■ アメリカの6月の住宅着工件数が大幅に落ち込んだ ■
5月中旬頃から世界のマネーの動きに変化が現れています。
米国債の金利上昇の影響を受けて、債権市場の金利が上昇(価格は下落)しています。
長期金利の上昇の影響を受けやすいのは住宅市場です。
6月のアメリカの住宅着工件数が大幅に落ち込んでいます。
「UPDATE 1-米6月住宅着工件数、10カ月ぶり低水準 許可件数も予想外の減少」2013.07.17 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0FN2YJ20130717
<全文引用>
- 米商務省が17日発表した6月の住宅着工件
数は昨年8月以来の低水準に低下し、将来の建設につながる住宅着工許可件数も予想外の
減少となり、第2・四半期の経済活動の急激な鈍化を示す形となった。
住宅着工件数は前月比9.9%減の年率83万6000戸となり、予想の95万9
000戸を大きく下回った。住宅着工許可件数は7.5%減の91万1000件。予想の
100万件を下回った。
着工、許可件数とも予想を下回る結果となったものの、6月の減少は変動が大きい集
合住宅が大幅に減少したことを反映したもので、住宅市場の回復が失速したことを示唆す
る内容ではなかった。
1戸建て住宅の着工は0.8%減の59万1000戸となり、2012年11月以来
の低水準となった。集合住宅の着工は26.2%減。
集合住宅の着工許可件数は21.4%減だったが、1戸建て住宅の着工許可件数は0
.6%増の62万4000件となり、2008年5月以来の高水準となった。
PNCフィナンシャル・サービシズのシニアマクロエコノミスト、ガス・ファウチャ
ー氏は、「1戸建て住宅の建設は2014年にかけて増加が見込める。これは住宅市場、
雇用、経済成長にとってポジティブだ」と述べた。
全米住宅建設業者協会(NAHB)が前日発表した7月のNAHB/ウエルズ・ファ
ーゴ住宅建設業者指数は57と7年半ぶりの高水準となり、住宅市場の業況は改善してい
る。多くの住宅建設業者は労働力と資材の不足を訴えており、これが着工の減少につなが
った可能性もある。
米連邦準備理事会(FRB)の資産買い入れによって金利が低く抑えられていること
から、エコノミストは、足元の住宅ローン金利の上昇が住宅市場の回復を頓挫させること
はないと予想している。
<引用終わり>
■ 労働力と資材が不足? ■
多くの住宅建設業者は労働力と資材の不足を訴えており、これが着工の減少につながった可能性もある
ものは言い様です。
失業率が高止まりしている状況で、労働力が不足するでしょうか?
まして、流動性の高い建築分野の労働力です。
問題は投機資金が流れ込んで、供給が過剰気味だった集合住宅が、
調整段階に入った影響の方が大きいのでは無いでしょうか。
住宅投資では短期の資金を借りて、借り換えによって資金を繋いで行きます。
将来的な金利上昇が視野に入れば、当然、投資にも影響が出てきます。
住宅の需要が増え続けるのであれば、投資は続くかも知れませんが、
多分、アメリカの集合住宅は、投資バブル状態になっていると思われます。
■ 弱い指標からも、強い結果を導き出す市場は崩壊寸前 ■
アメリカの経済指標の多くは、実体経済の自律回復では無く緩和資金の依存を示しています。
バーナンキやFRBの発言に翻弄される不安定な経済状況が続いていますが、
最近目に付くのは、ネガティブな指標をポジティブ材料にする異常さ。
景気の先行きが曇れば、緩和継続としてポジティブ材料にします。
既に、実体経済などは、ポラティリティーの為の材料に過ぎず、
金融や株式や資産市場が勝手に盛り上がったり、盛下がったりしています。
はっきり言って異常な状況ですが、人々はその異常さにも慣れてしまっています。
そうして、市場が崩壊するその時まで、危機は巧妙に隠蔽され続けます。
賢い人達が、いち早く市場から撤退している事でしょう。
アベノミクスに淡い期待を寄せ、現実から目を背ける人達は、
確実に逃げ遅れることになります。