続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

若林奮『1-2-1』残り元素Ⅰ

2019-09-10 07:16:11 | 美術ノート

   『1-2-1』残り元素

 元素に残りなんて言うものがあるだろうか。化学物質を構成する基礎的な成分であり、ビックバンにおける元素生成はリチウムを含む水素とヘリウム。人間の身体をつくる元素は水素と酸素(リンの微量元素)・・・残りという概念に結びつかない。

 手足が欠落し骨の見える人体、宙に浮き、背後には戦争兵器。ハンドルを引けば爆発物を投下する殺傷の凶器である。
 残骸かもしれない…すでに事件は起きた後の光景か。

 大腿部は持ち上がっている。逃避の意志、瞬時の出来事。


『残り元素』とは非物質である。これら形態(光景)から読み取れる残虐・無念・・・戦争(殺戮)のもたらした幻影の声なき訴え、残響である。
 涙なしには見ることの出来ない悪の顛末。『残り元素』は残すべき教示である。


 写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館


『セロ弾きのゴーシュ』98.

2019-09-10 06:41:48 | 宮沢賢治

ゴーシュがその孔のあいたセロをもってじつに困ってしまって舞台へ出るとみんなはそら見ろといふやうに一そうひどく手を叩きました。わあと叫んだものもあるやうでした。
「どこまでひとをばかにするんだ。よし見てゐろ。印度の虎狩をひいてやるから。」ゴーシュはすっかり落ちついて舞台のまん中へ出ました。


☆講(話))を混ぜて部(区分けし)他意を推しはかると現れる。
 逸(隠した)趣(ねらい)の教(神仏のおしえ)が現れる。
 陰(隠した)度(悟りの世界)の個(一つ一つ)の趣(ねらい)の絡(つながり)を部(区分けして)他意を注(書き記し)推しはかる。


『城』3262。

2019-09-10 06:25:13 | カフカ覚書

そのことは、彼も忘れてはいなかった。だが、自分の肉体を頼りにできるという自信があったおれ、そういう自信がなければとうていこんな土地に出かけてこなかったはずのおれ、そのおれが、たかが二、三日の不健康な夜と不眠の一夜に耐えられないとは、どうしたわけだろうか。ここでは、どうしてこんなにどうにもならないほど疲れてしまうのだろうか。この土地の人間は、だれも疲れていない。というよりむしろ、みなが、そしていつも、疲れているが、そのために仕事がだめになるということはない。それどころか、仕事は、かえって促進されているくらいだ。


☆自分の身体を見捨てることができるということを信じていたが、どうして先祖の死ぬことができない小舟にたえなければならないのだろうか。正しくここではだれも疲れていない。あるいは現場不在を害することなしに、むしろ自制心のない疲れを要求しているようにみえる。