続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

🈞デュシャン『秘められたる音』②

2019-07-05 06:43:56 | 美術ノート

『秘められたる音』を聞け!という命令である。
 ネジ留めされた真鍮版でしっかり挟まれた紐の玉、この中に何が隠されているかは不明であり、しっかり挟まれた状態ということは動かない、不動が条件である。

 音は動くこと、振動の発生により生じる。紐の玉の内部に隠された発動があるだろうか。音は空気を揺らし伝わっていく波であるから、その波の発生を助けるエネルギーの存在が確認されなければ音は生じない。物理的な圧が、紐の玉もしくは内部に潜んでいるとは考えにくい。なぜなら状態は静止しており、位置は不動だからである。

『秘められたる音』という是非を問う命題である。
 この考えは輪のように巡回するが結論は《無》に他ならない。
《有か無か》
 鑑賞者は見えない領域(紐の玉の内部)における音を探索するが、見えない領域に外部からの圧による変動は認められない。《静止》が総てである。

 防音という装置があるが、紐の玉などは明らかにその条件を満たすものではない。
《無》である。音は発生しないし発生する仕掛け(スイッチ)も見受けられない。

 しかし、鑑賞者は心理的にそれを認めようとする傾向を抱く。経験した過去の懐かしい音のデータが蘇る。無音であるが、心理的な音の波を甘受すると錯覚する。

 否定と肯定、物理的見地と心理的傾向、さまざまな揺れがあり風が生じる。
 鑑賞者は《それ》を聞くかもしれない。


 写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク(www.taschen.com)より


『セロ弾きのゴーシュ』53.

2019-07-05 06:37:34 | 宮沢賢治

「何だ、硝子へばかだなあ。」ゴーシュはあわてて立って窓をあけようとしましたが元来この窓はそんなにいつでもするする開く窓ではありませんでした。ゴーシュが窓のわくをしきりにがたがたしてゐるうちにまたくゎくこうがばっとぶっつかって下へ落ちました。見ると、嘴のつけねからすこし血が出てゐます。


☆化(教え導くこと)の照(あまねく光が当たる=平等)は詞(言葉)の律(きまり)で総て現れる。記は双(二つ)の解(分かる)絡(すじみち)を兼ねている。
 詞(言葉)で結び推しはかる。


『城』3218。

2019-07-05 06:25:48 | カフカ覚書

それどころか、それを実行さえしかねません。夜の陳情者は、森のなかで出くわした号棟のようなものですな。ふだんならわたしたちにとてもできないような犠牲を強要するのです。ところで、いまの状況がそうなんですよ。陳情者は、まだそこに鎮座して、わたしたちを力づけ、強要し、激励し、万事はまだなかば無意識のうちにどんどん進行しているんですからね。


☆相手方も実行するようになり、森で強盗に襲われたかのように決して汚点がないのにもかかわらず、死を強制するのです。
 今がそうです。相手方は強いることもすべて半ば無意識のうちに強いるのです。