50㎝×65㎝の作品であれば上下を逆にすることは容易かもしれない。
切り込まれたような木の枝(あるいは木の根)の向こう(奥)にある大樹の葉の茂りをよく見ると、樹の幹が上に向かっており、この大樹は逆さまに描かれていることが分かる。
切り込まれたような木の枝(あるいは木の根)や帯状の線の絡みに注意が集中するためと、奥の画面が暗いことで、その事実を見逃してしまう傾向にある。
しかし明らかに背後(大地)は逆さになっている。
背丈の低く見える樹々は上からの視点であるのに対し、大樹は正面からの描写であるため、大樹は異様なほどの大きさに見える。にもかかわらず、前面に木(あるいは根)を模した切り込みがあるため、小さく感じてしまう。
要するに、Aに視点を置けばBは隠れCの視点も消失してしまう。
Aを外し、画面を逆さにすると異なる景色/Bが見えてくるが、Cとの視点のずれが空間を大きく変形させていることに気づく。
介在する帯状の線条が全体を刻み込み見え難くしているが、この線条こそが地層を暗示し地殻の変移を暗示する地球の眠った時間帯(歴史)なのだと思う。
わが地球は、天変地異なる変移を超えて今在る田園に辿りついたのである。しかし、それすらも(幻想)に過ぎないとマグリットは囁いている。
(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)
天狗巣ははやくも青い葉をだし
馬車のラッパがきこえてくれば
ここが一ぺんスヰツツルになる
☆展(ひろげると)句(言葉)は双(二つ)あり、照(あまねく光が当たる=平等)が要である。
魔(人を惑わし害を与える人)の赦(罪や過ちを許すこと)が逸(隠れている)。
「この話はやめよう」と、Kは言った。「しかし、ほかに話したいことがある。実際、このことについては、なにも言うことがない。ぼくが出かけざるをえなかった理由は、きみも知っているとおりだ。あんたところへ出かけるのは、ぼくも気がすすまない。
☆「この話はやめよう」と、Kは言った。他に話すことがあるんだ。この事については何も言うことがない。というわけで寛太(冥府)へ行かなければならないんだ。それは大変なことだ。