今年で4年目を迎えるアイホールによるこの企画は、普段はなかなか触れることのできない現代英国戯曲を、魅力的なキャストと演出家によって見せてもらえる好企画。
人と付き合うことが苦手で、ひきこもりの女性がインターネットで出会った異性とどう付き合うのかを描く。コメディーともシリアスとも、どちらにも料理できる素材を、ニットキャップシアターのごまのはえが、微妙な距離感を持った文体で処理してみせる。リーデ . . . 本文を読む
94年ルワンダで起こった大虐殺。100万人もの人々が犠牲になったという20世紀最大規模の殺人なのに僕たちはその現実を知らない。去年『ホテル・ルワンダ』を見た時の衝撃は大きかった。新聞でそんな事があったことは、知識として知っていたかもしれないが、それは遠いアフリカの出来事でしかなかった。
引き続いて今年も同じ話を別の場所から、別の視点で描いたこの映画が公開され、もう一度あの現実に向き合う機会を . . . 本文を読む
気合の入った力作である。立派なセットと豪華な衣装で見せる時代劇といえば正月のお笑い映画『大奥』と同じなのだが、こちらはあんなバカとは違う。フォトグラファーの蜷川実花の第1回監督作品。
赤を基調にした極彩色のあでやかで大胆な美術(新人の岩城奈美子)、丁寧に書かれた脚本(タナダユキ)のもとパワフルな演出で一人の女郎の生き様を力強く見せてくれる。冒頭の「なめんじゃないよ」という土屋アンナのセリフと . . . 本文を読む
真面目に作っている。いい芝居だったとは思えないが、取り組む姿勢はとてもいいと思う。19世紀末のフランスの詩人(アルフレッド・ジャリ)が書いたという作品を現代に甦らせたものらしいが、なんだかはちゃめちゃなだけで、いったいどうなんだろう、と思う。アドリブをたくさん放り込んで自由気ままに作っているフリをしながらも、これはきっときちんとオリジナルを踏まえて作っているのではないかと思わせる。
芝居自体 . . . 本文を読む
これをありきたりだ、と言うならばどうぞご自由に。この素晴らしい映画が理解できないつまらない人間はほんとに可哀相だ。この映画には、生きていくうえで一番大切なものが確かに描かれている。その事実はゆるがせない。そしてそれは何物にも換え難い宝物だ。あまりに素敵で、興奮する。
とても懐かしい風景の中で、昔ながらの子供たちが描かれていく。その純朴な姿を見ているだけで胸いっぱいになる。だからといって、これ . . . 本文を読む
原作通りに映画化しているにも関わらずオリジナルのテイストが全く生かされていない。何も起こらないのに、この町では戦争が既に起きており、自分もまたそこに巻き込まれている。平穏な日々の繰り返しだが、どこかで戦死者が出ている。公報には事故死者と並んで戦死者の欄がある。
香西さん(原田知世)という役所の女性が窓口になり、自分(江口洋介)もまた召集され、実感もないまま戦争に参加していく。
映画と小説 . . . 本文を読む
とてもいい映画だと思う。しかし、この生真面目さは見ていて少し疲れるのも事実だ。こういう一本調子の映画を敢えて作ってしまったところに作者の若さを感じた。もちろんそれは見ていて心地よいものでもある。老練の演出家なら、怖くてこういう作り方はできない。
ただ、見ていて、彼がなぜ党に刃向うような行為をしたのかが、これでは納得がいかない。理屈としては解っても、これだけの理由では説得力を持たない。何が彼の . . . 本文を読む
まじめ過ぎてクタクタにさせられる。いい映画だけれど、映画の中に余裕がない。緊張を持続させ、2時間18分、ラストまで見せるから、観客はフラフラになるのだ。それは若い監督のデビュー作で、彼が自分の中にあるものを全てこの1本に注ぎ込んでしまったからだろう。この重厚な映画を弱冠33歳の新人が、丹念に歴史を調べ上げ完璧を目指して作り上げた。驚きである。
主人公の頑なな心が、いつの間にか変化してゆき、気 . . . 本文を読む