大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

せやさかい・099『ノリちゃんと浅野拓美』

2019-12-01 10:01:19 | ノベル

せやさかい・099

『ノリちゃんと浅野拓美』 

 

 

 阿弥陀さんがしゃべった!?

 

 と思たら、須弥壇の陰からノリちゃんが現れた。

 ノリちゃんて、ほら、死んでから中学生に若返った佐伯さんのお婆ちゃん。わたしのせいで記憶障害の兆候が出てからは御無沙汰やった。

「えー、ノリちゃんがあ?」

「なによ、不足そうな顔してからに」

「いえいえ、そやけど、どないして?」

「まあ、細工は流々仕上げを御覧じろや!」

 そう言うと、ノリちゃんは、駆け足で本堂を出て行った。駆け足いうても幽霊やさかい音もせえへんし、閉まってる戸ぉもすり抜けてやけどね。

 そやけど、どないすんねんやろ?

 まさか、ノリちゃんが留美ちゃんに化けてテスト受ける? むかし読んだラノベが浮かんでくる。

 あかんあかん、たとえ化けたとしても、それは反則や。

 ラノベは好きで、特にラブコメなんかは、よく読むんや。幽霊とかに助けられる話は多いけど、結局は、本人が自分の力で乗り越えるいう設定が多い。大人や教育委員会が非難するほどラノベは不道徳なもんやない。うん。

 けども、ノリちゃんはラノベ読む? なんせ、こないだまでは九十前のお婆さんやったし……。

 

 心配なんで、あくる日の朝一番に聞いてみた。あ、留美ちゃんにね。

 

「ゆうべ、変わったことなかった?」

 これだけで通じた。

「あ、それがね……夢に女の子が出てきたの」

「あ、ひょっとして、うちの制服着てた?」

 ノリちゃんはうちの卒業生で、いっつも制服で現れる。

「ううん、浅野拓美いうアイドルの子」

 浅野拓美……二秒ほどかかって思い出した。

 『小悪魔マユの魔法日記』というラノベに出てくる子。

 事故で死んだのも忘れてAKR48というアイドルグループの研究生テストを受けて合格。それを修業中の小悪魔マユに見咎められて落ち込むんやけど、哀れに思ったマユがアバターを貸してくれて、アイドルグループのセンターをとるとこまで成功する。そして、十分自分の力を発揮したとこで「ありがとう、マユ」とお礼を言って、クリスマスの夜に、もとの幽霊に戻って消えていく。消えると、浅野拓美って子は存在しなかったという本来の世界に戻って、AKR48はAKR47と看板が変わってしまう。

 せつなくも美しいお話。

「その拓美さんがね、歌うことに怯えるなんてもったいない! わたしが特訓したげる! って、昨日と今日教えてくれるんだよ!」

 留美ちゃんの背後にうっすらと人影……ノリちゃんかと思たら、ラノベの挿絵に出てた浅野拓美や!

 

 そして、運命の音楽の時間!

 

 留美ちゃんの横には浅野拓美が、ずっと寄り添ってる。

 これで、留美ちゃんにのり移るようなら反則やと思てたら……。

「じゃ、次、榊原さん」

「はい」

 留美ちゃんが、先生のピアノの横に行った。浅野拓美は、音楽室の後ろに回って、留美ちゃんを見て、しきりに笑顔で頷いてる。口を大きく開けて見せて、しっかり口を開けなさい。頬の筋肉を意識、ああ、笑顔で歌いなさいちゅうことや。ほんで、両手の拳を胸のとこに持ってきて、ダメ押しのエールを送ってる。

 このポーズ……あ、上皇后陛下が東日本大震災のお見舞いに行かれて、被災者の人らを励ましてはった時と同じや。

 一回、大きく頷くと、留美ちゃんは堂々と『麦の唄』を唄い始めた。

 

 なんや、あたしまで涙が……そやけど、ノリちゃん、なんで『小悪魔マユの魔法日記』なんて知ってるん?

 

 それは、さくらちゃんの心にあったからよ。ノリちゃんの声が聞こえてきた。

 

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乃木坂学院高校演劇部物語・52『繋ぎの仕事』

2019-12-01 06:08:21 | はるか 真田山学院高校演劇部物語
まどか 乃木坂学院高校演劇部物語・52     
『繋ぎの仕事』 


 折良く繋ぎの仕事が見つかった。

 二乃丸学園高校の先生が急病になり、二学期末の今になって常勤講師が必要になった。小田さんのプロダクションが、新聞社を相手にさらなる訂正記事と謝罪を要求。訴訟も辞さない意気を見せ。新聞社も一面で、謝罪記事を載せ、編集長も更迭。
 そこへわたしが(匿名ではあるけども)学校をいさぎよく辞めたことも世間の知ることとなり、二乃丸学園は即決でわたしを常勤講師に雇ってくれた。
 一応学年末までの契約であるけども、来年度から正規職員として勤めて欲しいと非公式な打診があった。
しかし、やっぱ乃木坂の貴崎マリの名前はダテじゃない……と自惚れてもいた。

 着任したその日に、実質的な演劇部の顧問になった。

 二乃丸学園は、城南地区の所属であり、乃木坂とぶつからないのも気が楽だった。コンクールで、乃木坂と争うのはさすがに気が引ける……ってことは、自分が指導すれば、この欠点も無ければ、取り柄もない平凡な部員十名の二乃丸学園高校演劇部をイッチョマエの演劇部にする自信はあったのよね。

 初日から、わたしの指導は厳しかった。
 
 まず、発声練習をやらせてみた。満足に声が出る者が一人もいない。エロキューション(発声に関わるすべての技能)がまるでなっていない。鼻濁音ができないくらいは仕方がないとしても、腹式呼吸ができていないことは許せなかった。
 聞けば、都の連盟の講習会にも出ているとのこと。わたしは、その講習会でエロキューションの担当だった。
「講習会で、何を聞いてたのよ!?」
 つい乃木坂のノリになってしまう。
「まずは腹式呼吸だけども、あんたたち腹筋と横隔膜弱すぎ!」

 ちなみに、呼吸法は三通りある。
 一番ダメなのが肩式呼吸(俗に、肩で息をするというもので。息が浅く、発声器官である声帯にも影響を与えやすく。また、呼吸が観ている者に丸見えで、エキストラを演っても死体の役ができない……って、分かるわよね。息をしている死体なんてないでしょうが)
 次に、胃底部呼吸。これを腹式呼吸と間違えている者は、プロの役者の中にもいる。腹筋が弱く、横隔膜だけに負担をかけ、長時間やっていると胃が痛くなる(だからイテー部呼吸というものでもないけどね) これも、息が浅く。長丁場や、長台詞には耐えられない。
 三番目が、大正解の腹式呼吸。横隔膜と腹筋の両方を使い、イメージとしてはお腹に空気が入ってくる感じ。目安としては、おへその指三本分下(古い言葉で丹田と言います)がペコペコする呼吸法。吸い込める空気の量が多く、また声帯からも遠く影響を与えにくい。

 まず、できていないことを自覚させる。廊下の窓に向かって一列に並ばせ、窓ガラスにティッシュペーパーをあてがわせる。そして、口を尖らせ「フー」って感じでティッシュに息を吹きかけガラスに貼り付けさせる。最低二十秒……できる子は一人もいなかった。
 で、腹筋の訓練。初心者なので五十回にしてやるが、これもできたのは二人だけ。
「あんたたち、体力無さすぎ!」
 で、グラウンドを十周させたところで時間切れ。
 クタクタになって、着替えている部員たちに宣告した。
「演劇部を文化部だと思ってる子は気持ち入れ替えて、演劇部は体育会系なんだからね」
 そして、集合時間の厳守(五分前集合)を言い渡し、こう命じた。
「明日は、トンカチとノコギリを持ってくること。いいね!」
 そして、解散するときにする挨拶を教えた。
「貴崎先生ありがとうございました。みなさんお疲れ様でした!」
 ヤケクソで十人が合唱した。

 明くる日は、一通りの腹式呼吸の練習を終えたあと、三六(さぶろく=三尺、六尺……つまりベニヤ板一枚分)の平台作りをやらせた。芝居の基本道具で、なにかと便利なのだ。
 案の定、まともにノコも引けなければ、釘も打てない。
「いい、ノコギリは体の正中線のとこに持ってきて……」
 各自一本ずつの木を切らせ、釘を一本打たせたところでおしまい。
「貴崎先生ありがとうございました。みなさんお疲れ様でした!」
 これを一週間続けたところで、期末テスト一週間前。部活はテスト終了まで休止期間に入る。
 期末テストは、前任者に教えてもらっていた生徒のノートをざっとみて見当をつけて問題をつくり、内規通りの平均点(五十五点~六十五点)にピタリと収め、無事完了。

 テスト後の短縮授業になった。
「さあ、クラブがんばるぞ!」
 と、意気軒昂……だったのは、わたし一人だった。

 十人の部員の半分がほかのクラブとの兼業だった。乃木坂では許されないことだ。
「どっちかにしなさい!」
 言ったとたんに、三人が辞めていった。

 なんとか、腹式呼吸のなんたるかが分かり、平台一枚ができあがった時には、部員は半分の五人に減って、終業式兼クリスマスイブである十二月二十四日がやってきた。
 この日ばかりは、部活は休み。平台一枚の完成を祝し、五人の結束を高めるため、身銭をきって宅配ピザをサービスして、忘年会をしてやった。


 一人空回りした忘年会が終わったあと、わたしは降りしきる雪の中、潤香の見舞いに行ったのだった。
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ファルコンZ:28『恒星ケプラー69C』

2019-12-01 05:58:02 | 小説6
ファルコンZ 28
『恒星ケプラー69C』         
 
 
 
「元の宙域に戻って、恒星ケプラー69Cを目指すんだ」
 
 マクダラはコスモセイバーを収めると、静かに、そう言った。
 
「なんで、マクダラが……」
「こないだの恩返し……なんて言ったら気持ちが悪いかい?」
「うん、キショクワルイ」
「ハハ、怪我の療養を兼ねて、クリミア星で古文書を検索していたらね。恒星ケプラー69Cにお宝がありそうな情報にぶちあたってね。ワープを重ねてやってきたら、向こうからコンタクトしてきた。まず、ジョージ・マーク船長のファルコン・Zを寄こせってね」
「そんなのを、まっとうに信じるタマか?」
「シカトして行こうとしたんだけどね、エンジンが動かなくなっちまってさ。ケプラー以外の方向なら動くんだけどね。そこでマゴマゴしていたら、この亜空間にジャンプするように言ってきやがった。どうやら、あんたらがケプラーに行かなきゃ、話にならなくらしい。伝言は以上。アルルカンは……」
 
 アルルカンの胴と首が消えていた。
 
「……船長、アルルカンが存在していた痕跡が……」
 コスモエネルギーをチャージしたコスモスが、弱々しい声で言った。
「なにか、とんでもない意志が働いているね……じゃ、マーク船長、あとは頼んだぜ」
 
 マクダラは、自分の船に戻っていった。
 
「船長、ファルコン・Zが自分の意志で動いています」
 船はバルスのコントロールを受け付けず、もとの宙域に戻った。
「アルルカンの痕跡も、船の航跡のあともありません。時間は大使船が蒸発した時間の10秒後です」
「あれだけの船が蒸発したんや、熱反応や衝撃波ぐらい残って……へんわ」
「船長、ミナホがなにか呟いている……」
「*:;+@&%$#:***54###`@@&@$$%$##””:**@@**;++|¥$#……」
「解析不能です。船が、言語をリフレインして、なにかインストールし始めました!」
 完全にエネルギーをチャージし終えたコスモスが興奮気味に言った。
「マリア王女、どうやらベータ星には、立ち寄れそうもありまへんなあ」
「この船を動かしている意志に従うほかないようですね」
「信じられません、船長……船が、ワープし始めて……とんでもないエネルギーです!」
「衝撃に備えろ!」
 
 しかし、衝撃は、やってこなかった。
 
 衝撃も無くファルコン・Zは2000光年以上を瞬時にワープした。
 
 目の前には、恒星ケプラー69C第3惑星が青く光って迫ってきた……。
 
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永遠女子高生・15・《京橋高校2年渡良瀬野乃・6・ひょっとして・5》

2019-12-01 05:50:04 | 時かける少女
永遠女子高生・15
《渡良瀬野乃・6・ひょっとして・5》         


 
「だいじょうぶ?」

 植え込み一つ隔てた藤棚から秀一の声。

 植え込みがあって良かった。いまのこけ方は、かなりみっともない。スカートはまくれ上がるし、脚はがに股だったし、悲鳴は「ギョエ!」っとカエルみたいだったし。

 でも二秒ほどで立ち上がったときは、清楚系の女子に戻っていた。

「あ、どうも、平気です」
「急な呼び出しみたいで、ごめんね……あ、立ってんのもなんだから、座ろうか」
「は、はい、失礼します」
 野乃は藤棚の下の向かいのベンチに座った。ごく自然な流れのように秀一は、その横に腰かけたので、野乃はキュンとした。
「はい、ビグビタ。渡良瀬さんも好きそうだから」
「あ、ども……」
 ビグビタは、出会いの時に野乃が持っていたが、秀一がぶつかって落としてしまった。で、秀一も同じビグビタをくれたので、それは、まだ飲まずに家の冷蔵庫に入れてある。野乃のラッキーアイテムなのだ。
 いつもなら、立ったまま腰に左手をあてがい、グビグビとオッサンのように飲み干すが、ガラにもなくハンカチでくるんで、秀一が飲むのを待って、少しだけ口を付ける。

「で、さっそく用件なんだけど」
「は、はい!」

 ドッキンとして、むせ返りそうになった。
「あ、飲んでからでいいから」
「はい!」
 条件反射で、いつものようにグビグビとオッサン飲みしてしまった。
「健康的な飲みっぷりだ」
 野乃は――やってしまった!――と、頬を赤くした。
「実は、あの少女像が壊れてしまったんだ」
「え……!?」
「どうも、見えないヒビが入っていたみたいで、ちょっと持ち上げたら、首と脚が落ちてバラバラになってしまったんだ」
「あ、あたしが乱暴に扱ったから……」
「それはないよ。もしそうだとしても渡良瀬さんは、ゴミだと言われて捨てに行くところだったんだから」
「え、いや、そうなんですけど……あんな素敵なものだったら、たとえゴミだと言われても、気づくべきやったんです」
「造りっぱなしで置いておいた僕が悪いんだ、美術の先生にゴミと判断されても仕方が無かった」
「でも……」
「そこで相談なんだけど」
「は、はい!」
 秀一が身を乗り出す。野乃は真剣に受け止めねばと秀一に正面を向けたので、互いに息がかかるところまで近づいた。
 お互いに、ビグビタの香りがすると思った。
「あれを、もう一度作り直そうと思うんだ」
「は、はい!」
「だから、こんどは正式にモデルになってほしい」
「あ、あの……その……」

 野乃は舞い上がってしまった……ひょっとして……ひょっとしてしまったのかもしれない!
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小悪魔マユの魔法日記・111『その後のAKR47・5』

2019-12-01 05:44:30 | 小説5
小悪魔マユの魔法日記・111
『その後のAKR47・5』    



「本当なのかい、このAKR47が本当は48だって?」

「ええ、たしかよ。おそらくオーディションの段階まではね、48人いた……」
 仁和は、あとの言葉を、たゆとう香の芳しさに滲ませた。

「ちょっと、トランプをやってみましょう。簡単に勝負のつくババ抜きよ」
 慣れた手つきで、カードをシャッフルし、手早く仁和はカードを配った。
「トランプは、ダイヤ、ハート、クラブ、スペードの四種類で、それぞれ春夏秋冬を現してるの、で、それぞれ1~13まで。足すと52。で、4をかけると……」
「364……ですね」
 黒羽が暗算して、光会長に札をひかせた。ジョ-カーを引いたようで、渋い顔になる。
「ホホ、ミツルくんは分かり易いわね。今のジョーカーでしょ」
「知らん!」
「364は一年を表すわ。で、ジョーカーを足して……」
「365だろ!」
「そう、閏年を表しているの。考えた人って、偉いわね」
 光会長は、仁和にジョーカーを掴ませそこなった。
「で、ダイヤは春、ハートは夏、クラブは秋、スペードが冬と四季まで表現して……」
 と、仁和がウンチクをたれているうちにババ抜きは終わった。

「ちょっと変だぞ。ジョーカーとスペードの4が残っちまった」

 光会長が不足を言った。
「そう、最初から、クロ-バーの4が抜いてあるから」
 仁和が、手品のようにクラブの4を出した。
「ずるいよ、これは」
「……これが、仁和さんの謎かけですね」
「そう、最後に気づくの、一枚足りないって」
「ぼくは、途中で気づきました、捨てられた札にも、回ってくる札にもクラブの4が見あたらなかった」
「さすがは黒羽くん。わたしもいっしょ。途中で一人足りないことに気づいた……最初は神楽坂24のプロモの撮影だった。ひとり人間じゃない子が混じっていた……けしてワルサをするような者じゃなかったけど。で、オモクロに念を飛ばしてみたら、そこにも一人。これもワルサはしないわ。そしてAKRを調べたら、すぐに分かった。人の魂は持っているけど、人の体じゃない子がいることが」
「で、それは、いったい誰なんだ?」
「それは言えないわ。とてもデリケートで、切ないことだから」
「じゃ、なぜ分かったんだ。それぐらいは教えてくれよ」
「光クンって、偶数が好きでしょ。芸名だって、奇数から偶数にしたし、フォークやってたころも四人グループだったでしょ」
「そうか、47の奇数、ちょっと変ですよね」
「……そう言えば」
 光会長がアゴを撫でた。
「で、とりあえずクロ-バーの4をめざすの」
「あの、クラブじゃないんですか?」
「クローバーと言っても間違いじゃない。まあ、動き出したから、上手くいくわよ」
 仁和が、クラブの4をクルリと回すと、3に変わった。しかしクラブの三つ葉は四つ葉に変わっていた……。

 マユのアバターに入った拓美は、みるみるうちに歌も振りも上手くなり、ついてこられない子たちの指導をするまでになった。そして、だれ言うともなく、AKRはリーダーが二人になった。大石クララと出昼マユ。むろん、マユの実態は浅野拓美である。
 拓美の毎日は充実していた。しかし、もどかしさとも違和感とも言えない気持ちが膨らんでくる。

 拓美は、本物のマユである仁科香奈に無性に会ってみたくなった……。
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