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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

ケインズ政策やリフレ政策の歪・・・他人事ではないエジプトのクーデター

2013-07-05 12:25:00 | 時事/金融危機
 

■ 国際競争力の為に賃金を切り下げたかったケインズ ■

ケインズのファンは、ケインズが公共事業を増発して、国民の生活を救ったと考えています。しかし、ケインズの目的のもう一つの側面は、意外に見落とされがちです。

第一次世界大戦後、ヨーロッパの国々は金兌換性に復帰して、自国通貨の切り上げを実施します。しかし、通貨高は輸出競争力を奪う為、ケインズは通貨の切り上げには反対だったと言われています。ケインズは炭鉱労働者建の賃金は高すぎて競争力が阻害されていると考えたのです。

ケインズは賃金の上方硬直性を利用して、組合が強くで賃金を下げられない炭鉱労働者の賃金を、インフレを使って事実上下げたのでは無かったか・・・。

それによってイギリスの石炭の国債競争力を回復しようとした。要は公共事業もポンド増刷の口実みたいな所があって、結果的にポンドの切さげを模索していたのではないか?

この点においてケインズは資本家に味方しているとも言えます。

■ 通貨切り下げ戦争がもたらす歪 ■

リーマンショック前までのイギリス経済の好調も、ソロスのポンド売り浴びせによる為替調整の効果とも言えます。

そういった意味ではリーマンショック後に通貨の切り下げ競争をやっている訳ですが、各国中央銀行が等しく通貨の大量発行をしているので、相対的に為替相場はそれ程大きく動きませんでした。

その歪は途上国や新興国に影響を与え、大きな資産市場を持たないこれらの国では、増えた通貨が資産市場に吸収される事無く、実体経済でインフレを引き起こしています。物価高騰が庶民の生活を圧迫して、アラブの春が引き起こされた。

グローバル化の時代には、一番弱い所に歪が溜まり易く、先進国の緩和政策は、これらの国々で暴動の原因を作り出した。

■ 先進国のエゴが途上国の政情不安を作り出す ■

「独裁政権が倒されたのだから良いだろう」というのは先進国からの偏った見方で、カダフィーもアサドも国民に愛されていました。彼らが排除されて残ったのは荒廃した国土と、先進国からの防壁を失った各種利権です。

エジプトは結局軍のクーデターで民主化は後退しました。結局国民が対立しただけで、ムバラク時代に戻ってしまいました。

私達は他人事の様にエジプトの事件を眺めていますが、原因がどこにあるかと自省する必要がありそうです。

尤も、中東の政治的枠組みを崩壊させる事に、先進諸国の目的があるとすれば、私達も又、誰かの手の上で踊らされているに過ぎないのかも知れません。

古くて新しい論争・・・ケインズ VS ハイエク

2013-07-05 08:48:00 | 時事/金融危機
  

「ひろのひとりごと」さんへのコメントとして書きましたが、あまり書くと嫌われちゃうので(既に嫌われていますが)、自分のブログに貼っておきます。当たり前の事と言えばそれまでなのですが、人間は目先の利益を優先していつも失敗します。しかし、陰謀論的には失敗こそが目的なので、分かり切った失敗が手段として有効に利用されます。




お金は金利に群がりますから、需要を喚起して設備投資して、生産して利益を生むよりも、資産市場で運用して金利を稼ぐ事が効率的であるならば、先ず資産市場でインフレが発生します。

この極端な例が資産バブルです。

金融緩和で実体経済にインフレが発生する前に、資産市場でバブルが膨らみます。

バブルのプラスの効果は、実体経済にも漏れ出してきますが、一方でバブルが膨らみ過ぎるとやがては崩壊し、実体経済をより酷い状況へと突き落とします。

ケインズとハイエクの論争の主題はこの点にあり、この問題は今でもホットな問題です。

ケインズは「いつかは平衡点で安定するとしても、それが訪れる時には我々は皆死んでいる」として積極的な財政政策を支持しましたが、ハイエクは「政府の干渉は結果的には経済を破壊する」として、何もしない事こそが重要としました。

どっちもどっちなのですが、何事にも中庸が一番で、極端な金融緩和などで無理に需要を喚起すると、その副作用も大きくなります。

何もしないで衰退するよりも、最後の掛けに出る方が勝機が見いだせるというのが、アベノミクスの真の姿ですが、失敗した時の損失は国民が負担し、政治家はせいぜい辞任程度で済まされます。

これをリスクの非対称性と呼びます。

FRBが金融緩和を実行する本当の意味は、リーマンショックで実質的に経営破綻した銀行や金融システムに継続的に資金提供をしなければ金融システム自体が崩壊するので資金提供せざるを得ませんでした。しかし、結局供給された
資金が金融市場で運用される限り、新たな崩壊の芽を生み続け、緩和マネーの供給を止める事は事実上不可能になっています。

日本はそれに付き合う必要は無かったのですが、今では円が調達通貨としてアメリカのバブル拡大に貢献しています。米国債金利が上昇すると、金利を求めて日本の資金がアメリカに吸い上げられて行きます。米国債を円が支えている間に、アメリカに金融バブルはさらに拡大し、どこかで弾けるのでしょう。