大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

魔法少女マヂカ・111『勉強会スタート!』

2019-12-11 12:59:22 | 小説

魔法少女マヂカ・111  

 
『勉強会スタート!』語り手:マヂカ 

 

 

 エレベーターで四階に着いた。

 

 四階は国会議事堂で言えば、真ん中のピラミッドのようになったところだ。終戦後進駐軍がやってきた時は、進駐軍専用のダンスホールになるという屈辱的な使われ方をしたが、議事堂の頭にあたる神聖な場所である。

「それは、リアル議事堂ね。ここは、単なる勉強部屋。ピラミッドの構造は、人間に集中力をもたらすのよ」

 サムが講釈してくれて、みんなジャージに着替えた。二泊三日の勉強会に耐えるためには、身体的に動きやすく、かつルーズにならないものが相応しい。

「さ、頑張ろう!」

 サムの掛け声で、十人掛けくらいの座卓に収まる。

 それぞれの席は座椅子型のアーロンチェアだ、適度に体重が分散されて、体に負担がかからない造りになっている。

「ゲーミングチェアに似てる!」

 ノンコが、真っ先に喜ぶ。こいつ、家でゲームばっかやってんじゃないかあ?

「あ、あ、勉強にも使ってっから(/ω\)」

 たぶん嘘だ。

「まず、各自、やりたい教科からやろう。一時間やって調子でなかったら、統一して同じのをやるかどうか、やり方も含めて検討」

「わたしもお?」

「ノンコは……」

 サムが言いよどんだのを友里が引き受けた。

「ノンコの欠点て、国・数・英・社だからさ、取りあえず、みんなで試験範囲の単語とか述語とか書きだして、それを三回ずつ書き写すところからやってみよ。まずは頭つかわずに、作業的にやれるようなことからさ」

「あ、いいかも。理屈とか考えたら五分で熟睡する自信ある!」

「自慢になるかあ!」

 ポコンと友里が食らわせる。

「あいた!」

「じゃ、かかろ!」

 真面目の清美がスタートを宣言。

 いっぺんにやるとノンコがパニックになるので、範囲の半分を書き出したところで、ノンコに渡した。

「うえーー」

「文句言わずに、さっさとやる!」

「今日の友里、こわいよお」

「できなきゃ、ご飯ないよ」

「あー、それは御勘弁」

 

 そうして十分ほどが過ぎ、みんな集中しはじめた。

 ピラミッドの中は心地よい緊張感のうちに、シャーペンのサラサラいう音だけが響く。

 サラサラサラ サラサラサラ サラサラサラ サラサラサラ スースー サラサラサラ サラサラサラ スースー

 サラサラサラ サラサラサラ サラサラサラ サラサラサラ スースー サラサラサラ サラサラサラ スースー

 

「「「「ん?」」」」

 

 気づくと、ノンコが寝息を立てている。

「ノンコ」

「ウ、ウェ?」

「ほら、ヨダレ拭いて」

「あ、あ、ごめん」

 ヨダレを拭いて二分もすると、また寝息が聞こえる。

「ノンコ!」「フ、ファ、ごめん」

 で、今度は一分で寝息。

 こんなことを四五回繰り返す。

「なかなかの強敵ねえ」

「どうしようもないなあ」

「どうしよう……」

 

 しばし、三人で腕を組む。このまま放置して、わたしたちだけ勉強するわけにもいかない。

 

「仕方だない、ノンコの頭の中に入って直してやろう」

 サムがすごいことを言う。

「頭の中に入るって?」

「友里と清美も魔法少女になって、ノンコの頭の中の敵をやっつける!」

「「わたしたちが!?」」

「魔法はダメだぞ」

「時空の狭間だから、ノープロブレム!」

 

 魔法少女が四人になった。

 この時空の狭間に居る間だけらしいけど。

 

 

 

 

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Regenerate・7≪M資金の行方とベラスコ≫

2019-12-11 06:27:15 | 小説・2
Regenerate・7
≪M資金の行方とベラスコ≫ 



 
「M資金については知っているね?」

 教授は目の底を覗きこむようにして言った。
「はい、詩織もウィキぺディアに載っている程度の知識はあるだす」
 ドロシーが山形訛のまま答えた。
「核心については、まだ話せていないんだね?」
「立て続けにいろんなこどがあったすけ。それに、詩織自身のこどにも触れねばなんねすけ」
「もう話さなければ。詩織も、自分が並の人間ではないと感づき始めているんだから。詩織の理解はこの程度だろう」
 教授が示したモニターにM資金の大雑把な内容が示された。
「昔の日本軍の隠し資金で、その真偽や使われ方などは不明で、主に経済詐欺の種になってるんですよね?」
「それは目くらましの噂だよ。M資金は我々が使っている」
「え……?」
「我々は、敵を倒すために作られた組織だ。これだけの施設と先進技術を使うのには膨大な資金がいる。詩織やドロシーの能力を開発するのにも多額の資金がかかっている」
「我々の組織とは?」
「特に呼び方は決まっていないが、他と区別するためにM機関と呼ぶことが多い。結論から言おう。M機関と敵は、元々は同じものだった。戦後の国際秩序を維持するために、M資金を元に設立された国際的な組織だ。それが70年の間に二つに分かれてしまった。欠陥だらけではあるが、今の世界秩序を守っていこうとする我々と、なんらかの世界秩序の改編が必要だとする敵。すなわち幸子を破滅させ、詩織の抹殺を謀ろうとしたベラスコ……これも便宜上の名前だが。我々の任務はベラスコの活動を阻止し、できれば壊滅することにある」

 沈黙が続いた。あまりに突飛で突然な話で、詩織の思考が着いていかない。かすかなCPUの稼働音が耳についた。

「詩織もドロシーも、そのために特別に……養成された。時間をかけて……詩織は、まだ覚醒したばかりなので、全ての情報をインストールはしてない」
「インストール……まるでコンピューターみたいですね」
「すまん。つい短絡的な言葉を使ってしまう」
「全部のこどさ知ったら、何が何だかわがんなぐなってまうで、小出しにしてんだす」
「詩織も、ドロシーも亡くなった幸子も同じだ。他にも仲間がいるが、おいおい知っていけばいい。その擬態の能力でも分かるだろうが、君の体のかなりの部分はオリジナルではない」
「作り物だってことですか……そんな記憶、あたしにはありませんけど」
「だから、まだ全てをインストー……理解してもらってはいない」
「インストールでいいですよ。分かりやすいです。で、当面は、何をしたらいいんですか?」
「普通に留学生をやっていてくれたまえ。ベラスコの方からしかけてくる。もっとも詩織のことは絞り込めていないから、奴らのやることはテロまがいだ。できる限り一般市民を守ることも、君の使命だ。さ、今日はこれぐらいにして幸子の擬態を解いて帰りなさい」
 そう言うと、教授も、元のメタボのバーコードに戻った。

 帰り道、ちょっとしたことが起こった。

「墜ちるね、あの飛行機……」
 二人は、飛行機が落ちるビジョンを見た。
「あたし降りる。渋谷で拾って。昨日の今日だから、あそこが安全。あたしは……あの飛行機をなんとかする」

 車を降りると、詩織はステルスになり、一キロほど走ると幸子に擬態し、意識を上空の東亜航空123便のコクピットに集中した。一秒でコクピットをサーチすると、コパイロットに逆噴射の暗示がかかっていることに気づいた。簡単な暗示だったので、すぐに地上に居ながら解いてやることができた。むろん敵のベラスコは見通している。幸子の姿をした詩織の思念は人工衛星が探知した。詩織は人工衛星に向かってVサインを送るとステルス化して姿をくらました。

 ベラスコの日本支部のメンバーは驚いた。
 さっき幸子は溶鉱炉に身を投げて消滅したはずだから……。
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永遠女子高生・25・《京橋高校2年渡良瀬野乃・16・特盛のたこ焼き》

2019-12-11 06:18:28 | 時かける少女
女子高生・25
《渡良瀬野乃・16・特盛のたこ焼き》          




 学園都市線のホームは環状線のホームの下にある。

 環状線だけで通っている生徒は、一階下の学園都市線のホームに降りることなく卒業していく。
 野乃もそういう生徒の一人であった。

――もう、この階段を下りることもあれへんなあ……――

 環状線への階段を上り終えて、野乃はため息をついた。
 半月かかった『少女像』が完成したのだ。もう一之宮先輩の家に行くこともない。
 ボンヤリしていたら、外回り電車の発車のアナウンス。いつもなら走っている――駆け込み乗車は大変危険です――そんなアナウンスなどものともせずに、ギューギュー詰めの車両に突進する。

 それが、今日はできない。

「それじゃ失礼します」と明るく出てくるのが精いっぱいだった。駅まで送るというのを断ったところで笑顔は引きつりかけていた。もう発車直前の電車に駆け込む元気はない。
 乗車位置に着いた時には、USJのデコレーション一杯の電車はホームを離れかけていた。
 間の悪いことに、次の電車は京橋止めだ。
 電車案内の表示が、次の電車が桜ノ宮を出たことを示したときに肩を叩かれた。

「あ、あやめさん!?」

 あやめと連れ立って、商店街のたこ焼き屋に向かった。
「いらっしゃい」「おばちゃん、いつもの」を交わして奥の席に。おばちゃんは、二人の空気を察して、それ以上の言葉をかけてこようとはしない。
「ごめんね、野乃ちゃんが帰ったあと、どうしても話しておかなきゃって……ヘヘ、エプロン外しただけで飛び出してきちゃった」
 エプロンを外しただけの普段着でも、あやめはとても魅力的だ。話をする前に、野乃は凹んでしまう。
「わたしから言うのも情けないんだけど、一度秀と話してくれないかしら」
「……もう作品はできたんですよね」
 このうえ作品の手直しを言われても、もう秀一の前に平常心で立つことはできない。好きだと言う気持ちが涙と一緒に溢れてくるのを止めることができないから。まして、その横にあやめがいては立っていることさえできそうにない。
「あのね、秀一はね……」

「ちょっと待って!」

 なんと、その時、たこ焼き屋に秀一が現れた。
「あ、あ、あたし……」
「気づいたらあやめがいないんで、原チャで追いかけてきた」
「よく分かったわね?」
「あやめがやることは見当が付く」
 やっぱり二人はツ-カーの仲なんだと、野乃は一層委縮した。
「あやめはやりすぎるんだ」
「なによ」
 秀一は、それに答えず、野乃の横の椅子に掛けた。
「あの……もう、これ以上のモデルは勘弁してください」
「そんなことじゃない……野乃ちゃん、ボクは野乃ちゃんが好きだ。付き合って欲しい」

「え……え……え……?」

「モデルになってもらう前に言わなきゃいけないんだけど、今日までズルズルになってしまった」
「そんな……からかわんといてください」
「からかってなんかいない。ボクの本心。今の今まで勇気が無くて言えなかったんだ」
「先輩にはあやめさんがいてはるやないですか。ツーカーの、阿吽の呼吸の、生まれながらの恋人みたいなあやめさんが」

「「あ……」」

 秀一とあやめが同時に息をのんだ。まことに呼吸の合った二人である。
「違うわよ、わたしたちいとこ同士だもん」
「い、いとこは結婚だってできるんです!」
「そうだよね。でも、ボクたちは元々姉弟なんだ」
「え……?」
「双子の姉弟。二卵性のね。あやめが、子どものいない伯父さんのところに引き取られたんで、戸籍上はいとこなんだ」
「阿吽の呼吸なのは……そういうこと。だから、お願いするわ、出来の悪い弟のこと」
「あ、えと……えと……」

「はい、おまっとうさん。いつものん特盛!」

 おばちゃんが、たこ焼を山盛りで持ってきた。
「おばちゃん、多いけど」
「おばちゃんのおごり。たこ焼き食べながらゆっくり話したら、気持ちもやわらこうなって、丸う収まるよってに。野乃ちゃんには、たこ焼大会がんばってもらわなあかんしな。アハハハ」

 そうして、京橋商店街のアーケードは、夕陽を受けて幸せ色に滲んでいった……。
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乃木坂学院高校演劇部物語・62『凧の行方』

2019-12-11 06:09:25 | はるか 真田山学院高校演劇部物語
まどか 乃木坂学院高校演劇部物語・62   
『凧の行方』 


 
 振り返ると、右のホッペにグニっと指が当たる。
 
 ガキンチョがよくやるあれ。

 で、この幼児的ご挨拶は……薮先生。
「もう、先生ったら子どもっぽいことを」
「俺は、小児科の医者なんでな」
「わたし、今月で十六です」
「俺の所見じゃ、四捨五入して、まだ小児科の対象だ。ほら、あいつみたいにな……」
 先生の指の方角には、今まさに鳥居をくぐって境内を出て行く忠クンの背中が見えた。
「忠クン来てたんだ」
「たった今までいっしょだった。なんせ、この人混みだ。まどかに気づいたのもたった今」
「メールぐらいしてくりゃ、いっしょに来たのに」
 自分のことを棚に上げてぼやく。
「あいつ、ひどく思い詰めっちまっててな」
「え……」
「あいつ、あの日から、家に通い詰めでよ。毎日親父の話さ」
「え……」
 先生は、ため息一つついて空を見上げた。
 東の彼方の空に凧が舞っている。
 多分隅田川……ひょっとしたら荒川の河川敷かも。いずれにしても、ここから見えるんだ。   
 かなり大きな凧……それもかなりの高み。
「俺も、三日目くらいからは閉口しちまってな。雰囲気に弱いってのは俺が言ったことだけどよ、ちと度が過ぎる。まどかの演劇部で自衛隊の出てくる芝居やったんだって?」
「あ、ええ。去年のコンクールで。落っこちゃいましたけど」
「あれで、まどか主役の代役やったんだってな。あいつには衝撃だったみてえだよ」
「あれは、わたしの無鉄砲で……落っこっちゃいましたし」
「しかし、立派なもだったって、審査員の先生もべた誉めだったんだろう」
「さあ……よく覚えていません」
 あれは、今では、わたしのカテゴリーの中では『やりすぎ』の中に入っていて、あまり思い出したくない。
「その話しの中で、自衛隊の少年工科学校が出てくるんだって?」
「はい、もう一人の主役の男の子が、それで自衛隊に入ろうと思っちゃうんです」
「で、やっこさん、その主役になっちまった」
「え……?」
 たむろしていた鳩たちが、なにかに驚いたのか、予感したのか、慌てて飛び立っていった。
「忠友のやつ、その少年工科学校に入りたいって言い出しちゃってよ。もっともあれは平成二十二年に改編されちまって、高等少年工科学校って言うんだけどよ。本書いた先生のちょっとした認識不足なんだろうけど、芝居ってのは恐ろしいもんだ。その認識不足や反戦なんてカビの生えたテーマでも、反面教師になっちまって。やっこさんの頭に残っちまった」
 風向きが変わってきたのか、凧が大きく揺れている。
「あいつは、良い物をもってるよ。気長に良い風が吹いてくるのを待ってりゃ……ありゃりゃ……」
 凧の糸が切れちゃったんだろう。凧はクルクル回りながらあさっての方角に飛んでいってしまった。
 二人で口を開けて、それを見ていたら、やがて、その風がここまで吹いてきた。
 わたしはジーパンだったけど、前を歩いていたオネエサンのスカートが派手にひらめいた。
 すかさず薮先生はそれをご鑑賞になられました。
 日本のクタバリゾコ……お年寄りはお元気なものであります。

 その、クタバリゾコ……お年寄りたちは、これからのわたしたちに少なからずの影響をもたらすのでありました。

 風が止むと、ポカポカとした陽よりになりました。
 まるで気まぐれなわたしたちの心のように。波瀾万丈な一年を予感させるように。
 とりあえず、元日は、四捨五入して、目出度く迎えることができました。
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