この芝居をどこに帰着させるのか。それはかなり難しい問題だ。しかし、終盤で怒濤のように説明ラッシュになってしまうのはどうだか、と思う。そこまで全く説明なく話を展開させてきて、それでもこれだけの緊張感を持続させてきただけに、あの説明は確かにわかりやすい謎解きにはなっているが、そこまでしなくとも、という気がするからだ。それより、そうしたことで反対にだからどうした?と突っ込みを入れたくなったのも事実であ . . . 本文を読む
この映画がよく出来ているのは30代半ばの男女のもう散々失敗を繰り返してきて、うんざりした気分がよく出ているところにある。なのに、性懲りもなくまた同じような事をする。人間は本当にバカで学習機能が付いてないなぁと思わさせる。でも、だからこそ彼らみたいに幸せになることもある。そのへんがさすがハリウッド映画だ。いかにもイギリス人という二人と、ほんとにアメリカ人という二人を掛け合わした超パターンドラマで、 . . . 本文を読む
いったい何が起こっているのだろう、と思わされるファースト・シーン。女が死んでいる。雪の中で。そこに小学生の男の子がやって来る。何をするのかと思えば、女の服の中に手を入れ胸をまさぐる。さらにはスカートの中にも手を入れる。それをカメラは俯瞰で捉える。衝撃的な幕開けだ。その後、この女は警察に運ばれ検死される。裸にされ寝かされた女が、気付くと息を吹きかえす。
山下敦弘監督のいつもの「ゆるゆる感」とは . . . 本文を読む
前半はおもしろかったが、後半になると何時の間にかただの連続殺人犯の話になり、「なんだぁ、がっかりだな」と思わせといて、あっと驚くエンディングをしっかり用意してある。香水の話が殺人に横滑りしていくのは、そのための布石だったのだと気付かされ、「まいったね」と脱帽。見事としか言いようがない。
これほどの超大作だとは夢にも思わなかったし、しかもこんなにも感動的で、衝撃的だとは。きちんとお金をかけなく . . . 本文を読む
こんなにも素敵な芝居にあまりお客が集まらない。今週はあまりにたくさん芝居がありすぎて、どれを選択すべきかで悩んだ人も多かったのではないか。僕も週末に7本見るべき芝居があり、ずっとどれをとるか考えていた。考えすぎてもうどうでもいいやなんて思うくらい。しかも、個人的なことだが、仕事がかなり忙しく土日はまるで動きがとれなくなってしまった。これでは、どれも見れないじゃないか。と、いうことでかなり無理して . . . 本文を読む
これも『ナイトミューシアム』と同じように凄い技術だと思うが、これを見てももう驚くことすらできない。何万匹ものペンギンが南極の氷河の上で、動き回り、歌い踊るのである。あっと驚く凄い映像のオンパレードなのに、それだけではもう感動しない。感覚も鈍ってしまいどんな凄いSFXもCGにもあっそう、と思ってしまう。技術の進歩が恨めしい。
だが、この映画はそれだけでは終わらせない。実は、凄い仕掛けがストーリー . . . 本文を読む
三池崇史が今度はコンピューターゲームの世界に殴りこみをかける。凄まじい暴力と無意味な殺戮。これぞゲームの世界だ、といえるようなバイオレンス巨編である。バカバカしさの極限を延々クライマックスで見せていく。
ゲームおたくですらあきれ返ったのではないか。バカも休み休みしろ、と毎日何時間もゲームで人殺ししている子供たちにすら言われそうな映画である。ペラペラの登場人物が、ただ戦い、血を流し続ける。なぜ . . . 本文を読む
とても刺激的な物語。それをセンセーショナルには当然描かない。それどころか、この物語が描くべきものからどんどん遠ざかっていくように物語が組み立てられているようにすら見える。
母と娘の静かな日々を、とても遠いところから見ていく。それは今回の公演会場であるドーンセンターという中劇場という空間のせいでもあるが、作、演出の戒田くんはこの空間の広さを逆手にとってここだからこそ出来ることとして、役者への距 . . . 本文を読む
いい意味でも悪い意味でも、これはラストまで一気に走り抜けていく暴走するお芝居だ。その事実からスタートしたい。もちろん勢いだけで1本の芝居を作り上げてもいい。だけど、正直言ってあのラストでは、唖然とさせられたのも事実だ。これで終わりなのか?ほんとうにそれでいいのか。
よくわからない。というか、落としどころは一体どこなんだよ?と突っ込みを入れまくり。だって何一つ解決しないまま終わってしまうのだか . . . 本文を読む
とても不思議な世界を提示してくれる。テリー・ギリアムの『ラスベカスをやっつけろ』や、先日見た『ラスト・イン・タイドランド』なんかを思い出した。要するに薬をやって、ちょっとラリってしまったような芝居だということだ。ここがここではないような気分にさせてくれる芝居でもある。
と、いっても別にあやしい芝居ではない。一応はバック・ステージものである。とある劇団が新作を上演する。本番まであと2週間しかな . . . 本文を読む
こういうたわいもないアメリカ映画を見ていると、本当に平和な気分になれる。昔はこんなハリウッド映画が好きだった。初めて映画を見始めた頃は誰もがそうなのではないか。小学生の頃、こんな映画を見て心ときめかせていた。
子どもの頃夢見ていたこと。もし、どらえもんのどこでもドアだけでもあったらいいのにとか。(四次元ポケットが欲しいなんて欲張らないから)それから、人が寝静まった後、部屋のおもちゃが動き出す . . . 本文を読む
よしもとばななを読んでいると、それだけで哀しい気分になる。相変わらず同じことを繰り返し繰り返し書き綴っている。小説としてはとても拙くこれってただの身辺雑記だよな、と思う。なのに、飽きもせずに新刊が出る度に読んでしまう。
40代の女性が主人公。彼女は一人で静かに暮らしている。決して豊かではないが、貧しくもなくただ慎ましく生きている。人生を投げたわけではない。だが、これから何かを始めようとはもう . . . 本文を読む
『墨攻』と『蒼き狼』を足して2で割った上で『パイレーツ・オブ・サ・カリビアン』をふりかけたような映画。春休みの子供向けアニメとバカにしてたらあかんよ。実は、今書いた3本よりいい映画だったりするからね。スケールの大きい超大作である。こんなにもシンプルな話なのに、飽きさせずどんどん見せていく。そして、ラストでは胸が熱くなる。「俺たちは仲間だからなぁ」なんてルフィーが言って拳を突き上げ仲間の印を見せ付 . . . 本文を読む
お話のためのお話としての芝居、というのを久しぶりに見たなぁ。ちょっと困ったけどこれはこれで悪くない。もしかしたらこれが本来の芝居のあり方かも知れない。少なくとも一番最初の演劇はこういう形であっていい。舞台の上で、まず、お話を綴ること。そして、それを見せること。
だけれども、なぜこんな話が生じることになったのか。登場人物の彼らは、どういう気持ちでこういう行動をするのか、といった素朴な疑問に対し . . . 本文を読む
プロモーション・ビデオでちょっと名の知れた監督(グレゴリー・ダーク)による劇場用デビュー作らしい。全く中身のないヘボ映画でこういうものが昔はよくあったが、最近ではとんとお目にかかれない。それは商売にならないからだが、なぜこれが公開されたのだろう。
もう少し頭を使って映画を作ったらいいのに、ほんとにおばかさんで笑える。ノーミソのない人が映画をつくってはいけません。せめて台本だけでも、もう少しま . . . 本文を読む