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借金の棒引きはいつの時代も行なわれて来た・・・世界的同時大インフレの到来

2013-07-24 05:58:00 | 時事/金融危機
 

■ 経済の歴史は、「借金棒引き」の歴史 ■

世界の経済の歴史は「借金チャラ」の歴史だと思うのです。これは「徳政令」という形を取る場合と、「インフレ」という形を取る場合があります。

徳政令は日本においても鎌倉時代から何度も実行されています。松平定信の寛政の改革の時に出てくるのが棄捐令も武士の借金棒引きでした。

一方、インフレによる借金棒引きの例としては、第一次世界大戦後のドイツが良い例かも知れません。戦後の巨額な賠償をする為に、通貨を大量増刷した結果、ドイツ国内ではハイパーインフレが発生します。

日本も戦中に発行した軍事債権の償還によって、円が大量に発行され、大規模なインフレが発生しています。このインフレと資産税によって、国民の資産は政府に吸収されています。

■ インフレの前段階としての政府の借金の拡大 ■

信用創造という通貨システムは、借金によって拡大して行きます。民間が借金する場合と、政府が借金をして経済を拡大するケースとがありますが、何れにしても経済はより多くの借金によって拡大します。

ここ20年程で世界が行なって来たのは、先進国で金融市場を拡大して、借金を急拡大させ、そこから魔法の様に生み出した資金を新興国に投資して、新興国の成長を加速度的に高めるという政策では無いでしょうか。

普通に経済を回していたのでは、新興国は100年経っても現在の経済水準には達し得なかったのでは無いかと思うのです。

一方で、金融市場の急拡大には、巨大な資金流入が必要です。これは中央銀行が低金利を維持したり、あるいはバブル以降の日銀の緩和マネーが貢献しています。

この様に現在の世界経済は一国の中では収まらずに、先進国でストック市場を拡大して、そこから溢れ出した資金で新興国のフローを成長させて来たとも言えます。

但し、先進国のストック市場は必ずバブル崩壊を起しますから、何処かの時点で借金の棒引きが行なわれるはずです。現在世界は民間の借金を国債購入という形で中央銀行や政府に付け替えています。この先に予想されるのは、世界的な通貨の信用危機、即ちインフレの発生です。

■ FRBの出口戦略は成功せず、逆に量的緩和は意図的に拡大するのでは? ■

FRBの出口戦略が話題になっていますが、多分、出口戦略は失敗に終わるのでしょう。現在の市場はFRBの緩和マネーに支えられていますから、出口を匂わせただけで、容易に市場は暴落します。結果的には、市場を安定させる為に、FRBは緩和規模を拡大させると思われます。

FRBにしても、日銀にしても、「量的緩和」という呼び名は本質を見え難くしています。実際に行なわれていうのは、民間の不良債権と国債を市場から中央銀行が買い上げるという行為です。その結果、中央銀行のバランスシートはドンドンと不良債権が積み上がって行きます。

これを主要通貨が同時に行なっているので、為替的にはバランスしていて、通貨価値の極端な変動は観測されません。しかし、通貨制度自体に巨大な歪みが生じている事を誰もが薄々気付いています。

■ 何かのショックで一気に危機は噴出する ■

こうやってジワジワと溜まるストレスや歪みは、経済指標には反映され難いものがあります。

誰もが昨日と変わらぬ明日が訪れる事を疑わず、市場も若干ピリピリしながらも、明日の儲けを皮算用して今日を終えます。

しかし、リーマンショックの様に、歪みはいつかは何処かで問題を顕在化させます。
その時になって、市場は一気に我に返り、大暴落を演じます。
政府と中央銀行が大量に資金を注入して市場を支えようとしますが、その結果、政府と中央銀行のバランスシートは絶望的なまでに悪化します。

事、ここに至って、人々は「通貨の信用」と「国債の信用」に疑問を抱きます。
「信用」が疑われた瞬間に、人々は国債や通貨から、現物で価値の保全を図ろうと必死になります。

その結果、国債が暴落し、通貨価値が喪失して大規模なインフレが発生します。
原油や穀物価格が高騰し、金が高騰し、そして土地や不動産が高騰します。

この様なパニック的なインフレに対して、中央銀行の金利引き上げは無力です。
人々は日々値上がりする物価を前に、現金を引き出して現物に変える事を選択します。
金利が物価上昇に追いつかないからです。

■ インフレによって借金は棒引きされる ■

結局、信用創造という現在の通貨システムは、返済不可能な借金を生み出します。
そして、それが拡大すると、流動性の罠によって経済は停滞します。

現在の世界は正にこの状態に陥っており、金融市場の拡大でこれを乗り切ろうとすると、結果的にバブルの崩壊を引き起こし、事態は加速度的に悪化します。

こんな事は、中央銀行の関係者で無くても皆が理解しています。

だから私は現在の世界で起きている事は、偶然では無く、必然だと判断しています。
中央銀行は意図的に量的緩和を拡大し、政府は意図的に国債発行を拡大している・・・と。

そして、その先に待ち受けるのは、インフレによる借金棒引きです。

但し、その為には期待インフレ率を遥かに上回るペースでインフレが進行する必要があります。
現在の世界はその為のエネルギーを蓄えている状態では無いかと思います。

多分、今年後半にFRBは出口戦略に躓いて、緩和規模を拡大するのではないでしょうか?
そろそろエネルギーチャージも佳境を向かえるのでは?



まあ、全く根拠の無い妄想ですが、日銀の異次元緩和やアベノミクスのムチャクチャぶりを見ていると、こんな妄想がムクムクと膨らんでしまいます。

そして、歴史的に見れば、こんな事が当たり前の様に繰り返されている・・・。