先日書いた『ジャックと天空の巨人』のような思い切りのよさがない。サム・ライミともあろう人がディズニーと組んだがために骨抜きになったのか? 健全なファンタジーなんか作ってそこでいったい何はしたかったのだろう。見終えてもそこがいまいち明確にはならないから、もどかしい。ディズニーと組んでもティム・バートンはここまでわけのわからない映画は作っていないから、これはあくまでもサム・ライミの問題ではないか。ダ . . . 本文を読む
7人の役者たちが動かないから、観客のほうが動いたりする。同時多発で、芝居が始まるので、自分が選んだもの以外の、他の5つは見ることができない。大体僕なんか最初は椅子から立たなかったので、最初は何も見れてない。いくらなんでも、このままではこの芝居に参加できないよ、と不安になって、途中から動き始めたのだ。もちろんちゃんとテキストも貰った。(それぞれのブースでは芝居の台本も置かれてある。)
今回の会 . . . 本文を読む
今年も大阪アジアン映画祭が開催された。昨年この映画祭で見た『星空』は僕にとって昨年見た映画のベストワンになった。今年も興味深い映画が満載で、どれを見るか、かなり迷ったけど、台湾映画を中心にして、4本チョイスした。もちろんすべてでも、見たいのだが、お金も時間もないから、しかも、仕事は忙しいし、他にも見るべきものや、するべきことがたくさんあったから、今の僕にはこのくらいが限界だ。(うちの嫁さんは、他 . . . 本文を読む
言わずと知れた『ジャックと豆の木』の映画化である。最近はこういう童話が続々と大作映画として、作られる。同時期に『オズ はじまりの戦い』(もちろん『オズの魔法使い』だ!)も公開されているし、白雪姫なんて2本も作られた。この後も、まだまだ続くようだが、作品の出来はこれが一番だろう。あのブライアン・シンガーが監督した。
何が面白いか、というと、まずこの作品は原作のイメージをちゃんと引きずりながら、 . . . 本文を読む
主人公の2人組「房総スイマーズ」は、「ウッチャンナンチャン」の2人を想起させる。もちろんわざとそういうキャスティングをしたのだ。もちろんそういう演出をしたのは内村光良監督自身だ。そう考えると、これはちょっと自虐的とも言えるお話だ。だが、これはありえたかもしれない自画像であり、お笑いを目指すたくさんの人たちの姿だ。
主人公が、自分にはお笑いをやる才能がないことを認めるまでのお話だ。努力だけでは . . . 本文を読む
かなり前に見たのだが、ずっと書くのを忘れてしまっていた映画だ。もちろんつまらないわけではない。ただ、同じ日の直前に見た『ゼロ・ダーク・サーティ』があまりに凄かったので、家に帰ってその衝撃の話をすぐに書いたら、その日は、それだけで満足してしまったのだ。そして、今日に到る。あれからもう何週間経つのだろうか。
ということは、やはりこの映画を見たことを忘れていたという話になる。済まない。
この嘘 . . . 本文を読む
この手の映画は枚挙に暇がない。犬猫を扱うハートウォーミングは安い製作費で簡単に作れてそれなりのニーズがあるから、安直に作り続けられる。そんな中で、この作品はちょっと違う。萩上直子監督作品だから当然だろうが、一見他の安直映画と識別がつかないくらいに、パッケージングは、安っぽい。でも、それだって監督のねらいなのかもしれない。これはたいした映画なんかじゃない、というメッセージだ。だが、この4話からなる . . . 本文を読む
著者の12年ぶりとなる書き下ろし小説、らしい。それが彼女にとってどれほどのことなのかは僕にはよくわからないけど、このとてもささやかでさびしい小説が、小川洋子さんにとってとても大切なものだということはよくわかる。
次から次へとすばらしい作品を連打している彼女が、一番書きたかったこと。それがこれなのかもしれない。あまりに自分の趣味で、他人を一切寄せ付けない。それはこの小説のことだけではではなく、 . . . 本文を読む
僕にとっては本当に久々の犯罪友の会だ。最近は野外公演もご無沙汰しているし、この時期の新人公演もあまり見ていない。武田さんの優しい世界に浸るのはとても心地よいのだが、ある種ぬるま湯のような気もして、足が遠のいた。でも、今回はとても見たいと思った。まず、あのチラシに心魅かれたのだ。そして、今回はとうとう昭和を舞台にする。時代劇をずっとやってきた犯友が、昭和30年代終わりの大阪下町の風景を描く、と知っ . . . 本文を読む
サブタイトルには「三島由紀夫と若者たち」とある。描くものはただひとつ。三島の割腹自殺に到るドラマだ。ここまでわかりやすいタイトルをつけるところが若松孝二監督らしい。言わずと知れた傑作『連合赤軍 浅間山荘への道』の姉妹編である。あの映画だけでは片手落ちだから、ちゃんとこの映画も作った。二本をセットにして、あの時代の気分を今に伝える。三時間強の大作である渾身の力作『連合赤軍』と比較するとこの映画はス . . . 本文を読む
タル・ベーラ監督の新作で、昨年のキネマ旬報ベストワンに輝いた作品だ。でも、あまりに地味すぎないか。キネ旬のベストワンはいつもその年の象徴的な作品になるのが常だった。要するに芸術的に優れているとかいう問題ではなく、一番、一応評論家(である大衆)から支持された作品が相対的に1位となるというのが、定番なのだ。だが、その流れが近年崩れてきた。今回の1位なんて、ありえない。映画はとてもよくできた作品だ。そ . . . 本文を読む
こういうバカもほどほどにして欲しい、と思わせる映画の傑作は難しい。月でナチスが今も生きていて、地球征服を企んでいる、だなんてあほらしくて誰も想像しない。そんなアホに挑む。要するに宇宙人による地球征服もののバリエーションでしかないのだが、ディテールさえうまく生かせば成功する。それくらいこのアイデアは悪くはないのだ。
だが、匙加減が難しい。このありきたりと紙一重の綱渡りを見事乗り越えられたなら、 . . . 本文を読む
『五体不満足』の作者・乙武洋匡が書いた自伝的小説を、本人を主演に迎え、廣木隆一監督が映画化した作品。本当に彼は選り好みせずになんでも手掛ける。そういう意味では三池崇史と双璧をなすのではないか。でも、何をやっても自分らしさは損なわない。今回も、ほんの数日前見た彼の前作『RIVER』と同じように何の説明もしない。
小学校に新しい先生がやってくる。その先生は手も足もない。普通ならそれだけで驚く。だが . . . 本文を読む
新作が続々と公開される廣木隆一監督の2012年3月公開作品。2011年3月の撮影されたこの作品を、公開から1年遅れの2013年3月に見る。偶々だが、なんだか意味深。秋葉原の無差別殺傷事件を題材にした作品なのだが、、映画は終盤震災にあった被災地に向かう。カメラが生々しい現実に目を向ける。だが、そこになんらかのドラマを作るのではない。ただ、ただそこを歩くだけだ。それ以上、何もできない。自分たちの無力 . . . 本文を読む
この映画の主人公、彼女のこの自信って何なのだ? まるで根拠がないのに、「OK、OK」と連発して、あらゆる事態を乗り切る。しかもそれが『日本無責任時代』とかの植木等のような胡散臭さはない。もちろん、あの植木等はあれはあれですごいのだが、この映画の仲里依紗演じる妊婦、光子のポジティブさは普通じゃない。植木等を凌駕する。
彼女は、粋であることをモットーにしていて、何事にもまるで悩まない妊娠9カ月の . . . 本文を読む