会党の村山首相の判断が遅れ、自衛隊の出動要請に時間が掛かりました。
その間にも、火の迫り来る崩壊した瓦礫の下で人々は苦痛に耐えており、
出動要請を待つ自衛隊員達の焦燥がいかばかりかと想像するだけで、未だに複雑な心境です。

その後、新潟県中越地震や、東日本大震災などあいつぐ災害派遣によって、
自衛隊は国民の命と財産を守る集団であるという信頼が日本国民の間に定着します。
今では社民党や共産党であっても、自衛隊の存在を否定する事はありません。

■ 米軍のサポートとしての自衛隊 ■

戦後60余年の間に、自衛隊の活動内容も次第に変化すます。

朝鮮戦争の勃発により、日本を反共の橋頭堡としようとするアメリカに対して、
吉田茂は、軍備拡張よりも、経済成長を優先する政策をアメリカに納得させます。
マッカーサが授けた平和憲法が、自衛隊の拡張を抑制し、日本は経済発展を成し遂げました。

その間、警察予備隊としてスタートした自衛隊も徐々に戦力を増強しました。
東西冷戦の最中だったため、仮想敵国はソ連でした。
北海道を中心に、陸上自衛隊がソ連軍の侵攻を食い止めるというのが作戦の主眼でした。

中国の軍事力は、その当時は脅威とは言えず、
海上自衛隊の戦力も、潜水艦隊を始めとして、
ソ連海軍から米機動部隊を護衛する事に主眼置かれていました。

対ソ連戦の主戦力は米軍であり、自衛隊は本土決戦以外はサポート的な役割でした。

■ 「空母」を配備する自衛隊 ■

日本人の多くは、海上自衛隊が「空母」を保有している事を知りません。
何故なら、海上自衛隊の「空母」は「ヘリコプター搭載護衛艦」と呼ばれるからです。

その配備理由は「災害救助」とされています。

しかし、冒頭の写真を見れば明らかな様に、8月6日に進水式を迎える最新式の「2DDH」は
ヘリコプターを15機搭載可能な、明らかなるヘリコプター空母です。

多分将来的にはオスプレイを搭載する事になるので、
作戦行動半径もある程度確保されるでしょうし、
艦載型のF35(垂直離着陸)も搭載可能なはずです。

中国はこの様な自衛隊の変化にナーバスになっており、
日本が再び侵略主義に転じる兆候だと非難しています。

■ 本土防衛から離島防衛という変化は2010年以前から始まっている ■

尖閣問題以降、自衛隊の離島防衛能力の増強が主張されていますが、
既に、この様な「空母」が建造されている事からも、
2000年頃から日本の仮想敵国はソ連から中国になっていた事が伺われます。

離島防衛には、制空権の確保も需要ですが、離島に上陸して部隊を展開する能力も不可欠です。
短時間で部隊を輸送する為には、ヘリコプターによる空輸が必要です。

ヘリコプターの航続距離を考慮すれば、ヘリコプター空母の配備は当然と言えます。
日本は数多くの離島を抱えていますので、どこにでも展開できる機動力は空母に勝るものはありません。

■ 建前だけでは国家は守れない ■

私は、同じアジアの韓国や中国とは、仲良くすべきだと考えています。
あえて、相手を罵倒して危機を煽るのは、子供のする事だと思っています。

一方で、相手が一方的に侵略して来る可能性がゼロで無い限り、
それなりの防衛力の保持は、相手の侵略のハードルを高める上でも、平和に貢献します。

ですから、現在の自衛隊の再編や戦力増強を安易に否定出来ません。

充分な戦力を保有しながら、それを使わない様に最大限の努力を払うのが
現在の世界のスタンダードだとも言えます。

■ 参議院選の争点から隠された憲法改正 ■

参議院選挙の最大の争点は、本来は憲法改正であるはずです。

自民党が衆参両院で安定的な過半数を占めれば、憲法改正の気運が高まります。
自民党は憲法改正を、結党時の党是としていたので、これを非難する事は出来ません。
そういう政党を、民主主義の手続きによって、国民が選んだというだけの事です。

但し、憲法改正を前面に出して参議院選挙を戦う事は無いようです。
戦争アレルギーの日本において、たとえ右傾化しているとはいえ、
憲法改正を前面に出せば、老人票は確実に失われます。

■ アメリカ軍の再編に伴う日本の軍備増強 ■

アメリカは財政が逼迫しているので、既に世界の警察の重荷に耐えられません。
マッチポンプの様に戦争を捏造する時代は終わったのかも知れません。

太平洋の米軍は、グアム - サイパン - オーストラリアというラインまで退く予定です。
一部の軍産複合体はこれに抵抗している様で、韓国で哨戒艇撃沈事件を仕掛けたり、
北朝鮮に韓国を砲撃させたりと、色々と怪しい工作をしている様です。

しかし、米軍の縮小は粛々と進められています。
中東地域からも、徐々に撤退を進めるでしょう。

米軍が抜けた空白を誰が埋めるのか問題となりますが、
これは日本や韓国やフィリピンやベトナムといった当事国自身になるのでしょう。
当然、それぞれの国が単独では無く、集団で中国の脅威に対抗する事になります。

現在の日本国憲法のままでは集団的自衛権は違憲です。
ですから、新しい時代の共同防衛体制に参加する為には、
日本国憲法の改正が必須となります。

確かに現在の日米安保条約の拡大解釈的な集団的自衛権の獲得も在り得ますが、
法治国家としては、それはどうなの? って感じが否めません。

国民が自衛隊を軍隊として承認するのか?
集団的自衛権を良しとするのか?

白黒をはっきりつけなければ本来は民主主義と呼べないのです。

■ 好むと好まざるとに関わらず軍事費が増大してゆく日本 ■

アメリカの戦略は巧妙です。

従来は、米軍の費用を、直接的、間接的に日本に負担させてきました。
しかし、米国の予算の中で、米軍だけが特別扱いの時代は過ぎました。

ですから、軍産複合体は、日本やフィリピンなどの国の軍備拡張で、
縮小した分の売り上げを維持したいと考えるのは確実です。

それには、日本の平和憲法は邪魔になります。
ですから、彼らはどんな手を使っても憲法改正を実現するはずです。

政治は相手をジレンマに追い込めば勝ちです。

中国が軍事的存在感を高めれば高める程、
日本の政府と中国政府が対立を深めれば深める程、
日本は防衛力の増強を余儀なくされ、
TPPでいろいろと注文を付けられて、米国製の兵器を大量に購入する事になります。

石原氏にまんまと乗せられた時点で、
日本はこのジレンマから抜けられなくなており、
中国は中国で、多分裏ではアメリカと結託しながら、
日中友好という逃げ道を塞いでいます。

国際関係はシビアであると同時に、表面的な分かり易い敵対にはだいたいウラがあります。
それでも、それに乗らざるを得ないのが、核兵器を保有しない国の悲哀です。