大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

魔法少女マヂカ・113『前頭葉攻略戦』

2019-12-18 14:19:26 | 小説

魔法少女マヂカ・113  

 
『前頭葉攻略戦』語り手:マヂカ 

 

 

 前頭葉は長期記憶と創造のイマジネーションを司るところだ。

 

 さぞや、さまざまなニューロン(記憶細胞)がシナプスで結合されていると思った。

 ……エビフライ ドリア マックシェイク スマホの基本操作 友だち 知り合い 日向坂 イチゴ大福 ワールドカップ 学食メニュー 座席表 AKB 乃木坂 太田道灌 友里 桜の名所 スイカ 清美 アキバ たこ焼き マヂカ もんじゃ焼き 日暮里高校 スカイツリー 体育のサボり方 春のファッション エヴァンゲリオン サードインパクト たこ焼 流行りのリップ 500円玉 いきものがかり 原宿 AMAZON 卵サンド ベーゴマ ドラえもん ポニテの結い方 寝たふり 特務師団 バリューセット 安倍先生 調理研 ごみ収集日 北斗 ガラケー プリクラ 冬コミ ラノベ プライム会員 ライン 月見饅頭 ビー玉 ナポリタン大盛り ハナクソのほじり方……

 数え上げたらキリのない知識や記憶が浮かんでいて、それらには強力なシナプスが張り巡らされ、さらに稲妻が走って、新しいシナプスが形成されつつある。

「ほんと、ノンコの頭って、脈絡ないなあ」

「時間割の後ろに……え?」

「友里のおだて方」

「何考えてんだか」

「勉強に関するものはないのかあ?」

「えーと……」

 目を凝らすと、やっと見えた。

 国語 数学 英語 社会……さすがに欠点教科が先に見つかる。

「なんだか、半透明だなあ」

 いや、半透明どころではない。

 勉強に関するニューロンに伸びようとするシナプスは勢いがなく、到達する前に消えてしまうか、全然違うニューロンに引っ張られていく。

「二次関数のニューロンが唐揚げの二度揚げに引っ張られて……ケンタッキーフライドチキンに……」

「今川義元が今川焼に……」

「英語……えいご……えいが……映画……」

「映画……ポップコーン……ポップティーン」

「ポップティーン……冬物バーゲン」

「だめだ。ことごとく、他のものに転嫁されるわ」

「こりゃ、勉強に無関係なのは消していくしかないなあ」

「消しちゃったら、ノンコ、バカになってしまわない?」

「とにかく、周辺の無関係のやつだけでも消してしまおう。いくよ!」

「うん!」

 

 セイ!

 

 マヂカがジャンプにわたしも続く。

 勉強の周囲に漂っているニューロンや、誘惑信号などを手当たり次第に消していく。

 今川焼を消された今川義元は、バランスを失ってグルグル回転し始める。すると、回転と言う単語が光を増して回転焼きに転嫁した。

「回転焼き?」

「今川焼の関西名よ」

 回転焼きを成敗すると、回転木馬が現れ遊園地に転嫁して――みんなと行きたい!――という願望に変化。

 ノンコの気持ちの優しさなんだけど、エイヤ! 一刀両断にする。

 

 友里と二人で、ヘトヘトになるまで切りまくり、なんとか勉強に関するニューロンの保護に努めた。

 

 オーイ、手を貸してくれ!

 

 目にクマを作ったブリンダが飛んできた。

「視床下部と脳幹から、睡眠信号が異常発信されているんだ。ノンコのやつ寝落ちしてしまう!」

「わ、分かった」

 萎える気を奮い立たせ、脳内深くに潜行する。

 

 その夜、日付が変わるころに、やっとノンコの頭から撤収した我々は、朝まで爆睡したのであった……。

 

 

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となりの宇宙人・2『宇宙人の聖也』

2019-12-18 06:43:32 | 小説4
となりの宇宙人・2     
『宇宙人の聖也』   




 聖也は、お腹に包丁が刺さったまま、ゆっくりと崩折れていった。

 ドウっと地面に倒れる……寸前、地面と30度くらいの角度になったところで、マジックのように停まってしまった!
 気づくと、聖也を刺したサラリーマン風も静止して、逃げ惑う通行人たちも、逃げる姿のままフリーズしている。

 こんなこと、前にもあった……何気に買った本を二三ページ読んで「読んだことがある」と感じたようなデジャブ(既視感)だ。 以前にも、こうやって助けてもらったような気がする。

 数秒あって、三十度に傾斜したままの聖也は、ゆっくりとお腹に刺さった包丁を抜いた。
「よいしょっと……あれ、愛華停まってないんだ……てか、その顔はデジャブなの?」
 聖也は、バツが悪そうに、体を起こしながら言った。
「あの時もそうだったよね……聖也、突然現れて、変だと思ったら時間が停まって、あたし一人動けるのに驚いていた」
「愛華は特別だからな……仕方ない、あの時言ったみたいに記憶消すよ」
「え……あ、うん。でも、この通り魔のおじさん、どうするの?」
「まかしとけって、包丁取り上げて、三十秒前にもどす。時間をもどすから、愛華も三十秒間の記憶も消えるけど、ごめんな」

 そう言うと、聖也は指で空中に30となぞった。

 再起動のような間があって、目の前の景色が三十秒前にもどった。
 バス停に、あの通り魔のサラリーマン風の姿は無かった。
――聖也、通り魔サラリーマンの存在そのものを消してしまったんだ――

 愛華は、全部思い出した。

 ……聖也は幼馴染なんかじゃない。

 ほんの七か月前、聖也は突然現れた。
 
「いってきまーす」
 そう言って、鈴木さんの玄関から出てきたんで「あれ?」って思った。だって鈴木さんちはご夫婦だけで子どもなんていないんだもん。 親類の子だろうか……そう思って「おはよう」という聖也の言葉にも適当に合わせていた。
「ほんのこの前、いっしょに、ここ卒業したばかりなのにな」
 小学校の前を通った時も、聖也はそう言った。
「え、あ……うん」
 人間て、突然へんなことに出会っても、すぐに反発とかの反応はしないんだ。
 それに入学式の朝って特別な状況だった。あたし自身、背伸びして仁科高校に入ったんで環境がガラリと変わって、合格発表以来新しいことばっかで、毎日が新鮮。
 その日の朝、初めて袖を通した仁科の制服も、役者さんが新番組で新しい衣装着たみたいに身に合わなかった。
 だから余計に、全然知らないあいつが馴れ馴れしく駅までの道を付いてきても「変だ」とは口に出せなかった。
「いっしょに仁科高校にいけなくてごめんな。おれ、いろいろ思うところがあってさ、急きょ帝都国際に……でも通う学校は変わっても幼馴染、おたがいがんばっていこうや」
 そう言って、聖也は手を差出したんだよ。
「握手して、お互いの入学式にいこうや」
「あ、あの……あたし、あなたのことなんか知らないよ」
 聖也、鳩が豆鉄砲を食ったような顔になったんだ。

 そして時間が停まった。

「インストールできてないんだ、愛華の記憶……もう一度、おれの記憶を転送するよ」
 そう言って、聖也、あたしの額に手をかざそうとしたんだよ。
「待って、あ、あ、あなた、いったい何者なのよ!?」
 震える声で、やっと聞いた。
「その……宇宙人……でも、けして悪い宇宙人じゃないから、信じて」
「信じろって言われても……」
「ごめん、長いことは停めていられないんだ時間。いくよ……」
 クラっときたら、時間が動き出して、聖也は幼馴染になっていた。

 そして今……三十秒時間が巻き戻ったけど、あたしの記憶は消えなかった。

 宇宙人の聖也と、どうつきあっていけばいいんだろう……。


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青春アリバイト物語・4《え、台詞が入ってない!?》

2019-12-18 06:30:12 | 小説6
青春アリバイト物語・4
《え、台詞が入ってない!?》 



 ただの付き人とは思うな。

 八重の付き人を始めた日に兄の裕一に言われた言葉である。
 真一の告白を断るために、とっさに出たでたらめアルバイトだが、裕子はやり通そうと決心していた。演劇部のコンクール審査にケチをつけたことで、狭いながらも高校演劇の中の有名人になってしまった裕子である。フンドシの紐は締めている。
 八重は、その日台本を間違えて持って帰ってしまった。

 なんと、すでに収録の終わった分の台本を持って帰ってしまっていたのである。

「え、うそ。これだと思ってた!」
 さすがの八重も青くなった。スタジオに入ってセットが台本と違うので、ようやく気付いたのである。
「ヒロ、あんたがしっかりしてないからでしょ!!」
 いつものように付き人に当たり散らす八重だったが、当然ながら八重に同情するような者はスタジオには一人もいなかった。
「マネージャーさんにあたってもしかたないでしょ。ヒロちゃんは、ちゃんと今日の台本持ってるじゃないの」
 ベテラン女優の、八千草瞳がたしなめた。八重は、ときどき台本を忘れてしまうので、八重の付き人は、必ず予備の台本を持っている。

 責任の所在は明らかだった。しかし、八重を冷やかに見ているだけではすまない。このままでは収録ができない。

「カンペ用意しましょうか?」
 チーフADのニイチャンが言った。
「だめ、そんなので演れるような軽い役じゃないわよ。台詞も長いし」
 八千草が言下に却下した。

 スタジオが、シーンとした。

「あの、あたしがプロンプターやりましょうか?」
 裕子は、思い切って言ってみた。
「でも、台本持って入られたんじゃ、フレームに入っちゃうよ」
 ディレクターが、ため息交じりに言った。
「八重さんの台詞は、アンダーやれるくらい頭に入ってます。場面にあったエキストラの衣装着せてもらったら務まると思います」

 放送局と言うのは小回りが利くものである。ディレクターやカメラ、美術さんまで入って40分足らずで対策を講じた。

 その収録で、裕子は、まさの八面六臂であった。喫茶店のウェイトレス、近所のオバサン、女子高生、果ては犬の着ぐるみ(さすがに全身は写さないが)ゴミ箱のゴミ、カメラさんのクレーンにも上った。

「ふん、ヒロも少しは役に立つんだ」
 八重にしては、最大の賛辞ではあった。
「きみ、プロンプ慣れしてるね」
 これはディレクター。あたりまえである。裕子は、ついこないだまで、演劇部の何でも屋さんであったのだ。
「あなた、服のサイズ八重ちゃんといっしょなのね」
 これは衣装さんの感想。これが回りまわって、裕子の災厄になるが、裕子も八重も、スタジオのだれも気づいてはいなかった。

――バイトがんばれよな。休憩中とか帰りとか、少しでも会えないかなあ――

 お気楽な真一から、メールが入っていた。

――そんな、生半可なもんじゃねーっつーの!――

 そう返事を打ちながら、真一とのメールのやり取りが日常になってきたことには気づかない裕子だった。
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Regenerate(再生)・14≪幸子のセンチメンタルジャーニー・4≫

2019-12-18 06:23:00 | 小説・2
Regenerate(再生)・14
≪幸子のセンチメンタルジャーニー・4≫
   


 

 中肉は起爆装置のボタンを押した……。

 キャビンアテンダントのスカーフに挟まれた紙束が爆発し、血しぶきと共に彼女の首は吹っ飛んで天井にぶつかり人一人が通れるくらいの穴をあけてしまった。機内の空気が小物といっしょに機外に吸い出されていき、その中に華奢な方の犯人も含まれていた。中肉は必死でシートの手すりにつかまり吸い出されることをまぬかれていた。他の乗客や乗務員はシートを締めているので、ただ強い風の流れに耐えているだけだ。
 機内は瞬間の気圧低下で、空気が霧状になって視界は数メートルに下がって、一斉に降りてきた酸素マスクが垂れ下がり、機内の様子は分かりにくくなっていた。そして、CAの居たあたりで悲鳴があがった。
 なんと首の無くなったCAの体が風に晒されながらも立っている。そして、ジワジワと中肉の傍に歩いていくではないか!

「ヒ~、寄るな! 寄るなあ!」
「お客様……それでは危のう……ございます……わたしにお掴まりください……」
 首なしのCAは、くぐもった声で言うと、中肉を抱きかかえた。必死に抗う中肉。一瞬手すりから手を離した隙にCAの体もろとも、さらに広がった天井の裂け目から吸い出されていった。

 高度5000から落下しながら、詩織は首なしCAのままスカーフの切れ端と中肉のベルトで、中肉の体を締めあげた。中肉のハイジャック犯は落下と首なしCAの恐怖に気絶寸前であった。
「気絶しちゃだめよ」
 右方向から声がした。なんとCAの首が風に髪をなぶらせながら中肉に喋りかけている。
「華奢な方は海に叩きつけられてばらばら。さっそく魚のエサになったわ。あなたも、このままじゃそうなる。命が惜しければ雇い主と、犯行の全てを言いなさい」
 恐怖のあまりか、根性が座っているのか、中肉は口を開かなかった。

「仕方ないわね……」

 首が目配せすると、胴体は中肉を手放した。
「ウワー!」
 500メートルほど落下したところで、再びCAの胴体に捕まった。
「口効けるんじゃない……次は助けないわよ」
「言う、言うよ!」

 ハイジャック犯は、全てを喋った。
 
 詩織はCAの胴体のまま犯人のポケットからスマホを取り出し、犯人の前に構えると、全てを録画した。

 愛知県警の上空で、首と胴を繋ぎなおし、身なりを整えながらゆっくりと県警の玄関前に着地。CAの姿のまま中に入って行った。

 ハイジャック犯を愛知県警に引き渡すと、ステルスになり、県警の玄関からそのまま出て行った。幸子以外の人間にも擬態できると思った詩織は、部活帰りの女子高生に擬態しようとしたがうまくいかない。どうも、特殊な状況で、相性のいい相手でないと擬態できないようだと思い、地下道に潜ったところで詩織の姿に戻って名古屋駅を目指した。

 新幹線で名古屋から大阪までは一時間余り。大阪に近づくにしたがって幸子のビジョンがはっきりしてきた。

 幸子は、大阪市の北東部、旭区の出身であった。京都を過ぎ大阪が近くなると幸子の感覚で懐かしくなってくる詩織であった。
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乃木坂学院高校演劇部物語・69『胡蝶蘭と黄色いハンカチ』

2019-12-18 06:12:58 | はるか 真田山学院高校演劇部物語
まどか 乃木坂学院高校演劇部物語・69   

 



『胡蝶蘭と黄色いハンカチ』


「遅いなあ……もう三十秒も遅れてる」

 里沙がぼやいた。
「仕方ないよ、お誕生日祝いかさばるんだもん」
 夏鈴を弁護した。
 潤香先輩の誕生日は日曜だったので、わたしたちは病院のロビーで待ち合わせしている。
「あ、君たち乃木校の……」
 潤香先輩のお父さんとお母さんが並んでエレベーターから出てきた。今まで看病されていたんだろう。
「よく来てくれてるのね。紀香が言ってた。本当にありがとう」
「いいえ、潤香先輩はわたしたちの希望の星なんです。それで、わたしたちの方こそ、先輩に力をもらっているんです」
 里沙とは思えない上手な挨拶。里沙ってアドリブのきかない子だから、本心。わたしみたいなのがペラペラ喋るよりはよっぽどいい。
「今日は先輩のお誕生日なんですよね。おめでとうございます」
 少し後悔した。今年の誕生日はそんなにめでたくもないことなのに。やっぱ、わたしは口先女だ。
「覚えていてくれたのね、ありがとう!」
「いま、親子四人で、ささやかにお祝いしたとこなんだよ!」
 ご両親で喜んでくださって、一安心。
「さ、どうぞ上がってやってちょうだい。紀香も一人だから喜ぶわ」
「もう一人来ますんで、揃ってから伺います」
「そう、じゃ、わたしたち、これで失礼するけど。ゆっくりしてってちょうだいね」

 夏鈴が入れ違いにやってきて、やっと潤夏先輩の病室へ。

「えー! こんなのもらっていいの。高かったでしょう!」
 一抱えもある胡蝶蘭……の造花に、お姉さんは驚きの声をあげた。
「いいえ、造花ですし、お父さんの仕事関係だから安くしてもらったんです」
 夏鈴が正直に答える。
「知ってるわ。ネットで検索したことがある。考えたわね、病人のお見舞いに鉢植えは禁物なんだけど、造花ならいけるもんね。おまけに抗菌作用まであるんだもんね。だれが考えたの?」
「はい、わたしです!」
「まあ、夏鈴ちゃんが」
「それに、潤香先輩が良くなったら、これを小道具にしてお芝居できたら……いいなって」
「ありがとう、里沙ちゃんも」
 おいしいとこを、二人にもっていかれて、わたしは言葉が出ない。自然に潤香先輩に目がいく。
「先輩の髪の毛、また伸びましたね」
「そう、宝塚の男役ぐらい。もう、クソボウズなんて言えなくなっちゃった」
「先輩って、どんな髪にしても似合うんですね。わたしなんか、頭のカタチ悪いから伸ばしてなきゃ、みっともなくって」
 里沙と夏鈴が同時にうなずく。あんたたちねえ……!
「ハハ、そんなことないわよ。あなたたちの年頃って、欠点ばかり目につくものよ。どうってないことでも、そう思えちゃう。わたしも、そうだった……潤香もね」
「色の白いの気にしてたんですよね……こんなに美白美人なのに」
「なんだか……眠れるジャンヌダルクですね!」
 わたしってば、ナーバスになっちゃって、自分がいま思いついてクチバシッタ言葉にウルっときちゃった。
「ジャンヌダルク……なんだか、おいしそうなスゥイーツみたい」
「人の名前だわよ。グリム童話に出てくるでしょうが!」
 二人がうしろで漫才を始めた……と、そのとき、潤香先輩の左手の小指がピクリと動いた!
「……いま、指が動きましたよ!」
「うそ……潤香…………潤香あ!」

 そのあと、お医者さんがきて脳波検査をやった。微かだけど反応があった。
「実はね、昨日貴崎先生がいらっしゃったの……」
 脳波計を見つめながら、紀香さんが口を開いた。
「誕生日だと、両親も来るし、あなたたちも来るかも知れないって……前日にね」
「先生……どんな様子でした?」
「先生は……普通よ、元気で明るくって……そうだ!?」
 紀香さんは、ベッドの脇のテーブルの引き出しから一枚の黄色いハンカチを取り出した。それは、紛れもなく、神々しいまでの貴崎イエロー!
「そう、貴崎先生がね。お祖母様のためにね、巣鴨のとげ抜き地蔵に行って洗い観音さまを洗ったハンカチ。お祖母様は腰だけど、潤香のことを思い出されてね、潤香のためにね、このハンカチで観音さまの頭を洗ってくださって……ほんの、おまじないですって置いていかれたの。で、あなたたちが来る直前に潤香、汗かいてたから、これでオデコ拭いて……でも、あなたたちも胡蝶蘭の造花持ってきてくれたわよね!」
「これは、今日の誕生花が胡蝶蘭だったから……」
「そんなに誇張して考えなくても」
 また、うしろで絶好調な漫才が始まった。
 そこに、知らせを聞いたお父さんとお母さんが戻ってこられて、病室は嬉しい大混乱になりました。
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